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スローモーション
作:寒月   


ある日の夜、車のライト付けながら運転していた。虫が飛んできて絶命する。道路の蛙を踏んでいる。今まで気にも留めなかったことだ。気に留めるとしたら車が汚れる。そんなところだった。
 それが突然気になり、身体が震えた。
 遠目にライトをかえるとおびただしい数の虫が飛んでいることに気づく、えらくスローだ。蛙なんてタイヤの前に進み出る。このまま、進むとどのくらいの命を奪うはめになるか。少なくとも彼らは命をはっている。そうなることも考えることもなく、ただその日を生きていたはず。そんな彼らを思いやることはないはずなのに、急な恐れを抱く。
 ある日、丸みを帯びた葉の先に、朝露が溜まっていました。視線を静かにその一点に集中した。すぐ落ちるだろうと思ったのですが、落ちません。自然の時間の流れはえらく遅いことに気がついた。
ある日、お金が支配する社会ですので、朝から当たりもしない宝くじを買いに行きます。当たったためしもないのに買いに行く。私はそうやって夢を買っていましたが、当然本当はむなしいだけだったのです。それを反発するように買い、こびるように買い、そこに夢など何もないことに気がついていました。
そして、そういったものは積み重なり、突然眩暈に似た「絶する」という、なんとも言い表せない、膝が震え、肩に力が入らず、自分の体がもどかしく、すべてが崩壊するようにスローモーションになる。それはどうしようもない涙で すべてが押しつぶされる。
 それまでの経験がなんの足しにもならない。顔面は蒼白になっていたかもしれません。吐き気を覚え、トイレの公園に駆け込んだ。吐き気は吐き気だけで口から何も出てきません。のどに詰まった想いはつらさとやられるプレッシャー。カタチなどない。それだけに伝わらない。一番的を射ていたのがトイレの鏡は割れていて、そこに映った姿。
紙くずが無造作に風に揺られていく。公園の管理人が誰かと会話しています。恐ろしくスローなしゃべりで、なんだか自分はいらいらします。恐ろしく人がゆっくり歩いています。やはりいらいらします。その世界についていけなくなるくらい、何をしていたのかわからない落胆。
 イチョウの葉っぱがくるくると舞いながら飛んでいきます。ゆっくりとゆっくりとやがて地面に着地します。
 たぶん仕事していた頃のスピードは自分にはきつすぎたのです。それはわかっているつもりでした。そうですね、実感することはほとんどなかった、そんな中で生きていた。
 鳥は飛んでいます。風に逆らわない。とんぼが飛んでいる。風に逆らっているようでさからわない。そんなありきたりの感想が突風のように全身を駆け抜けた。背中は力なく寒さに、社会に凍えてた。
 それが三年続いた。そうなる前の懐しさがじめじめと湧き、ものごとは動きはじめそうな気配。
 思い通りになる。思い通りにならない。思い通りにはなるだろうと願い。腕の震えはおさえられるだろうか。
















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