移動教室のため、廊下を歩いていたサクラの目に黒髪の少年の姿が写る。
クラスは違うが、同じ学年のうちはサスケ。その容姿と頭脳で皆の憧れの存在であり、下級生だけではなく上級生からも人気があった。
サクラは廊下の窓から、反対側の職員室前の廊下で教師と話をしているサスケを見ていた。
「はぁ……かっこいいな 私なんか眼中にないんだろうな……」
ぶつぶつと呟き溜め息をつくと、始業のチャイムが鳴り響く。気付くとサスケの姿はすでになく、サクラは遅れてしまってはいけないと慌てて走り出した。
「きゃっ!」
走り出した途端に誰かとぶつかり尻餅をついてしまうサクラ。
「──大丈夫か?」
「あ……」
同じく尻餅をついているぶつかった相手を見たサクラの顔が真っ赤に染まる。
ぶつかったのはサスケだった。
サクラがま抜けにも口を開けて見ていると、サスケが視線を泳がせ下方を指差す。
「──あんた……見えてるぞ」
サスケが示した先には、膝を立てていたために丸見えになったサクラの下着。サクラがそれに気付き慌てて立ち上がると、サスケは落ちていたサクラの教科書やノートを拾い集めた。
「ほら……悪かったな」
サスケが差し出した教科書たちをサクラが受けとると、サスケは階段を上がっていく。屋上への階段を。
「ど……どこ行くの?」
「サボリだよサボリ」
サクラが勇気を振り絞って声をかけると、口角を吊り上げるサスケ。そのまま屋上へと消えてしまい、屋上への階段と移動教室へ続く廊下を交互に見たサクラは、迷ったあげく階段を上っていった。
「──あんた授業はいいのか?」
フェンスに寄りかかり腰を下ろしていたサスケは、現れたサクラを驚いたように見る。
「わ、私も……一緒にサボらせて」
「へぇ……成績優秀で真面目な春野がサボるなんて意外だな」
意外だと思ったのはサクラの方だ。サスケがサクラの名前を知っていたのだから。
「ピンクと黄色のチェック……」
「──え?」
「あんたのパンツ」
「サ、サササスケ君!」
初めて授業をサボった。心臓がドキドキしてて、鼓動が自分にも聞こえてた。
でもね、ドキドキの半分はサスケ君のせい。遠かったあなたがこんなに近くにいるから。
fin |