第二部 魔女の独り言と別れの言葉。
「 暇だわ・・・・・・」
眩暈のするような切り立った崖。
そこに羽の生えた猫は腰掛け、下に広がる蒼い森と、それに囲まれた小さな村をを眺めていた。
「 ここで待てって言ったのは店長じゃないの・・・・・」
幼い子供のように足を揺らして呟く。
一つにまとめた黒髪も、高所特有の風に吹かれて揺れた。
「 ・・・・・・暇つぶししてもいいわよね。ていうか、ダメって言われる理由がないわ 」
今回は待たされてるのはあたしだもの。
心の中でそう続けると、猫は軽いステップで飛び降りた。
重力にしたがって落ちる身体をひねって柔らかい草の上にふわりと着地する。
「 ・・・・・・・つーか、こうやって独り言言ってるあたしって――――― 」
――――イタイ人?
口の端をひくつかせながら羽の生えた猫という名の少女は、先ほど見た村へ歩を進めた。
「 あぁ見つけた 」
「 水晶蝶さん 」
声に振り向けば、急いだように駆けてくる水晶蝶さん。
「 どうしたんですか? 」
水晶蝶さんは最初に会ったときと同じ黒いローブをきている。
「 ランちゃん、あたしたちね、いきなり出発が決まっちゃって。最後に挨拶を、と思って 」
「 急ですね。せっかく仲良くなれたのに―――― 」
「 ウチの上司も困ったもんねぇ 」
困ったように水晶蝶さんはほほ笑んだ。
「 またどこかで会いましょう? 」
|