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憂鬱龍
作:ごはんライス


 大関・憂鬱龍は、片腕の力士である。右腕がない。
 なのに、強敵力士たちをバッタバッタとなぎ倒す。
 ので、人気は抜群だった。
 しかし、横綱にはなれない。
 なぜか。
 素行が悪すぎるのである。
 この前など、ベッドの上で愛人とマリファナをやってるところを現行犯逮捕された。
 一時期は角界永久追放とも言われていたが、なんと許されてしまった。
 理由はいろいろとあるが、一番大きい理由は、人気のためだろう。やはり、相撲ファンはみな、片腕でバッタバッタと投げ倒す憂鬱龍の姿が見たかったのである。
 しかしながら、司法はそれを許さない。懲役四十年を命じた。
 四十年後、憂鬱龍(56歳)は退所し、また角界に入った。幕下からの再スタートである。
 なんと、二場所で大関に昇進した。相撲協会に賄賂を贈ったのである。憂鬱龍の実家は皇室で金は山ほどあるのだ。
 しかし、また事件が起こった。日本国の植民地である大韓国巡業中、憂鬱龍がゲーム中にジェット噴射を使っていたことが発覚。憂鬱龍の意見としては、「年なんだから、それくらいいいじゃん」ということであったが、前科があるのでなかなか許してもらえない。
 屈辱的な醜名しこなに改名することでやっと許してもらえた。
 新しい四股名しこなは、「セクシーダイナマイト」である。
 その名前は、最初は恥ずかしかったが、結果が出せた。23場所を、一本背負いでオール一本勝ちし、ついに横綱に昇進したのだ。
 しかし、浮かれていたのもつかの間。横綱昇進パレードで暗殺未遂され、一命はとりとめたものの、両腕を失ってしまった。自衛官時代に、テロで片腕を失って以来の快挙である。
 しかし、セクシーダイナマイトは逆境に強い。「腹出し」という、腹を突き出して相手をぶっ飛ばすという技を編み出して連戦連勝。ついには、スーパー横綱EXに昇進した。63歳のときの話である。
 こうして、生涯現役を目指していたセクシーダイナマイトではあるが、ある場所で、土俵にしかけられた地雷をうっかり踏んでしまい、ぶっ飛び、即死してしまった。対戦相手の鉄拳山てつけんざんは無傷であった。なぜなら、彼はサイボーグ力士だったのだ。
 セクシーダイナマイト(本名・憂鬱宮だる仁)の遺骨は遺言通り、東京タワーからばらまかれ、風とともに散った。

「おばぁちゃーん。本当なの? その話」
「ふぉっ。ふぉっ。ふぉ。本当じゃとも。本当じゃとも」
「なんか、ウソくさーい。他になんか話してぇー」
「オラも聞きたぁい」
「いいとも。いいとも。昔あるとこにな、サイボーグ金太郎というニューヨーク出身の若者が川で洗濯を・・・・・」「わくわく、どきどき」
 こうして、囲炉裏を囲み、東北の雪降る夜はふけていくのです。
 
 どっとはらい。














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