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バレンタインなんか大嫌い!!

作者:廣瀬 るな
「つまんない、つまんない、つまんない!!」
バレンタインなんかつまらない!!私はキッチンカウンターに頬杖付きながら向こう側でくすくす笑いながら生クリームを混ぜる光ちゃんに文句を言った。
「まぁまぁ。」
そう言いながら光ちゃんは私の手の中にあるココアの上に生クリームを少し分けてくれる。
「だってさぁ〜」
クリームで出来たおひげを舐めながら私は言った。
「みんなどうしてバレンタインでこんなに騒ぐのかなぁ。分かんない。製菓業界の陰謀だって言うの、もう。所詮出来レースじゃない。告白した所で1ヶ月待つほどみんなお人好しじゃないんだしさ。何もったいぶってんのって感じ。お菓子作れるのがそんなに偉いのかっていうの。」
ぶーぶー言っている私にちゃちゃが入る。何しろ私は料理という料理がてんで駄目。光ちゃんとは正反対。唯一のご自慢は絵がうまい事。でもそれって食べれないじゃない?それをこの人は知っているから。
「そんな事言って、仕方ないでしょ。世の中そうなっているんだから。それより加恋かれんは誰かあげる人いないの。別にチョコ以外でも良いんじゃない?心がこもってればさ。」
そんな落ち着いた口調が嫌い。
「知らない。それよりさ、光ちゃんは?もしかして今作っているの・・・・・」
すると当たり前って顔で光ちゃんは笑った。それも、とっても可愛く。食べちゃいたいくらい。
「勿論。コ・ク・ハ・クするんですよ〜。」
その声にはハートが浮かんでいて。
「でもって今晩その人と一緒にディナーにするんだ。サーモンのアミューズに、パンプキンスープでしょ。チキンのコンフィ。もちろんデザートは・・・・」
って、小さく笑った。
 腹が立つ!!しかも何それ。全部私の大好物じゃない!!
「いいわよね、光ちゃんは幸せで。私だってね、私だってね・・・・・!!」
そう言いながら私は立ち上がった。
「ごちそうさま!」
もう、バレンタインなんか大嫌い!!

 だってね、私はずっと片思いなんだもん。彼は絶対私の事女の子だって思ってくれてないし。周りだって、みんな私と彼が友達だって信じて疑ってもくれないし。その上去年も今年もチョコ作るの失敗したし。こんなんじゃ惨めじゃない?あげくに光ちゃんの作ったあの極上スイーツなんかと比べられたりしたらさ。どん底。

 そんな風に落ち込みながら家まで歩いた。

 悲しいな。今年も何も言えないまま過ぎちゃうのかな?

 でも光ちゃん言ってたよね。心がこもってたらって・・・・・。

「ご免、光ちゃん。その人お家に帰して!!」
それから3時間後、私は勇気という勇気を振り絞って光ちゃんの所まで言った。玄関からはチョコの焼ける甘い香り。でも、負けないもん!
「今日女の子の日でしょ。だから男の子は遠慮して!!光ちゃんが告白するのはなし!!」
その剣幕に光ちゃんはきょとんとしていた。
「はい、これっ!!」
私は小さなポストカードを彼に押し付けた。美味しそうなチョコレート。本物そっくりの、デリシャスって感じの私の絵。ああ、なんて絵だけは上手なんでしょう私。しかも上にはハートのマーク入りで、光ちゃんが好きって書いてある。
「好きなの。大好きなの、光ちゃんの事。だからつき合って!!」
もう、いいもん。光ちゃんの告白が大成功して泣きを見るぐらいだったらいっその事玉砕覚悟よっ!
 ぎゅって目を閉じてぷるぷる震えてた。
「・・・・もうその人、来てるし。帰ってもらいたくないんですけど。」
彼はそう言って・・・・・私を抱きしめてくれた。
「お馬鹿さん。もっと早く気づいていいもんだと思うんだけど?」
見上げたら彼の瞳が私の事を覗き込んでいた。
「加恋の事好きだって言うつもりだったけど、やめ。」
そう言いながらおでこにキスをした。
「今日は女の子からの告白の日、何だよね?」

 嘘、嘘。バレンタイン大嫌いなんてもう言いません。本当は大好き。私はその晩神様にお礼を言った。
「ありがとね。」

               おしまい

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