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修正前
129.近づく犯人像―Criminal image that approaches―
「おや、二人も私を心配して来てくださったんですか……? すみません……私が油断をしたばっかりに……」
ブルースさんの指示通りに俺達二人が神父の寝室に戻るとベッド上で体を起こし、こちらに普段と同じ様に笑みを浮かべる神父の姿があった。

「いや、相手は暗殺者なんだ……神父の手に負える相手じゃなかったと思いますよ」
俺は、先程天井の上で発見した黒い煤の事を思い出しながら……気に病んでいる神父に対して
フォローを入れた。

「しかし、グレンさん……? 意識を取り戻した直後で、失礼かもしれませんが……襲った犯人について何か覚えている事はありますか?」
亮は、申し訳なさそうな表情を浮かべ……寝ている神父に、そう質問を投げかけた。

「……すまない、襲われた時何か変な物を投げられてね……そのせいか、あの時の記憶が曖昧なんですよ」
どうやら、神父からは有力な情報は得られなさそうだ。

「うぅむ、不思議ですねぇ……犯人は何故記憶だけを消して立ち去ったんでしょうか?」
亮が犯人の妙な行動に頭を抱え、考え出す……まぁ、俺もその件に関しては変だと思っていた。

「あ、わかった、あれじゃねぇか……? 犯人と神父は、顔見知りとか」
俺が冗談で、そんな事を呟くと亮が驚いた様にこちらを見てきた。

「な、なんだよ……」
自分でもありきたりな推測だと思っていたので、若干怒られる覚悟は出来ていた。
だが……

「それですよ、豊君! 犯人は顔見知り、そして……ユニスさんが現れた事で始末する対象が二人になってしまい、面倒になった犯人は姿を消したと……」
あら、思ったより良い推理してた……俺?

「顔見知りですか……でも、私もお父様も情けない話ですが……そこまで他の人と交流は……」
まぁ、俺が親父と昔山の中で篭っているのと似た様な生活だしな……この二人は……

「なら、犯人を特定するのも容易かもしれません……幸いな事に私には、優秀な助手がいますし」
あれ、何故か……そんな事を呟かれながら亮が俺の肩を叩いてきたぞ……?

「失礼ですが……亮さんよぉ? その優秀な助手って俺の事か?」
そう俺が亮に尋ねると奴は、すぐにそれに頷き……嫌な笑顔を浮かべてきた。

「期待していますよ、ワトソン君」
勝手に期待すんじゃねぇ! てか、ワトソンって誰だよ……?

「それじゃあ、私達は犯人の手掛りを探しに外を見てきますよ!」
亮は、俺が不満そうな表情を浮かべているのにも関わらず、先程の仕返しなのか……襟首を掴んで強制的に俺を外に連れ出した。

「あの二人……時々、仲が良いのか悪いのか……分からなくなりますよ」
そんな俺達二人を見て、ユニスが呆れた表情を浮かべた。

「まぁ、男の友情なんてあんなもんさ……」
呆れているユニスにブルースさんは、そうフォローを入れた。

亮に無理矢理連行され……強制的に外に出された俺はと言うと……

「ったく、今日のお前なんか変だぞ……? いつもより無茶するって言うか、馬鹿って言うか……」
まぁ、馬鹿は普段も一緒だが……

「そうですかねぇ……まぁ、犯人が誰だか分かってしまったから……でしょうか?」
…………

「豊君だって、天井の窓を見て誰だか予想は出来たでしょう……?」
まぁ、信じたくねぇけどな……実際には、口に出して言いたくない人の名前だ。

「しかし、やっぱり納得が出来ません……あんな風にわざと自分が犯人だと私達に伝える様に痕跡を残すなんて……」
確かに、あの人が犯人だとすれば……そんな事はしそうにない……

「私達の事を敵として見ていないか……若しくは……」
そこで一旦間を置き……亮は、俺に視線を向ける。

「若しくは……?」
俺は、その続きが気になり……亮の言葉を復唱する。

「私達を何かへ導こうとしてる……? まぁ、自分でも何を言ってるのか……さっぱりですが……」
……あぁ、本当にさっぱりだ……期待したのが間違いだったよ……

「とりあえず、ここで話していても仕方がありませんし……この辺り一帯の調査でもしますか」
俺は、その亮の提案に頷き……一緒に近くの茂みや木々などを調べ始めた。

亮にとっては、あの人が犯人であると断定する為の材料を探すという理由で動いているかもしれないが……

俺にとっては、違う……寧ろ、その逆だ……出てきた痕跡などからあの人が犯人でない事を証明したい……そういう思いで行動している。

自分の心の中では、それが決して覆される事はないと知りながら……


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