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修正前
39.シャッターチャンス―Perfect moment on film―
「はぁ……し、死ぬかと思った」

「も、もう駄目です……限界」
日向の暴走に付き合わされ、ぼろぼろになった二人が戻ってきた。

「お前ら、もうちょっと頑張れよ! ロリ担当の責任を果たせ!」
俺は、カメラ小僧の注文に焦り、自分でも意味の分からぬ事を言い出した。

「誰がロリ担当よ、誰がっ! ……豊、あんた、家に戻ったら覚えていなさい?」
あ、軽く死亡フラグ立った。

「頑張れって、何を頑張れば良いのか、さっぱり……宣伝ですか?」
木葉の方は、良い方向に勘違いしてくれているので助かる……。

俺は、そんな二人を軽くあしらって、カメラ小僧の元へと逃げ帰る。

「一体、お前はどんな服装なら、満足するんだ……いい加減、納得いく一枚って奴を撮れよ」
じゃないと、俺の命がいくつあっても足りない……

「すいません……ですが、これだけは、どうしても普通のコスプレ写真で妥協する訳には……っ!」
なんか、かなり面倒な事になってきた気がする……。

「もうこうなったら、誰かの服ひん剥いて撮らせちまうか……」
それも自然体といえば、自然体だろう……

「それは、ただの変態です……それに、あなたが犯罪者になりますよ?」
そんな事言っても、他に俺は何も思いつかな――

「ようやく見つけたわ……全く、何でこんな所をうろついているのよ」
俺が、深刻に男の事で悩んでいると、なぜか仕事着の姿をした雅が人ごみをかぎ分け、現れた。

「また妙に場違いな奴が来たなぁ……」
目の前の巫女装束女に、そう嫌味を言ってやる。

「私だって、来たくなんかなかったわよ……でも、仕事であんたにも手伝ってもらおうと――」
雅が、また俺に面倒な話を持ちかけようとした時、横にいた男が歓喜な声を上げて騒ぎ出した。

「素晴らしい! コスプレとは思えぬ自然体な姿、僕が追い求めていたものは、これだ!」
いや、こいつ……コスプレじゃなくて、本職なんだけど……

「まさか、こんなのが幽霊の好みとは……」
俺は、横で不満そうな顔している雅に、冷たい視線を送り、そう呟いた。

「何の話よ? で、手伝ってくれるの?」
どうやら、御霊の時もそうだったが、男は俺以外には見えていない様だ。

その後、雅にトイレへ行くと嘘をつき、男と作戦を練る事にする。

「で、お前はあいつのどんな写真が撮りたいんだ?」
話によっては、命を懸けなくてはいけなくなってしまう。

「そうですね……彼女が、頬を赤く染めて恥らっている姿なんて良いかもしれません」
そ、想像できねぇ……

俺は、幽霊のその願いに何とか答えようと頭に全神経を集中させ、考える。
結果――

「…………」
俺は、無言のまま雅の元へと戻る。

「あんたねぇ、たかがトイレに、いつまで時間喰っ――」
そして、左手を胸部に押し当て、それを掴んだ。

「お、意外にあった」
俺は、手に伝わる雅の胸の感触に、素直に感心した。

「……豊、あんた……何にしてんの?」
雅は、顔を真っ赤にし、俯いて肩を震わせ、俺にそう尋ねた。

「何って、お前の足りない胸を掴んでる」

「……何の為に?」
雅は、いつもは見せない笑顔でこちらに微笑んでいる。

「お前が女かどうかしら――」
俺は、その発言を言い終える前に、鬼と化した雅に捕まり、会場の裏へと連れて行かれる。

その横では、満足のいく一枚が撮れたのか、幸せそうな表情を浮かべる男の姿が……
その後、ぼろ雑巾の様にボロボロになった俺は、報酬を貰う為に、男の元へと戻る。

「いやー、どこのどなたか知りませんが、僕の為にこんなにしてもらって……感激ですよ」
……感謝の言葉は、言いから例のブツをよこせ

「はい、これ報酬のデータです」
俺は、男からそのCDを引ったくり、感動に打ちひしがれる。

「これで、何の未練もなく、成仏できます」
男は、笑顔でそう呟く、段々体が透け始める。

「ありがとう……」
男は、最後に満足そうに微笑むと完全にその場から、姿を消した。
その直後……

「うあぁぁぁっ! CDが……っ! CDがぁぁぁっ!」
少しだけ予想はしていたが、幽霊が持っていた遺品だ……本人が、成仏すれば消えるのは当然である。
結局、俺は散々苦労したのに、ただ働きという結果になった。

そして、そんな騒がしいコミケも終了し、イベント終了直後の部室では……
俺にゲームの感想を聞く為、日向、霧、亮が集まっていた。

「それで、どうでした……? あの作品は?」
三人は、興味津々と俺の前へと詰め寄る。

「んー、感想を言うとだな……」

「「「感想を言うと……?」」」
そんなに気になるのか、三人の声がぴたりと一致する。

「屋上に良くいるヒロインの一人」
その言葉を聞き、霧は嬉しそうに顔を綻ばせる……。

「あれは、駄目だな……イベントの最中、何でか画面を鴉が飛び回るんだ……邪魔で仕方なかったぜ」
俺のその言葉を聞いた瞬間、霧は態度を一変させ、燃え尽きたようにその場で膝から崩れ落ちた。

「で、次に主人公の部活の部長……」
凹んでいる霧を見て、冷静になれたのか、日向はその言葉を聞いても表情に変化はなかった。

「こいつは、何か面白そうじゃなかったから、まだクリアしてない」
日向は、その言葉で霧と同じく膝から崩れ落ちた。

「後は、ゾンビ女にラスボスの女、個性のない後輩がいるが……どれも微妙だった」
俺は、このゲームが実在の人物を元に作っているのを全く知らないので、言いたい放題言いまくる。

「つまり、俺が言いたいのは、やっぱり、真帆たんが一番って事だよ」
大体、そう簡単に嫁を変えられるかってんだ……

結局、亮の提案した作戦は、日向達に更なる傷を負わせるだけとなった。
後日、鼻血を垂れ流した亮が学校の校庭の木々に張り付けにされているのが目撃された。


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