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序章
第14話 未来への予知
「拓也、あたし達あさってに大阪に行くらしいよ」
セーレと契約して1週間後。澪にそう聞かされた時、俺はついに来てしまったと思った。


14 未来への予知


「へぇー拓也、あさってに大阪ってとこ行くの?いいなぁ」

ヴォラクがソーメンをすすりながら羨ましそうに俺を見上げてきた。
今、俺はまたヴォラクのとこにいる。
中谷はもう大阪に行ってるし、光太郎も夏期講習があるらしく、今日は俺1人だ。
ストラスは野菜サラダをつつきながら話しに参加していた。

「拓也もソーメンいる?まだ沢山あるけど」
「もらうもらう!」

どうやらソーメンはセーレがつくったらしい。
セーレは孤児院で子供たちの世話をしていたせいか家事もなかなかのもので、ヴォラクの不規則な生活を見て、自分が何とかしなければと思ったらしい。
やっぱり悪魔って感じには本当に思えないんだよなぁ。
俺はセーレから器を貰い、ソーメンをすすった。
セーレはある程度の片付けを済ますとソファに座り、地図帳を広げた。

「セーレ?そんなんなんで持ってんだ?」
「あぁ、本棚をあさってたら出てきたんだ。拓也これから大阪に行くんだろう?場所と方角を確認しとかなきゃ、もしなんかあった時に駆けつけられないからね、なんだ、あんまりここから離れてないね。これなら昨日のスピードでなら大体7分程度で駆けつけれそうだよ」


セーレは地図をまじまじと見ていた。
7分ってあんた……
俺はとりあえず突っ込みもせずそのままソーメンをすすった。
ヴォラクがお代わりをセーレに注文してる。
でもまぁ確かににセーレがいてくれて助かったよなぁ……大阪に行ってもこれなら安心だし、なにより常識人だ。
ヴォラクの暴走も止めてくれるし、家事もできるし……完璧じゃん。俺は少しだけ安心しながらソーメンをすすった。

「なぁなぁ拓也、中谷が野球に出るんだろ!?俺も行きたいよ!」

ヴォラクは中谷とキャッチボールをしている間に野球に少し興味をもったらしい。
ヴォラクの我儘を俺は制した。

「えぇ?だめだめ。お前が来たらうるさいし。大体ホテルないし」
「そんなんセーレに頼めば行ってすぐに帰れるよ!」

お前なぁ……セーレは苦笑いを浮かべながらも微笑ましそうにやり取りを眺めている。

「でも拓也。いつ何時悪魔に遭遇するかわからないから用心しとくにこしたことはないよ」
「大丈夫だって。緊急の時はここに電話するから」

俺は机の上に置かれてある電話をポンポン叩いた。
セーレはまだ納得していないのか、曖昧な返事を返してきた。

「だといいんだけど」
『となると拓也。私もここに居たほうがいいのでしょう?』
「おう、そうしてくれ」

そうか。俺が家開けとくんだからストラスもこのマンションにいた方が安全だよな。
俺は別になにも起こらないだろうとタカをくくりソーメンをたいらげた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「忘れ物はない?財布とケータイはちゃんと持ったわね。それさえあればあとは何とかなるから。大阪に行けるからって羽根伸ばさないのよ」

2日後の朝の7時、俺は荷物を抱えて玄関の前に立った。
母さんと直哉(父さんは仕事)が2人で見送ってくれた。

「兄ちゃん、お土産買ってきてな!」
「おう。楽しみにしとけ」

俺はバックを背負い、学校に向かった。
駅に向かうバスに乗り込むと光太郎が席を取っといてくれて手招きしていた。

「拓也!こっちこっち!」
「サンキュー光太郎」
「いいっていいって。それより試合って明日じゃん?だから今日大阪に11時30くらいに着くから、ホテルに荷物置いて昼食食べたら、夜の8時まで自由に行動していいってよ」
「マジで!?」
「おう、だから結構時間あるからUSJに行くって奴らも何人かいるみたい。俺らもどこ行こうか考えとこうぜ」

俺と光太郎は支給された大阪のパンフレットを見ながらどこに行くか話し合った。

約1時間くらいでバスは駅に到着した。
俺たちは駅の中で整列し(かなりハズいんだコレが)、諸注意を受け、チケットをもらい、順番に新幹線に乗った。
俺と光太郎はちょうど真ん中の列の窓際の席。
よかった〜。中央の5人掛けの席とかじゃなくて(笑)
俺と光太郎はそのまま大阪に着くわずかの間、いろんな話で盛り上がっていた。

「そういえば拓也、大丈夫なんかな」
「なにが?」

光太郎は少し不安そうに眉を下げて続きを話した。

「甲子園の最中にあいつ等に会ったりしないよな……」

あいつ等……悪魔のことか。
俺は笑って首を振った。

「否定はできないけど、大丈夫なんじゃね?何かあればセーレが駆けつけるっつってたし」
「だといいけど……」

そして新幹線は新大阪に到着した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ホテルって思ったより綺麗だな」

あの後、駅からまたバスに乗り、俺たちはホテルに到着した。
ホテルは思ってたよりも全然綺麗で安心した。(ボロは嫌だし)
ホテルの部屋割は出席番号順、だから俺と光太郎の部屋は別々だ。
でもまぁ同室の上野は仲のいい奴だったから別に嫌ってわけじゃないけど。

「拓也、荷物置いたら12時15分に昼食だからもうちょいしたら降りようぜ」
「おう。でも結構綺麗でよかったよなー。俺もうちょいオンボロかと思ってたし」
「それ俺も思ってた!俺ぶっちゃけ1部屋10人で雑魚寝と思ってたもん!」
「それ中学の修学旅行じゃん!」

俺たちは12時15分までそのまま部屋で話していた。
時間になり、上野と一緒に1階の大広間に降りたら、そこには美味しそうな食べ物がいっぱい並んでた。

「うおーバイキング!ホテルって感じだな〜」
「すっげー……1時までは好きに食べていいんだよな?」
「おう、1時から自由に歩き回っていいからな。ココに入れるのは1時30まで」
「よーし食うぞ――!」
「俺も!!」

俺と上野は皿を持って早速、食べ物を取りにかかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「そう言えば上野はこれからどこ行くん?」

俺は酢豚をモグモグ食べながら上野に問いかけた。
上野は唐揚げを口いっぱいに頬張りながらも俺の質問に答えた。

「ほうほんほり」
「わかんねえよ」

上野は急いで唐揚げを飲み込んで(急がなくてもいいのに)もう一度言った。

「道頓堀だよ。食い倒れ横丁」
「お前らてっきりUSJか梅田に行くかと思ってたし」
「そんなとこ行ってどうすんだよ。USJならともかく……お前はどこ行くんだ?」
「一応梅田のつもりだったんだけど」

そんなとことか言われたら行きにくいんですけど―――!!!
上野は唐揚げを箸で突き刺し(普通にはさめよ)俺にくぎを刺してきた。

「お前なー買い物なんか渋谷でもなんでも行きゃできんだろー?わざわざ梅田で何を買うってんだよ?金もねーくせに。百貨店なら東京にも沢山あんだろが。それより大阪でしかないものを見に行った方が絶対楽しいじゃん?」

確かに言われてみればそうだな。
HEPに行ってみたかったけど、そんなん原宿にでも行けば同じ店ありそうだしなぁ。

「じゃあ他の奴はどこに行くんかな?」

上野はそうだなぁ……ともごもご口を動かしながら首をかしげた。

「やっぱ一番多いのはUSJだろうなぁ。山田達も行くっつってたし……でも今から行ったってアトラクションになんか3〜4個しか乗れないんじゃないか?あと通天閣とか海遊館とかに行くっつってたやつも結構いたぞ?後はお前と同じ梅田とか、俺たちと同じ道頓堀とか、お笑いのショー見るって奴もいた。そういや大阪城見る奴もいるなぁ。あとは神戸?」
「へぇ……え?神戸?県違うじゃん」
「なんか大阪駅から乗り換えれば行けるんだって。30分程度でつくらしいぞ」
「思ったより近いな」
「だよな。流石に京都に行くって奴はいなかったけど……あー楽しみー!」
「でもこの制服で行かなきゃいけないってーのはウゼーよなー」

そう。今回は旅行じゃなくて一応総合学習ってことになってる。
だからちゃんと自由行動の時も制服を着てなきゃいけないわけ、マジ嫌だ……でも俺も他のとこに行きたくなったな。光太郎に頼んで変えてもらおっかなー。
その後、俺たちはかなりの量を平らげ、1時ギリギリまで食べていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「そういうわけ、やっぱ梅田やめようぜ」

1時、光太郎とロビーに集合した俺は光太郎に頼み込んだ。
光太郎は別にどうでもいいらしく、すぐにOKを出してくれた。

「別にいいけど。拓也、他に行きたいとこあんの?」
「え?うーん……実はUSJに」
「あ、拓也」

この声……この鈴のような声は(←妄想)
澪は同じクラスの友達(たしか橘裕香だっけ?)と一緒にこっちに歩いてきた。

「澪!」
「拓也これからどこ行くの?」
「え?あー……そのまだ決まってなくて。澪は?USJか?」

澪は少しおかしそうに首を振った。(なんで!?)

「心斎橋だよー。占いしに行くの」

占い?ていうか心斎橋ってどこ?
澪は友達に目をやった。

「この子、すごい占い好きでね。心斎橋に有名な占い師さんがいるからって。結構テレビとかに出てるみたいで当たるって評判だったんだけど、最近はもっとすごいんだって。もう百発百中なんだって!」

へぇ、そりゃすごい。でも俺、占い興味ないしー。
どこに行こうか考えていると光太郎が澪に提案してきた。

「それおもしろそうじゃん!なぁ俺らも一緒に行っていい?」

光太郎!?何勝手に決めてんだ!?占いしにわざわざ行くのかよ!
そんなんなら俺はUSJに行きてーんだよ!!
澪は目をパチクリさせながら(何をしても可愛いなぁ)友達に了解を求めた。

「裕香いい?」
「全然いいよー。大人数で行動した方が楽しいしね!なんばウォークとかもあるし。食い倒れ横丁もあるから心斎橋は楽しいと思うよ!」
「食い倒れ横丁って道頓堀だろ?心斎橋なの?」

橘さんと澪は俺の問いかけに少し笑いながら首を振った。

「確かに道頓堀だけど、心斎橋となんば駅の間にあるんだよ。道頓堀は食い倒れ横丁の通りの名前だよ。場所は心斎橋となんばの間」
「あ、そうなの?」

え?俺って今すっげーはずかしい?
光太郎も笑いをこらえている。(いっそ笑ってくれたらいいのに)
ていうかなんでもう占い行くこと決定してんだよ!?俺は小声で光太郎の肩をつかんだ。

「おい!光太郎!」
「何すんだよー。あぶねーなぁ」
「なんで道頓堀なんだよ!俺は占いするくらいならUSJに行きたい!」
「別にいいじゃん。USJなんかいつでも行けるだろ?」

そう。光太郎は金持ちだ。大阪にも数回行ったことがあるって言ってた。
多分USJにも何回も行ってんだろう。でも俺は初めてなんだよ!

「なんだよー。せっかく気ぃ遣ってやったのに」
「嫌がらせにか!?」
「馬鹿。松本さんと一緒に回れるチャンスだろー?俺だって金払ってまで占いなんかしたくねえよ」
「な!!!」

なんでお前がそんなことを!?俺言ってないのに!光太郎は馬鹿だろとでも言う目で俺を見てきた。

「お前……あんだけ澪ー澪ー言ってて気づかない方がおかしいって。なんで松本さんは気づかないんだろ。こんなに拓也オープンなのに」
「オープン!?」

俺ちゃんと隠してたつもりなのに!!
やっべーかなりハズイ!ハズすぎる!次から絶対気をつけよ。そんなことより澪と一緒、一緒かぁ……
なんだよ光太郎の奴たまにはいいことするじゃん!!
俺は幾分かテンションがあがり、4人で心斎橋に行くことにした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「梅田駅から御堂筋線に乗り換えるんだよ。こっち」

光太郎、お前詳しいな。
俺たちは取りあえず光太郎にひよこのようについて行った。

「やっぱ梅田すげー」

俺は梅田をキョロキョロと見渡した。
東京駅も人メチャクチャ多いけど、梅田駅もヤバいくらい人おおい!
あ!阪急百貨店が見える!行きたかったなぁ。でも澪と一緒に歩いてる……見知らぬ土地を……なんかいい。
俺は1人妄想しながら(危ない)、光太郎について行った。
切符売場で切符を買い、俺たちはホームに降りた。
平日の昼なのにホームは人でいっぱいだった。やっぱ夏休みだからかな?

「人おおいねー」
「だな」

俺と澪は田舎者みたいに周りをキョロキョロ見渡した。

「なんでやねん。それありえへんわー」
「ほんまやねん!うちがビックリしたわ」

関西弁!!生なんて初めて聞いた!ちょっと感動なんだけど!なんでやねんとかお笑い芸人しか言わないと思ってたけど……ちゃんと普通の人も使うんだな!
俺が少し感動しているうちに心斎橋行きの電車が到着した。
電車は混んでいて、とても座れる状況ではなかった。
とりあえず俺たちはドア付近を確保して電車が出発するのを待った。

「そう言えば心斎橋まで何分くらいかかるんだ?光太郎」
「そうだなー……ざっと10分くらいじゃなかったっけな」
「広瀬君がいてくれて本当によかったー。あたしと裕香だけじゃもっと時間かかってたよ」
「ね。早く行きたいー楽しみー!」

橘さんは待ちきれないのか腕をブンブン振った。
にしても駅に着くけど皆おりないなぁ。lやっぱ皆、心斎橋で降りるんかな?

「次はーなんばーなんばー」

うわ!なんか人が一気に降りたぞ!?
こういう時って途端に不安になっちゃうのが初めて来た人間の性。澪達も少し不安そうな顔をしている。

「本当に大丈夫なのか?なんばで降りたほうが良かったんじゃないか?」
「大丈夫だって」

光太郎は笑って人が降りて空いた席に座った。

「心斎橋から食い倒れ横丁とか商店街とか歩いてたらなんば駅に着くんだよ。ここで降りた人はなんばか
ら心斎橋まで買い物して心斎橋から電車に乗って帰るんだよ。俺たちはそれの逆から行くってこと」

なるほど。じゃあ間違ってはないんだな……やっぱり光太郎がいてくれてよかったな。
心斎橋にはなんばから約2分くらいでついた。
階段を上って外に出ると目の前には百貨店が立っていた。

「すっげー!これ高島屋か!?」
「すっげーって……東京にもあるじゃん。なに感動してんだよ」
「それより先にここら辺回ってから占いに行く?それともすぐに行くの?」

橘さんは占いの住所が書かれた紙を光太郎に手渡した。

「ここから近い?」
「住所まではわかんないんだけどなー」
「あ!地図もある!」

橘さんは地図も一緒に手渡した。

「んー……アメリカ村の奥か。少し入り組んだとこにあるみたい」

アメリカ村?なんじゃそりゃ大阪なのに。
もう既に話について行けない(笑)

「とりあえずまだ先だから大丸とかこの商店街なら見て回れると思う」
「じゃ、じゃあ俺ここに行きたい!」

俺は目の前にある建物に指をさした。だってなんか大阪の百貨店ってきになるじゃん!
行く途中なので時間のロスはなく、皆は頷いてくれた。

「いいよ。じゃあまずここ見て回ろう」

その後、高島屋と大丸や商店街などを見て回った。
やっべー心斎橋って面白いな!!これなら何回でも来たいし!!

「あ、ここを曲がったらアメリカ村に着くぞ」
「この信号渡んのか?」
「そう」

俺たちはまたも光太郎にふ横のようについて行った。
アメリカ村を突っ切って歩くこと10分、小さな小屋のような建物を見つけた。

「ここ!ここだよここ!テレビで見たのとおんなじ!!」

橘さんはきゃーきゃーと飛び跳ねた。
とりあえず無事に到着したみたいだ。
俺たちは恐る恐る(なんか建物がこえーんだもん)中に入った。
中にはまだ見てもらっているカップルがいた。

「すみませんが、順番が来るまで外で待ってもらえませんか?」

俺より少し年下?くらいの男の子が俺たちに近づいてきた。
まぁ1組だしすぐ終わるよな。俺たちはそのまま外に出た。

「何見てもらおう!あー迷うー!」

橘さんはもう既に何を占ってもらうかを考えていた。
俺は今後のことについて占ってもらおうかな(生きてるかどうか)そう言えば占いって何円なんだ?

「橘さん、この占いって何円なの?」
「え?1回3000円だよー」

なに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?????????????
占いなのに3000円もとるのか!?

「俺見てるだけにしよっかな……」

奇遇だな光太郎。俺も今同じこと考えたよ。
そんなこんなしているうちに先程のカップルが出てきた。

「どうぞ、お入りください」

少年の後について部屋の中に入ると、そこには水晶やらなんやら色々な石が沢山置かれていた。
占い師は50〜60くらいのおばさん(いやばあさんか?)だった。
となるとあの餓鬼は孫かなんかか?
俺たちはイスに腰掛け話を振られるのを待った。

「よく来たね。さぁお掛け。あんた達は何を見てほしいんだい?」

ばあさんに聞かれるや否や橘さんがばあさんに占って欲しいことを言った。
橘さんはかなり興奮してる。

「あのね!恋愛運と対人関係!あと勉強!」

そんなに占ってもらうんかい!?
なんだ。占う内容って1つだけじゃないんだな。じゃあ俺もやってみようかな。

「ふむ……じゃあまずは名前と生年月日、血液型と星座、後はわかるなら生まれた時間を教えてちょうだい」
「えっと橘裕香。19xx年7月16日のかに座のB型。生まれた時間はわかんないです!」
「そうか。ではまず恋愛運から行こうか。手相を見せてくれ」

ばあさんは沢山の本をペラペラめくり、色々計算みたいなことをしていた。
すげー…本格的!
橘さんの手相をばあさんは熱心に見ていた。

「あんた結婚運が綺麗な形だね。25歳くらいで1回結婚するね」
「ホントですか!?」

25歳って!しかも1回目って!!

「恋愛運は残念だけど今はないね。18〜21までの間にかなり来てるね」
「大学生かぁ……」
「じゃあ次は対人関係だが、今は良好だ。でもあんたは少し強引な所があるみたいだから、時には相手の意見にも会わせなきゃ痛い目見るかもね」
「う、当たってる……気をつけます」

すげー本当にあたるんだ。
その後橘さんは勉強運も見てもらった。

「お前は理系の才能が壊滅的にないな」
「え!?」

ばあさんのあまりにも直球な一言に橘さんは戸惑った。
ばあさんストレートすぎだろ(笑)

「んん……かといって文系も……まぁこっちの方がましだが」
「えええぇぇえええ!?なんとかならないんですか!?」
「勉強しろ」
「……」

なんて当たり前な一言。それは禁句です。

「裕香」
「澪〜どうしよう」

橘さんは少しへこんでしまっているようだ。ただの占いなのに。
でもまぁ嫌なこと言われたらへこむわなぁ。

「まぁ心の持ちようで事は解決できよう。それにこれはあくまで占いだ。全てが当たるとは限らんからな。さ、次はお嬢ちゃんじゃな」

いいこと言うな。ばあさん。

「松本澪。19xx年の10月12日で天秤座のO型。生まれた時間は確か朝の9時40分です」
「ほう……して何を占って欲しいんだ?」
「えっと勉強運と、恋愛運と、あとはこれから起こる事……とか分かったりします?」

恋愛運!!!?それは俺も聞いとかなきゃ!!

「そうか。なら手を出しな。あんたは大変な男に好かれてるようだね」

それって俺のこと!!?
名前出すなよばあさん!

「後は出会いの期間はあんたは結構ながいね。今から23までだ。結婚は28と出ている」
「28……」

き、期間長いんだ……なんか嫌な予感。

「勉強は今のままでいれば良好だ。でもあんたは文系の教科のほうが向いてると出てる」
「あ、はい。そうですね……どっちかって言ったら文系ですね」
「やれば理系の才能もあるから好きな方を選ぶといい。さてこれから起こることだが……」

なんだ?また黙っちまったぞ?

「あんた、今大変なことに巻き込まれてないかい?」
「そ、そんなことないと思います」

澪も俺と同じことを考えたのか慌てて否定した。
光太郎もびっくりしている。

「……そうか。じゃがこれからが本番と出ておる。気を引き締めときな」
「はい……」
「あと、あんたを好いてる男……とんでもない奴かもしれん。お前の身を滅ぼすほどの……気をつけとけよ」
「それは、えっといつ出会ったりするんですか?」
「そこまではわからん。だが近い将来確実に現れる」

誰なんだよそれ。まだ現れてないって事は俺じゃないんだよな?
このばあさん、どこまで見えてるんだ?まさか指輪のことも全部……

「さて次はお前だな。何が知りたい」

光太郎は指名されて慌てていた。
そう言えば光太郎、占う気ないって言ってたもんな。でもここまで来て指名されたらもう終わり、光太郎はしぶしぶ答えた。

「19xx年2月6日のみずがめ座でO型。生まれた時間は確か夜の7時23分っす。そうですね。恋愛運と勉強運、あと健康運とこれから起こることですかね」
「皆同じことを聞くな」

ばあさんはおかしそうに笑いながらページをめくった。
だってそれ以外に一体何を聞くっつーんだよ。

「じゃあ手を出しな。ふむ……あんたは結婚運があんま良くないね」
「マジですか……」
「もし結婚するのなら相手は結婚運のいい奴じゃないと離婚するよ。恋愛の期間は21〜25後は30〜32。あんたも結構長いね。結婚は36と出ておる」
「晩婚……」
「うるせーぞ拓也」
「そうじゃの。お前は勉強の線が非常にいいな。特に経済の方に進めば大成功を収められるかもしらん」
「広瀬君すごーい」
「まぁ占いだし……あんま当てにしないどくよ」

やっぱ光太郎は親父さんの会社継げってことだな。

「健康運は40〜50の間に何か出ているな……ガンか?」
「え!?」
「まぁそれは30からの生活態度によっては出てこん。出ても大事にはならんとも出ている。そこまで不安がることはないと思うな」
「ほ……」
「あとはこれから起こることだが……またか。お前もさっきの嬢ちゃんと同じ結果が出ておる」

光太郎と澪は気まずそうに顔を見合わせた。

「お前たち、一体何をしているんだ?こんなことは初めてだ」
「澪?」

橘さんが心配そうに問いかける。

「占い来たの間違いだったかもな」
「マジでな」

光太郎のつぶやきに俺は頷いた。

「しかもお前の方が譲ちゃんよりも何か嫌な予感がするな。注意しておけよ」
「はい」

危険の度合いが高いって……そんな……俺は気まずくなって顔を伏せた。

「さてお前は何をみてほしいんだ?」
「えっと俺は遠慮しときます」

だって俺まで見られたらなんて言われるか……

「ここまで来たのにそれはないだろう。早くいいな」
「いやー……」
「拓也、これから起こることを聞かなきゃ多分問題ねえよ」

光太郎が小声で耳打ちをした。そうか、そうだよな!

「じゃあすいません。恋愛運と勉強運と対人関係と金運お願いします」
「金運って拓也……」

澪が少し呆れたような目で見てきた。

「なら生年月日と血液型、星座。生まれた時間を教えな」
「19xx年の12月19日でいて座のO型。出生時刻は昼の3時4分です」
「なるほど。じゃあ手相を見せてくれ」

俺は指輪の付いてない右手を差し出した。

「おい。手相は左手だ」
「あれ」

マジで?だって左は……まぁいっか。指輪のことばあさんが知るわけないし。
俺は言われたとおりに左手を出した。
その時、俺は気づかなかった。少年の顔が一瞬歪んだのを。

「あんたは恋愛運が低いね」
「はぁ!?」
「思い立ったら一直線だ。しかもやることも行き過ぎてると出てる。出会いの期間はバラバラだね。17〜20と22〜23、25〜26と出ている」

へぇ……今は入ってないんだ。

「勉強運だがあんまよくないね。あんたはどちらかと言えば理系と出ている。まぁ頑張らなくては理系も駄目になるぞ。あとは対人関係だが…極めて良好だ。特に今、親しい奴とはこれからもずっと交友関係が続くだろう」

マジで?じゃあ俺と光太郎と中谷の友情って永遠?なんかいいなぁ!!

「さて金運だが、よくもないし悪くもないな。あればあるだけ使ってしまう。その為、お金がたまることはないね。でもなぜか困った時には入ってくるから、金には困らなさそうだ。とりあえずこんなところだろう」

それっていいのか?悪いのか?
でもよかった。何も言われなかった。

「待って。この人のこれから起こることを調べていい?」

何を言い出すガキ!!?
少年は俺に近寄った。そして俺に小声でつぶやいた。

「お前の未来が気になるんだ……継承者」
「!?」

今なんて言った。継承者って……まさかこいつ何か知ってんのか?
少年は視線を俺から離さない。なんなんだこいつ。
心配した光太郎が俺に話しかけた。俺は光太郎に目くばせをした。

「おばあちゃんも今はお客さん並んでないし休憩しててよ」
「しかしなぁ……お客さんを巻き込むわけには」
「大丈夫です。俺もまだ時間あるし」
「拓也!?」

光太郎、やっぱビックリしてるな。でもここまで言われたら俺も確かめなくちゃ気が済まない。
内容が内容なのか澪は少しオロオロしていたけど、俺がそう言うと橘さんを連れて立ち上がった。

「澪?」
「拓也。後で合流しようね。お金ここに置いときます」
「じゃあ悪いけどこの子の練習に付き合ってくれ。私は奥に行くよ」

澪と橘さんは3000円を置いて、部屋から出て行った。
ばあさんも休憩しに奥の部屋に入って行った。俺と光太郎は目の前に座った少年を睨みつけた。
少年は表情を1つも変えずに机と椅子をずらした。

「おい何する気だ?」
「本来の姿に戻らなきゃ俺、力使えないんだ」

そう言うと少年は光に包まれ、次の瞬間下半身が馬の姿で上半身は冠をつけた王子になった。

「な、やっぱりお前!」
『大声出さないでくれよ。ばあさんに気づかれたらまずいだろ?』

少年は困ったように眉を寄せた。
でもこいつが俺たちに襲い掛かる気配は一向にない。

「名前はなんだ?」
『オロバス』
「拓也、知ってるか?」
「全く」
「あっそ」

俺はとりあえずマンションに電話してみた。

『もしもし』
「あ、セーレ?」

オロバスの顔が歪んだのを今度は見逃さなかった。

「セーレってさ。オロバスって知ってる?」
『オロバス?知ってるよ。まさかあったのか?』
「うん。今目の前にいる」
『オロバスは危険な悪魔じゃないよ。契約者と親睦を深めたがる悪魔だし、絶対に惑わすこともない。オロバスは地獄ではだれも見向きもしない古城に1人で住んでたんだ。だからその寂しさゆえか他人との交流を望む。害を加える悪魔なんかじゃないよ。オロバスは過去、現在、未来の全てを見透かし、世界創造と神学に対する質疑に真実を答えるんだ。あと、権力と高位の聖職者の地位を召喚者に与えるとも伝えられているね。拓也も気になることを色々聞いてみるといい』
「あ、あぁ」

俺は電話を切ると、オロバスを見つめた。

「拓也、セーレはなんて?」
「悪いやつじゃないから色々聞いてみろって」
「そうなんだ……」

オロバスは俺を見てニヤリと笑った。

『君は指輪の継承者だろ?俺は君の未来を見たいんだ』
「じゃあ見せてみろってんだ」
『わかった。座れ』

俺は光太郎の隣子に腰掛けた。
オロバスは手に水晶を持ち、念じ始めた。

「なんだ……?」

俺たちは事の展開を待った。
オロバスは念じ終わったのか、俺を見てきた。

「な、なんだよ」
『俺が思った通りか』
「え?」
『死の相が出てる……』
「はぁ!?」
『詳しい事は言えない。お前は契約者ではないから。ただ』
「ただ?」
『お前の未来は2つに別れているんだ。それだけははっきりわかる』
「2つ?それはなんなんだよ……」

『まぁ簡単にいえば生と死だ。死の方が確率が高く出てるのが気になるけどな。決して選択を間違えるなよ』

そんな……1つは確実な死……頭を鈍器で殴られたような感覚が体中を駆け巡る。
その言葉はどんな言葉よりも重く、そして残酷に感じられた。
体の力が抜けるのを感じる。手の感覚がなくなっているのがわかる。

「拓也!」

光太郎が俺の肩をつかむ。でも何も考えられない。一体これからいくつの選択があるんだ?そして1つでも間違えちゃいけないのか?
オロバスも顔を伏せた。

『もうお前だけの問題じゃないんだな』
「え?」
『決して道を違えるな。お前の選択次第で地球上の全ての生物の生か死か決まる』

そんな、そんなことが俺に?すべての生き物が、人間が、俺の選択次第で滅びてしまうかもしれないってことか?
半端ないプレッシャーが体を駆け巡る。震えが止まらない。
意識しなければ呼吸すら忘れそうだ。俺は一体どうしたらいいって言うんだ。
冷汗が頬を伝う。それすらも気にしていられない。

『これはまだ遠い未来のことだ。未来は変えられる。お前が最良の未来を選んでくれることを祈る……』

オロバスはそう言って立ち上がって床に紋を書いた。

「オロバス?」
『俺の望みは果たした。継承者に助言をすること、満足だ』
「お前……」
『お前は俺を地獄に戻さなきゃいけない。だから戻るんだ。3週間程度だったが色んな人間と交流できた。楽しかった。200年間の孤独を忘れられた』

オロバスは紫の宝石のついたチョーカーを大事に触った。

「そのチョーカー」
『あぁ、アレキサンドライトのチョーカー。俺の契約石だ。きっとまた近いうちに会うだろうな。じゃあな継承者』

オロバスは魔法陣の中に立ち、呪文を唱えた。
そして光に包まれ、地獄に帰って行った。
その後、戻ってきたばあさんにどう説明しようか迷っていたら、ばあさんのオロバスの記憶は全くなかった。
恐らくオロバスが記憶を消去したのだろう。
その後、俺たちは澪達と合流し、食い倒れ横丁やなんばウォーク、0101を回り、帰った。
澪に心配かけまいと俺は普段通りにふるまったが、頭の中はパンパンだった。

『まぁ簡単にいえば生と死だ。死の方が確率が高く出てるのが気になるけどな。決して選択を間違えるなよ』

選択を間違えるなって……どうやって?やろうと思ってできるものなのか?
怖い。半端なく怖い。
自分なんかに人間や生き物全ての命がかかってるなんて嘘だと信じたい。

でもその期待は見事に裏切られる。
登場人物

オロバス…ソロモン72柱55番目の悪魔。
      20の軍団を持つ王子であり、馬の姿で現れるが、契約者が望めば人間の姿をとる。
      過去、現在、未来を見ることができ、また神学にも詳しい。
      ネクロマンサーとしての能力も持っている。
      契約者と親睦を深めたがる悪魔として有名である。
      契約石はアレキサンドライトのチョーカー。  
 

占いばばぁ…100発100中の命中率を誇る占い師。

立花裕香…澪の親友。タロットや風水など、占い系がとにかく大好き。
      明るく屈託のない性格。


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