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修正前
29.決着―Conclusion―
「……まとめて殺してやるっ!」
ブルーは、狂った様に笑いながら、俺とレッドに襲い掛かる。

「さっきから、気持ち悪りぃんだよ……その笑い声っ!」
レッドがその一撃を防いでいる間に、俺は背後からブルーに斬りかかる。

だが、それを瞬時に把握したブルーは、レッドを吹き飛ばし、こちらに刃を向ける。
そのせいで、俺の一撃は防がれ、互いに剣を交え、その場で固まる。

「今だっ!」
俺が、ブルーを抑え付けている間に、再び背後からレッドが斬りかかる。
ブルーは、それに対応できず、直撃し、体を両断された。

「ひ、ひひひ……」
しかし、本来死ぬはずの一撃でもブルーは笑いながら、立ち続けている。

「こ、こいつ……普通の攻撃じゃ、歯が立たないんじゃ……」
俺は、そんな不死身なブルーを前にし、後ろへと下がる。

「しかし、今の俺達にはこれしか……」
だよな……こりゃ絶対絶命だ。

俺達は、勝つ見込みがないと分かり、一歩ずつ後退する。
俺達は、破壊されたフェンスの前まで追い詰められ、後がなくなってしまった。

「……死ね」
ブルーが刃を俺達に向け、にじり寄って来た瞬間、奴の足元に見覚えのある札が投げ込まれた。

「な……に……?」
その瞬間、その札は光を放ち、奴を巻き込み爆発した。

俺は、投げた主が誰だかすぐに把握し、扉の前へ視線を送る。

「……何とか間に合ったみたいね」
そこには、全身傷だらけの雅が立っていた。

「雅、お前、大丈夫なのか!? その傷――」
俺は、雅に駆け寄ろうと近づくが、それを拒絶する様に雅が俺に何かを投げて寄こした。
俺は、それ受け取り、何を渡してきたか確認する。

それは、雅と初めて会った時に手渡してきた紺色の布袋。

「あんたも……いい加減……覚悟決めなさい」

「…………」
俺は、雅の言葉に頷く事はせず、布袋の中から中身を取り出した。

それは、親父が祓魔師として活動していた頃に使っていた日本刀。
あらゆる妖を討ち、あらゆる魔を滅した退魔の剣。
俺は、それを鞘から引き抜いた。

「……貴様ら、さっきから邪魔ばかりしやがって」
雅の攻撃が、多少効いたのか、ブルーの動きが鈍くなっている。

「……遅いわ」
その隙を雅が見逃すはずはなく、瞬時に奴の周りに結界を敷いた。

「……うあぁぁぁ、ば、馬鹿な……」
鴉の時と同様、結界は光を放ち始め、奴をその中へ閉じ込める。

「……もう充分暴れただろ? いい加減、くたばれ」
俺は、その言葉と共に抜刀した刀で一閃、奴の体を引き裂いた。

「馬鹿がっ! 俺には、そんなものは……っ!?」
奴は、体に致命傷を負い、地に崩れ落ちる。

「そんな……こんな事になるなんて……」
身動きが取れなくなったブルーは、焦りの表情を浮かべている。

「レッド! お前が決めろっ!」
俺は、瞬時に手に持つ刀をレッドへと投げ渡す。

「あぁ! ブルー……っ! すまん……っ!」
レッドは、俺の刀を受け取り、刃をブルーの体に向け、斬りかかった。

「ぐ、ぐぁ……、俺は……俺は……」
それは、奴の体を貫き、ブルーはその場で動かなくなった。

「ブルー……」
レッドは、俺に貸し与えた刀を投げて返すとすぐにブルーの元へと駆け寄る。

「れ、レッド……俺は……俺は……」
体を切り裂かれた事により、ブルーは徐々に正気を取り戻している様だ。

「分かっている……お前は、長い間悪夢を見ていただけだ……お前は、悪くない」
レッドは、何かを決意した様な顔つきで、結界の中へと足を踏み入れた。

「行こう……俺達の向かうべき場所へ……」

「ちょ、お前! その中に入ったら、お前まで封印されちまうぞ!?」
俺がそう忠告してもレッドは、躊躇わず中へと進んで行った。

「構わない……俺は、ブルーを探す為に彷徨い続けていただけだ……そんな俺が、これ以上ここにいる理由はない」
レッドは、最初からブルーに会ったら、消える事を決めていたのか、迷いの一切ない表情で俺達を見つめる。

「あぁ、そうだ……そこで寝ている死霊使いに伝言を頼めるか?」
俺は、横で気絶している御霊に視線を移し、レッドの話に耳を傾ける。

「人を傷つける以外に、人と接する事をいい加減学べってな」

「あ、あぁ、分かった伝える……」
俺は、そんなレッドの願いを聞き入れ、強く頷いた。

「お前に会えて良かったよ……お前に会わなかったら、俺はまた何もできず魂すらも消え去っていただろう……」

「へっ、弱腰のままな正義の味方なんて見たくなかったからな」
俺とレッドは、互いに笑い合い、互いの意思を確認し合った。

「これを受け取ってくれるか……? お前になら、安心して託す事ができる」
レッドは、唐突に変身を解除し、結界の中から手だけを出して何かを手渡してきた。
レッドが手渡してきたのは、時計の様に腕に装着する赤と黒の腕輪。

「これは……?」
俺は、それを受け取り、レッドにそれを尋ねる。

「俺が変身するのに、使用してた腕輪さ……もう俺には、必要ない……お前に使って欲しい」
レッドは、俺に何かを期待する様な目で、微笑んでいる。

「まぁ、使うかどうかは分からんが、持っていてやるよ……お前が望むなら」
その俺の返事に満足したのか、レッドは頷き、雅の方へと向き直る。

「そろそろ限界の様だ……巫女よ、やってくれ」
雅は、レッドの言葉に頷き、封印の為の呪文を唱え、封印が徐々に完成されていく……。

「さらばだ……御霊の事を頼む」
最後の瞬間、レッドは笑っていた様な気がする……。

……しかし、最後どさくさに紛れてとんでもない事頼んでいかなかったか?

「だぁー……つ、疲れた」
俺は、その場に手にしていた刀を投げ捨て、地面に大の字で寝転がった。

「今回は、良く頑張ったじゃない……? てっきり、死んでいるかと思ったわ」
そんな俺を見下ろしながら、雅は少しだけ嬉しそうに笑った。

「へっ、見直したか……? 俺だって、やる時はやるぞ?」
今回は、二人とも助けに来なかったから、仕方なくだけど……

「そうね……やっぱり、あんたはあの人の息子だわ」
その言い方だと俺が凄いというより、親父が凄いって言ってる気がするんだが……

「ま、とりあえず、さっさと帰りましょ……学校の関係者に見つかったら、色々厄介なんだから」
それには俺も同意し、気絶している二人を担ぎ、学校を後にする。

「良かったの……? そいつまで、連れてきて? そいつ、あんたの事を殺そうとした奴よ?」
俺が背中に背負っている御霊を指差し、雅はそう呟いた。

「まぁ、そうなんだけどよぉ……そういう事は、意識取り戻してから考えれば良いかなってな」
そんな俺の返答に雅は、呆れ顔で溜め息を漏らしている。

その後、俺と雅は俺の家に二人を運び込んだ後、俺達は倒れる様にその場で眠りについた。
翌日、意識を取り戻した御霊の絶叫が家中に響き渡ったのは、言うまでもない……


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