そして、作戦を決行する日となった。
俺は、家にいてもする事がないので予定の時間十五分前には、集合場所である駅前に着いていた。
「あ、豊さん」
どうやら、霧も同じだったのか、俺より先に駅前に来ていた。
「よう、まだ他の奴らは来てないみたいだな」
一応、周囲を見渡すがそれらしき人物は見当たらなかった。
「そうみたいですね、早く来すぎちゃいました……」
霧の奴は、恐らく遠足の前日眠れない性質だろうな……
「まぁ、適当に時間潰してればすぐに来るだろ」
俺は、念の為に持ってきた携帯ゲームを取り出し、やり始めた。
「何のゲームやってるんですか?」
霧は、待っている間する事がないのか、俺に話しかけてきた。
「ん、格ゲーだよ、最近流行りの……」
まぁ、霧に言っても絶対分からないだろうが……
「格ゲーって、あれですよね? キャラクター同士が戦ってライフゲージ0にした方が勝ちっていう」
少しは、理解しているらしい……
「興味あるなら、やってみるか? 暇つぶしにはなるぞ?」
そう言って俺は、持っていた携帯ゲームを霧に手渡した。
「え、良いんですか? じゃあ、やってみようかな」
霧は、ぎこちない手つきでゲームを始めた。
「まぁ、最初は負けるの当たり前だし、かなり練習すれば――」
そう俺が言いかけた時、ゲーム機から音がした。
『YOU WIN!』
…………。
「やりました! 豊さん、勝ちましたよ」
は、はは……なかなかお上手で……
その後、すぐに負けると思った霧だったが、なぜか才能があるのか一回も負ける事なく、ラスボスまで行ってしまった。
「俺でも、まだそこまで行ってねぇのに……」
俺は、とんでもない奴にゲームを貸してしまったんじゃないだろうか?
ラスボス戦、前半苦戦を強いられていたが、奇跡的に必殺技が決まり、霧の逆転勝利となった。
『YOU WIN!』
画面には、先程と同じ様にそんな文字が映し出されている。
「やったー、勝ちましたよ豊さん! これ、面白いですねー」
うん、そうだね……
「俺は、今無性にお前をゲーセンに連れて行きたくなったぞ」
こいつなら、百戦錬磨の猛者達が集う地元のゲーセンでも勝てる気がする……。
「これ、ゲームセンターにもあるんですか? ちょっとやってみたいかも」
どうやら、本人も乗り気だ。
「じゃあ、日向達が来たら行ってみるか?」
どうせ、ろくに行き先なんて決めてないんだろうし……
「はい!」
携帯で時間を確認すると、気付けば約束の時間まで後5分となっていた。
「そろそろ奴らも来るだろ? ほら、噂をすれば……」
俺らの前方から、全速力でこちらに向かってくる人影が一つ。
「ぜぇ……ぜぇ……なんとか間に合いました」
現れたのは、木葉の方だった。
「そこまで急ぐ事なかったかもな? まだ日向達来てないし」
というより、主催者が一番遅いってどうよ?
「えぇー、まだ二人共来てなかったんですか……先輩、昨日電話で五分前に来なければ、後が怖いとか脅してきたのに」
諦めろ木葉、奴はそういう女だ。
「しかし、お前良く起きれたな? 朝すげぇ弱いのに」
木葉の奴は、朝二度寝するのが当たり前で、毎日遅刻ぎりぎりで学校に来ているのだ。
「そりゃ、昨日あんなに脅されましたから……ほとんど寝てませんけど」
そういえば、心なしか木葉の目の下にくまができている。
「おいおい、途中で倒れんなよな? 倒れられたら、俺が担ぐ羽目になるだろうし」
前に一度、三人で遊びに行った時、偉い目に遭ったからな……
「安心してください、今回はそんな失敗しませんよ」
木葉よ、それはフラグだ……発言を控えろ……
「豊さん、また勝ちました! 見てください」
……お前は、黙ってるかと思ったら、まだそれやってたのか……
「……没収」
俺は、ゲームに夢中になってる霧からゲーム機を取り上げた。
「えぇ、な、なんでですか!?」
貴様は、俺のプライドに傷をつけた……。
「あぁー、それ最新の格闘ゲームですよね? 私も良くやりますよー、それ」
木葉の奴は、俺に負けず劣らずのゲームマニアだからな……。
部室にあるゲームの半分は、こいつが持ってきた奴だし……。
「木葉さんもやってたんですね、じゃあ後でゲームセンターに行って、皆で一緒にやりましょう」
……俺は、これ以上傷つきたくないから、遠慮したい……。
「いいですよー、霧さんは今日始めたばかりみたいだし、手加減してあげます」
……哀れだな、木葉よ……俺は、貴様の事を影ながら応援しよう。
「ごめーん、色々あって遅れたー」
そんなやり取りをしていると、ようやく主催者である日向と真帆さんが現れた。
「部長酷いですよ! 私に、あんなに早く来る様に言ってたのに!」
横にいた木葉が、日向が来た途端不貞腐れ始めた。
「いやぁ、昨日面白い特番があってさー、寝坊しちゃった、ごめんごめん」
日向よ、言い訳するのは良いが、それは言わない方がマシな気がするぞ……?
「すいません、私も遅刻してしまって……」
真帆さんも罪悪感に苛まれたのか、必死に頭を下げている。
「まぁ、約一名以外は気にしてないから、別にいいぞ? それと木葉、お前はいつも逆の立場なんだから、今回は大目に見てやれ」
とりあえず、これで次回は俺が堂々と遅刻できるな……
「むぅぅぅ、先輩がそう言うなら、我慢します」
こいつは、扱い易くて良いな……
「で、今日はどこ行く予定なんだ? まぁ、どうせ決まってないんだろうが」
聞くだけ無駄だとは思うが、一応聞いておこう。
「あ、あははは……」
案の定、計画性ゼロか……
「じゃあ、適当にぶらぶらするべ? とりあえず、ゲームセンター行かないか? 霧と木葉が、行きたいらしいんだが」
俺は、木葉が無残にやられる所を見てみたいだけだが……
「私は、別に構わないわよ? 真帆さんは、ゲーセン大丈夫?」
「え、ええ、私も良く行きますし、全然問題ありません」
まぁ、ゲーマーじゃなくてもクレーンゲームやら何やらで時間潰せるだろう。
全員一致で、行く場所はゲーセンに決まった。
俺達の入ったゲーセンは、昼間だというのに多くの人で賑わっている。
「凄い人の数ですね、ゲームセンターってこんな所なんですか」
霧は、初めて来たのか、興奮してあちこち見て回っている。
しかし、この時間帯にこんだけの人がいるのは、異常だ。
今日、ここで何かイベントでもやるのか?
「木葉、お前ここで今日何やるか知ってるか?」
俺が木葉に、そう尋ねると木葉は怪しく笑い始めた。
「良くぞ聞いてくれました、先輩! 今日は、ここで先程の格闘ゲームの大会が開かれるのです!」
な、なんだってぇぇ……って、そこまで驚く所じゃねぇな。
「ちなみに、当日エントリーも可の大会なのですよ」
なるほど、つまり、やれる奴はエントリーしろと言いたい訳だな?
「よし、んじゃ、俺も挑戦してやるか」
先程、霧にかなりプライドを傷つけられたが、これはそれを取り返すチャンスだ。
「なんか凄い事になってきたわね……、私達はあっちで違うゲームでも見てるわ」
日向と真帆さんは、全く関心がないのか、奥のクレーンゲームなどがあるゲームコーナーに行ってしまった。
「そ、それじゃあ、私もあちらに……」
霧は、嫌な予感がしたのか、日向達が向かった方角へ歩き出した。
が、勿論それを俺と木葉が認めるはずもなく……
俺と木葉は、逃げようとする霧の両肩をがっちりと掴んだ。
「へっへっへ」
「ふっふっふ」
俺と木葉は、犯罪者顔負けの悪人面で、怪しい笑い声をあげる。
「ひ、ひぇぇ……」
こうして、霧も無理矢理エントリーする事に決まった。
俺達が、エントリーし終わった後、すぐにトーナメント表が配られた。
ちなみに、俺はその格闘ゲームの中では、主役を張っているキャラを使用している。
理由は、主人公が負けるはずないから……
そして、トーナメント一回戦がスタート
俺の相手は、速さのみ追及され、力があまりない、上級テクニックが必要な女キャラ使い。
「はははは! 主人公である俺様に勝てるかーっ!」
俺は、お決まりのコンボで相手をハメ追い討ちをかける。
が、それはすぐに破られ、相手のキャラが光ったと思うと、即死技発動、俺のキャラは呆気なく倒れた。
「ま、まさか……こんな……俺がやぶれるなんて……主人公が、負けるはずは……」
霧の時の屈辱を晴らすつもりが、逆に更に深い傷を負う事になってしまった。
反対側の席にいた対戦者の男が、余裕の表情で席を立った。
見た目は、俺と同種のオーラを放つの眼鏡男だった。
「いやぁ、いい試合でした、もう少しで僕がやられる所でしたよ」
嘘付け、ガードは完璧、攻撃は全くせず、即死技で倒すとか相手を舐めているとしか思えない……。
そんな相手に腹を立てていると、奥の霧達が対戦している場所から歓声が上がっている。
見ると、霧がパーフェクトで対戦者を倒していた。
携帯ゲームとは、操作性とか全く別物なのに、なんて恐ろしい奴だ……。
「やったー、豊さん勝ちました!」
おうおう、良かったな……でも、感傷浸っている俺には酷ってもんだぜ……。
「私も勝ちましたー、先輩はー? あれー、負けてる」
とりあえず、空気が読めない約一名を全力でぶん殴っておいた。
「うぅ、でも、先輩の対戦した方、かなりの腕ですね……早く決着が着いて見てましたけど、私も勝てるか自信ないですよ」
俺は、完全に遊ばれたしな……。
「まぁ、俺も応援してるから、お前ら負けるんじゃねぇぞ! 特に、あのクソ眼鏡に」
自分が負けた仇を後輩に討ってもらおうとするのは、先輩として失格だろうか?
「わかりました、頑張ります」
霧は、応援しなくても簡単に決勝行きそうだが……
「先輩の無念晴らしてみせますよー」
あぁ、お前には、あまり期待してない……。
結局、その後二人は凄い事に準決勝まで勝ち残ってしまった。
対戦カードを見ると木葉が、例の眼鏡と勝負する事になっている。
「うぐ、ついに来ましたか……あの人」
今までの奴の勝ち方を見て、大分臆病風に吹かれているらしい……
「まぁ、あんまり気負うな、少しでも隙を見せれば負け確定だぞ?」
特に、あのクソ眼鏡は相手をいたぶるのが趣味みたいな戦い方してるしな……
「うぅ、分かってますよ! 勝ちます、勝ってみせます!」
木葉は、俺の激励を受け、準決勝に望んだ。
結果、木葉敗北……それも俺と同じで即死技で倒されていた。
「うぅ……先輩、仇とれませんでしたぁ」
木葉は、相当悔しかったのか、半べそをかいている。
「あぁあぁ、お前は頑張った、だから安らかに眠れ」
俺は、木葉の前で手を揃え合掌する。
「死んでませんよ!」
ふむ、これだけ鋭いツッコミが出来れば、大丈夫そうだな。
「そういや、霧の奴はどうなったんだ? ちょっと見に行くぞ、木葉」
俺は、木葉を連れ、霧の準決勝が行われている場所へやって来た。
そこでは、先程と以上の大歓声があがっている。
また霧が、パーフェクト勝ちしたみたいだ……。
「豊さん、木葉さん、やりましたー、決勝進出ですよ!」
霧は、ご機嫌そうに笑いながら、こちらに戻ってきた。
「あぁ……もうね……」
「自信……失くしますね」
俺と木葉は、そんな霧を見て深いため息を漏らした。
「だけど、こうなったら霧さんに、あの眼鏡野郎を倒してもらわないと!」
どうやら、木葉もあの眼鏡に腹が立ったみたいだ。
「という訳だ、霧、手加減なしでいいぞ? 全力で潰せ」
そして、あの眼鏡が屈辱でのた打ち回るの笑いながら眺めてやる。
ついに、決勝戦がスタート
最初、眼鏡が霧に先制攻撃で攻め、優位に立った。
だが、霧も負けじとコンボを重ね、同じ量のライフまでゲージを削る。
両者一歩も退かない死闘、まさに決勝戦に相応しい戦いだ。
既に制限時間が迫っているのに、焦ったのか眼鏡が俺達に使った即死技を使用。
が、霧はそれを難なく避け、必殺技を使わずパンチだけで呆気なく倒してしまった。
反対の席にいた眼鏡は、心底悔しそうに顔を歪ませている。
「良くやった霧! お前なら、やってくれると信じていたぞ!」
最初押されている時、負けんじゃね? って思ったのは、内緒だ。
「流石霧さんです! まさか、弱パンチだけで倒してしまうとは思いませんでした」
俺達は、見事仇を討ってくれた霧に駆け寄って、そう褒め称えた。
実に、情けない光景ではあるが、気にしない……。
霧は、優勝したおかげで賞金五万円をゲットしていた。
あの眼鏡も相当悔しがってるんだろうなと、奴がいた方角に目を向けるとそこには既に奴の姿がなかった。
「なんだ、あいつ……悔しくて、さっさと逃げたのか?」
まぁ、俺としては霧が勝って清々したから、もう良いけど……
「賞金手に入りましたし、皆でお昼御飯にしませんか? 私、奢りますよ」
霧は、優勝して相当舞い上がっているのか、そんな事を言い出した。
「ラッキー、飯代浮きますねー先輩!」
……こいつは、少しは自分の欲を隠せ。
「んじゃあ、日向達呼びに言って皆で飯にするか?」
二人は、俺のその提案に頷くと日向達の所へ向かった。
日向達を探して行き着いたのは、なんと競馬のゲームコーナー。
「ぐああぁ、また負けたぁ、くそぉー買おうか迷ってたんだけどなぁ」
日向がそこで、頭を抱えて嘆き悲しんでいる。
「ひ、日向さん、落ち着いて……ね?」
真帆さんは、横でそんな日向を見て困っていた。
「……お前は、もっと少女趣味に目覚めろ」
とりあえず、未だに頭を抱えて嘆いている日向にそう言ってやる事にした。
その後、霧の提案通り、皆で近くの洒落たレストランで食事する事になった。
俺にとっては、実に息苦しい空間だが……
「霧さん、私ハンバーグステーキセットが良いです!」
俺は少しだけ木葉の空気の読めなさを羨ましく思ってしまった。
各自メニューを決め、お冷を口にしながら、ゲーセンであった話をそれぞれ語り始めた。
日向達は、どうやらしばらくは、クレーンゲームやら女子が好きそうなゲームをやっていたらしいが、あまりに景品が取れないのに日向がキレて、定員に追い出され競馬ゲームで時間を潰していたらしい……
「日向よ、お前は子供か?」
前々から、そうだとは思っていたが……
「うっさいわねぇ、あれアームが調整されてんのよ、絶対! あぁー、もう金返せ!」
そういう奴は、クレーンゲームには向かないぞ……
「まぁまぁ、落ち着いてください……」
日向とは対象的に、真帆さんは得意なのか景品のぬいぐるみを複数ゲットしたみたいだ。
「わぁ、可愛いですねぇ、それ」
そんなぬいぐるみに目を付けたのか、木葉が羨ましそうに目を輝かせている。
「あ、良かったら、あげますよ、沢山取れたので」
真帆さんのそんな言葉を聞き、木葉嬉しそうにぬいぐるみを一つ貰っていた。
他の二人も欲しかったのか、各自一つずつぬいぐるみを貰っている。
「しかし、あれだなぁ……」
反対側でぬいぐるみを抱えている日向を見て、俺はそんな意味ありげな台詞を吐いた。
「な、なによ……?」
日向は、何を言われるのか、既に予想できているのか不機嫌そうな表情をしている。
「似合わねぇ……」
それを言い終えた瞬間、目の前から凄まじいストレートが飛んできた。
「ぐおぉぉぉぉ」
俺は、痛みに耐えかねて悲痛な叫び声をあげた。
「い、今、先輩の顔が梅干みたいに……」
そんな俺と日向のやり取りを見て、木葉が若干怯えている。
「でも、凄かったですねぇ、さっきの霧さんの活躍」
日向達の話題を終え、今度は霧の大会優勝の話になった。
「まさか自分でも優勝できるとは、思ってませんでした……あはは」
なんだろう……この言いようの無い敗北感は……
「凄いわねぇ、今日が始めてだったんでしょう? それで、優勝しちゃうなんて……どっかの馬鹿や後輩とは大違いだわ」
俺と木葉は、言われたくない事を突かれ、先程のトラウマが蘇り、軽く鬱になった。
「ま、まぁ次回がありますよ……次回が」
そんな俺と木葉を見て、真帆さんが必死にフォローしてくれている。
結局、その後、皆で食事をし、軽く時間を潰して解散となった。
帰り道、日向と真帆さんは昨日と同様一緒に帰っていった。
残った俺・木葉・霧は、鴉を呼んで今日の事を聞きながら、帰り道を歩いている。
「しかし、ストーカーの野郎、今日はいたのかねぇ? 俺は、ちっとも気配なんか感じなかったぞ」
俺が鈍感なだけかもしれないけど……
「あれ、先輩もですか? 奇遇ですねぇ、私も全然気付きませんでした」
う、木葉と同類とか……なんか、嫌だ。
「え、それ本当ですか……っ!?」
霧は、鴉から何を聞いたのか、驚きの声をあげている。
「ん、何かあったのか? 顔色悪いぞ」
霧は、とんでもない事実を知ってしまったのか、顔を青くさせている。
「もしかして、ストーカーの正体が私達の知ってる人だったりして……あはは、そんな訳ないか」
木葉は、冗談半分でそんな事を呟き笑っている……。
「…………」
しかし、霧は木葉のその台詞を否定しようとはしなかった。
「え、まさか本当に知ってる奴……?」
その木葉の問いに、霧は無言で頷いた。
「まじか……誰だ、犯人の野郎は?」
俺は、必死で知り合いの男子の顔を色々思い浮かべながら、犯人を捜す。
「あの人です……」
……?
「ゲーセンでいた、あの人です……」
その霧の一言で、俺と木葉の思考は停止した。
まさか、俺らは既に犯人に接触していたとは……
俺と木葉は、若干身震いしたものの、前からの体験のせいで、そこまで怯える事はなかった。
「だ、だが、これで犯人は決まったなっ! 後は、とっ捕まえて懲らしめるだけだ」
相手があの眼鏡ってのが、かなり嫌だが……
「次は、犯人との接触ですね……適役は、やっぱり……」
そう言って木葉と霧の視線は自然と俺に向けられた。
「おい、待て……なんで俺!? 野郎よりも女のが警戒心解くんじゃねぇの!?」
あんな野郎と二人で話すなんて、想像するだけで吐き気がする。
「でも……ねぇ? 私達だと何あるか、分からないし、先輩だと平気かなって」
おい、それは俺が何あっても構わないって事か?
「ほ、ほら、先輩とあの人、同じオーラ出してたじゃないですか! そういう話で、気が合うかもしれませんし」
…………。
「だ、男性にしか分かり合えない友情っていうものがあるかもしれませんよ!?」
二人して、必死で俺を奴と接触させようと頑張っている。
「……わーったよ、俺がやればいいんだろ、やれば……はぁ、なんで俺は毎回こんな嫌な役目が回ってくるんだ」
結局、俺はその申し出に断れず、眼鏡野郎と接触する事になってしまった。
まぁ、実際女子連中に任せるのは、気が引けるし……しょうがないか……
そして、次の日から俺が奴と接触して情報聞きだす事となった。
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