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修正前
12.変態と紳士―Abnormality and gentleman―
「ここが、奴の教室か……」
あの後、日向にも頼まれ断る事ができなくなった俺は、一人例の眼鏡がいるクラスの前までやって来ていた。

どうやって接触するかとか、具体的な事は全く考えていないが……まぁ、なんとかなるだろう。
俺は、堂々と眼鏡の教室へ足を踏み込んむと、奴がいる机の前までやって来た。

「…………」
奴は、本に夢中なのか、俺がやって来たのに気付いていない様子だ。
無視されたのが癪だったので、俺は懐から秘蔵の素敵コレクションを一枚抜き出し、本の上に乗せてやった。

「なっ!?」
眼鏡は、相当本の世界にのめり込んでいたのか、突然の桃色写真攻撃に驚きの表情を浮かべている。

「よぉ、また会ったな」
俺は、そんな眼鏡の態度なんかお構いなしに話を進める。

「あ、君は……この前のゲーセンにいた弱い奴」
耐えろ……耐えろ、俺……負けたのは、事実なんだ、怒っても仕方ないじゃないか……

「まさか、同じ学校だったとはね……僕に、何か用?」
白々しい野郎だ……明らかに、俺らの事知っている癖に……

「良くぞ聞いた! 俺は、貴様に再戦を申し込む為にやって来たのだよ」
勿論、今考えた口実だが……

「弱い人と何度やっても練習にはならないのですが……」
こいつは、なんで毎回喋る度に憎たらしい事ばっか言いやがるんだ……。

「いいから、来い! 今回は、俺が勝つまで返さねぇからな」
俺は、帰宅の準備を始めている眼鏡の襟首を掴み、強引にゲーセンに連れ出した。

「ちょ、自分で歩ける……くるしっ、しぬ……」
後ろで、何か言ってるが、俺は気にしない……

そして、目的地に到着した。

「ぜぇ……ぜぇ……し、死ぬかと思った」
なんか後ろで、眼鏡が息苦しそうにしてるが、喘息だろうか?

俺は、強制的に奴を反対側の席に座らせると対戦を始めた……。
結果、10戦0勝10敗……。
接触する為とはいえ、俺のプライドはかなり傷つけられた。

「……ふん」
眼鏡は、そんな俺を見て生意気な表情を浮かべている。

「かぁーーっ、もうやめだ、やめ! こんなのやってられるか!」
俺は、自棄になり、そんな叫び声をあげた。

「じゃあ、僕は帰って良いかい? これでも、忙しい身――」
とりあえず、こいつを帰しても再び真帆さんに、嫌がらせするだけなので強引に襟首を掴んで他の場所へ連れて行く……

「よぉし、今度は電気街でエロゲ物色するぞー、お前も付き合え」
そういえば、買いたい奴があったとまたその場で考えた口実で、行動を開始した。

「は、離せっ! 僕は、そんな野蛮な場所には、行かないぞ!」
こいつは、あれか? 人前だと、そういうのを隠すタイプか? むっつり野郎は、これだから困る。

「んー、これは買いかな? いや、前評価だけで買うのは……」
結局、奴は嫌々ながら着いてきて、俺よりこの場を楽しんでいるのか、目の前の商品を見て悩み始めている。

「お前、さっき言ってた事とやってる事……真逆な」
流石、自分のテリトリーだと本性を発揮しやがる……俺も似た様なものだけど

「あなたも僕と同じでしょう? なら、隠す必要はないと思っただけです」
言い返す言葉もない……。

「お、あったあった、俺これが欲しかったんだよ」
俺は、前々から欲しがっていたエロゲを手に取った。

「あ、それ僕も欲しかったんですよ、あなた他に何持ってるんですか?」
エロゲの話題で、ようやくまともに会話ができる用になった気がする。
やっぱり、二次元の力は偉大だ。

その後、自分達の所持しているエロゲの話題などで場が盛り上がり、何時の間にか俺は、ストーカー男と仲良くなっていた。

色々話をしている内に、目の前の眼鏡の名は竹部純である事。
純愛ものの小説やらゲームが好きな事、最近好きな奴がいる事、気持ちがうまく伝わらない事などを聞きだす事に成功した。

「好きな奴ねぇ……俺には、三次元女のどこが良いのか、さっぱりだ」
身近に女子は、沢山いるのにな……。

「それは出会いが無いからですよ、素敵な出会いをすれば、その考えは変わります」
こいつと真帆さんの間に、一体どんな素敵な出会いがあったんだ?

「お前の場合、どんな出会いだったんだよ?」
とりあえず、情報は多い方が良いので質問してみる事にした。

「僕が一年の頃、クラスに馴染めてない時に一人だけ、話しかけてくれた女子がいたんですよ、その後も何回か声をかけてくれて……嬉しかったなぁ」
え……それだけ?

「お前、それ孤独で寂しかったから、そんな素敵に感じるだけじゃねぇのか?」
多分、というより、ほぼ100%だろう……。

「いいえ、あの時僕にかけてくれた優しさは、本物です! それは、間違いない」
……そ、そうですか

こいつは、自分の中で勝手に舞い上がってるだけか……しかし、ナイフまで持ち出して女を黙らせようなんて輩はなぁ……

「なら、お前ちゃんとしたアプローチとかしたのか? 気持ちは、ちゃんと言葉にしないと分かってもらえないぞ?」
既に、不可能な領域まで突入しているが……

「えぇ、僕は紳士ですからね……節度ある対応を……」
こいつは、何を言ってるんだ……?
こいつの中では、ストーキング行為も夜中襲う行為も節度ある対応なのか?
駄目だ、俺と次元が違いすぎる……ただ言える事は、こいつは紳士じゃねぇ……
ただの変態だ……。

「まぁ、紳士だったら、好きな子追っかけ回したり、ナイフで脅したりしねぇよな」
やべぇ……っ! いらん事を口走ってしまった……。

すると、目の前の純の表情が、途端恐ろしい表情へと変わった。

「え、なんで、それを君が……? は、ははは……そうか、あの子喋ったんだね? 君に……?」
まずった、本性を暴くのは、もう少し先にしろって言われてたのに……

「もう喋っちまったし、遠慮する事はねぇよな……純、お前今すぐ真帆さんを付け狙うのやめろ」
まぁ、逆効果だろうが、一応忠告した。

「やめろ……? なんでですか……? 僕らは、結ばれる運命なんですよ、あの子もきっと分かってくれる」
……こいつは、小説やゲームを鵜呑みにしすぎだな。

「もうそんな次元で済まされる話じゃねぇんだよ、実際に彼女は既に精神的に限界だ、このまま行けば自殺する可能性だって出てくるぞ?」
これは、脅しとか冗談ではなく本当だ。

「なら、死んだ世界で二人幸せになれば良いんですよ」
あぁ……駄目だ……救えねぇ……

「とりあえず、忠告はした……これ以上、近づく様な俺らも動くからな?」
奴の発言から理解できるが、間違いなく再び何かやらかすだろう。
俺は、言いたい事だけ言い終えるとその場から、立ち去った。

「どんな障害が来ようと僕と彼女の愛を妨げる事は、できませんよ」
背後から、再び電波発言が聞こえるが無視して、家に帰った。

どちらにせよ、いつかは、こうなって直接的に対峙する事になる。
なら、早く解決した方が真帆さんの精神状態も考えて、ベストだろう。

俺は、自宅に帰り、待ち構えていた日向に事情を説明した。

「はぁ!? あんた、話したの!?」
日向が、信じられないという表情でこちらを見ている。

「すまん、ついカッとなってな……」
感情に身を任せる癖……いい加減直さねぇと……

「……ったく、あんたは」
日向は、相当困っているのか、頭を抱えている。

「でも、これで奴は何かしら動きを見せるだろ? それを証拠にすれば、警察も動くと思うんだ」
まぁ、多分だけど……

「まぁ、私達みたいな普通の学生じゃ、その方法しかないわよねぇ……だけど、注意しなさい?」

「あいつは、真帆さんに近づく男に容赦しないわ、真帆さんの友達だった人も何人か怪我してるし」
おいおい、マジかよ……。

「多分、あんたも狙われるわよ? あいつの中で、今一番腹のたつ相手でしょうから」
…………。

「私は、明日真帆さんを連れてもう一度警察に行ってみるわ、あんたは、しばらく大人しくしてなさい」
まぁ、命の危険性があるなら、俺は動かない方が良いかな……

俺は、その日向の提案に黙って頷いた。

「とりあえず、ご苦労様……後は、私に任せて」
こいつに任せるのは、凄い不安だが……他に手もないだろう。

俺達は、用件を話し終えて、お互い自宅へ戻った。
俺は、自室のベットに倒れこみ、今後の事を俺なりに考えてみた。

結果、俺じゃどうしようもないので、寝るに決まった。
明日には、俺への恨みを純の野朗が忘れるのを願って、その日は寝る事にした。


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