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修正前
119.告白成功率0%―Confession success rate 0%―
私は、豊にメールで書かれていた待ち合わせの場所である公園へとやって来た。

辺りを見渡してみるが、豊らしき人影を見つける事は出来ない……

「あいつ……まさか、誘っておいて忘れたんじゃないでしょうね?」
私は、今の状況を不満に思い……機嫌の悪い表情を浮かべていると背後から物音がした。

「豊……?」
私は、それを豊だと思い……何の躊躇いもなく後ろへと振り返る。

「…………」
そこには、怪しげなパンダが私向って手を振っていた。

「……何かいる」
私は、その人物の姿に圧倒され……動く事が出来ず、立ち止まってしまった……。

その間、例のパンダは私の元へと一歩ずつ近づき……手にしている何かを私向けて渡してくる。
パンダが渡してきたのは、手紙と丁寧に包装されたピンク色の箱……。

「……これ、箱開けろと?」
既につっこむ気力も無く、目の前のパンダの言う通りにしてあげる事にした。
パンダは、嬉しそうに何度を首を上下に振り……頷いている。

「…………」
私は、無言で包装紙を外し……中の箱を取り出した。
そして、中から出てきた白い箱の蓋をゆっくりと開く……

「何……これ?」
箱の中から出てきたのは、魚の漢字が沢山書かれた湯のみ……

その品物について、私がパンダに質問すると……
パンダは両手を広げ、私の方へと向けてくる……要するに、あなたにあげます……と?

「あ、ありがと……」
正直、こんなの渡されてどう反応して良いのか分からない……

パンダは、私がお礼を言ったのが嬉しかったのか……何故か、私の周りを楽しそうにスキップして回っている。

しばらく動き回っていたパンダだったが、突然足を止め……もう一つ私に渡した手紙の方を指差し、中を見る様に指示を出してきた……。

「あぁー……はいはい」
私は、少々呆れながら……パンダの指示に従い、手紙の内容に目を通す……

だが、手紙にはたった一言……筆で書き殴った様に、こう記されていた。

俺の女になれ

…………。
……………………。
………………………………。

私がその手紙を読んだのを把握したのか、パンダは嬉しそうに右手で親指を立て、サムズアップしてきた。

私は、そんな嬉しそうにしているパンダに笑顔を向け……近づき頭を撫でてやる。
パンダは、そんな私の態度に嬉しそうな仕草を見せた……。

「私、結婚します! ……パンダと」
私とパンダは、手を取り合い……素敵な笑顔を浮かべながら、スキップをし始めた。

今、ここに人間と動物の種族を超えた愛が……

「……何て言うと思ったか、この腐れパンダ」
私は、幸せそうにしているパンダの頭と体の隙間の部分に手を突っ込み、中にある首を掴んだ。

そして、物凄い力でそれを握り締め……少しずつ上へと持ち上げる。
パンダは、命の危険を感じたのか……必死で首を横に振り、掴んでいる私の手を両手で解こうと頑張っている。

「あ、そうそう……手紙の内容、良く理解できなかったのよねぇ……もう一度教えてくれない? 誰の女になれですって?」
既にパンダは、私に持ち上げられ……若干宙を浮き、足をバタつかせている。

「ぐっ、ぐるしっ……わ、私のお、おんな……」
パンダの中の人は、再び手紙の内容を復唱しようと口を開くが……

「ん? 何ですって……? 良く聞こえなかったわ、もう一回お願い」
更に腕の力を強めた私のせいで、最後まで言う事が出来なかった……

「だ……か……ら、私の……い、いえ……何でもありません、何でもありませんから……その左手の握り拳を収めて下さい」
中の人は、私の拳に生命の危機を感じたのか……告白するのを断念し、全力で謝罪を始めた。

「あら、そう? じゃあ、もう何も用はないわね……?」
私は、そう呟くと持ち上げていたパンダを前方へ放り投げ……床に倒れたまま動かなくなったパンダに背を向け、公園を後にする。

私は、公園を出る時……思い出した様に声をあげ、先程パンダがプレゼントした湯のみを掲げた。

「あ、そうそう……これは貰っておくわ、今家に湯のみが少なくて困っていたのよねぇ……感謝するわ、パンダさん」
私は、すっきりした表情でそれだけを言い残し、その場から姿を消した。

――――――――――――――――――――――――――――

一方、物陰でその様子を伺っていた俺とブルースさんは……

「亮……お前は、良く頑張った……偉い……偉いぞ」
雅に投げ捨てられた亮の元へブルースさんが駆け寄り、それを抱き起こしている。

「まぁ……馬鹿のメーター振り切れば、偉いに変わるかもなぁ」
俺は、そんな光景を呆れながら見つめ……そんな事を呟く……

「ブルースさん……私、頑張りましたよね? 私、ブルースさんの指示通りに……」
いや、それに従ったから失敗したって思うのは、俺だけか?

「あぁ、お前は完璧だった……俺の指示通りだったよ……しかし、妙だ……俺の時は、あれでレジーナは落ちたんだぞ?」
何か、急に……この人が勝ち組に見えなくなってきた……。

「仕方ない、後は亮! 何度も挑戦して自分の気持ちを理解してもらうだけだ! ファイト、亮!」
つまり、それは亮に死ねと言っている訳ですね……

「……もう……勘弁してください」
亮は、涙目でブルースさんにそう訴えながら……意識を失った。

後日、あの一件ですっかり恐怖を植え付けられた亮は……数日の間、不眠症で眠れない夜を過ごしたらしい……


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