それは、突然起こった。
朝、学校へ登校した時、靴箱の中に手紙が入っていた。
中を開き、書かれていた文面を見て私は、絶句した。
『いつもあなたをみています』
最初は、悪戯か何かだと思って無視していたけど、最近誰かの視線を良く感じる様になった。
でも、気のせいかもしれないと……気づかないふりをした。
が、自宅の郵便受けに入っていたものを取り出した時、私は悲鳴をあげた。
中には、夥しい程の髪の毛が入っていたのだ。
もう気のせいでは済まされない……私は、担任に相談する事にした。
しかし、予想はしていたが担任は全く相手にしてくれなかった。
親や友人にも相談したが、似たような結果になってしまった。
他人に相談したのが、いけなかったのか……後日、携帯の留守録に知らない男性のメッセージが残っていた。
『誰に話しても無駄だよ、僕と君は結ばれる運命なんだから』
ここまで異常だと、警察に相談しても良いのではないか? と、思ったがニュースや新聞で警察はこの手の事件に関して介入する事はほとんど無い事を知っている。
気付けば体重が5キロも落ちていた、ダイエットしていたから良い結果なのだろうけど……素直に喜べなかった。
次の日、昨日と同じ様に携帯の留守録にメッセージが残っていた。
『今日も部活している姿可愛かったよ、君はどの服を着ても実に似合うね……そろそろ僕の気持ちを分かって欲しいな』
私は、怖くなり証拠として保存していた留守録を全て消してしまった。
その後も似たようなメッセージが毎晩の様に送られてきた。
『今日もサラダだけしか食べてなかったね、ダイエットかな? でも、栄養がある食べ物も食べないと体壊しちゃうよ?』
『今日は、友達と商店街に遊びに行ってたね、白いワンピース買ってたの見たよ、今度着てる姿見せてほしいな』
『いつまで僕の気持ちを無視し続けるの……? 無視したって結果は、変わらないよ……? 早く結ばれようよ……』
『どうして君は、僕を見てくれないんだ……僕は、こんなにも君を想っているのに……』
『はははは……今日男子と会話してたね? 誰、あいつ? 僕は、遠くでしか君を見る事ができないのに……むかつく、殺してやりたい』
『そろそろ僕の気持ちに答えてよ……? じゃないと…………殺しちゃうよ?』
『殺す殺す殺す殺す……またあの男子と会話してた、僕を無視して殺してやる……全員まとめて殺してやる』
最初は、怖かったが……実害が出ている訳ではないので、諦めるまで無視していようと決めた。
その日、学校は休みで親しい友達と皆でカラオケに行った。
ストーカーのせいで、精神的に参っていた私にとっては、とても良い息抜きになった。
皆と散々遊びまわり、気付けば夜になっていた。
皆とは、帰り道が違うので一人で帰る事になってしまった。
でも、皆と遊んで気が緩んでしまったせいか、ストーカーの事などすっかり忘れていた。
鼻歌交じりに、陽気に帰路に着いていると……人通りのない道に出てしまった。
ちょっとだけ、その場の雰囲気に不安を感じたが……気にせず前へと進んだ。
だけど、歩いている内にある違和感を感じた。
足音が一つ多いのだ。
それは、間違いなくストーカーの足音だった。
そして、心なしか……その足音は次第に近づいてきている気がした。
怖くなった私は、急いで家に帰ろうと走り出した――
しかし、その瞬間背後から腕を何者かに掴まれた。
正体が誰かなんて、すぐに理解できる。
「どうして……どうして……どうしてなんだ」
背後にいるストーカーは、一人で良く分からない事をを呟いてる。
私は、悲鳴をあげ、腕を払いのけたが、すぐに捕まってしまった。
「ひ、ひ……ひひひ」
電話でも狂っていると感じていたが、私の感じていた以上に彼は異常者だった。
ただ知恵は回るのか、正体がばれない様に顔にはマスクとサングラスがしてある。
彼は、懐から何かを取り出した……良く見てみると、それはナイフだった。
殺される……私は、そう確信した。
「ちょっと君、そこで何してる!」
そこを偶然通りかかった中年の男性が、声をかけてくれたおかげでストーカーは逃げ出し、私は死なずに済んだ。
でも、彼が私に対して既に愛情を超えた感情を抱いているのに気付いてしまった。
これ以上、彼を放置していたら、その内私が殺されてしまうだろう……。
親も担任も友人も当てにならない……私には、どうすれば良いか分からなかった。
「そこの人、何か悩み事? なんなら、私達新聞部が相談に乗りますよ」
私は、教室で死んだ様に俯いて座っていると、見知らぬ女子生徒から声をかけられた。
それは、学校内で噂になっている新聞部の部長桂木日向さんだった。
最近、噂では彼女の部が生徒失踪事件や新人教師怪死事件などを解決したとして校内で再び話題に上っている。
もしかしたら、彼女達なら解決してくれるかも……そんな気がした。
「実は……」
私は、救いを求める様に彼女に事情を説明する事にした。
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