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兆候に憂える
六月七日、北斗法を修する。
(北斗供ともいう。天変,疫病,夭死などの災を除き,
息災延命を祈願するために,一字金輪北斗七星を供養する修法のこと。
個人の求福のためにその人の本命星を供養する本命星供
(ほんみようしようく)に対し,本法は七星全部を供養する。)
六月二十二日、遣いを立て、
盾列、池上、山階、大内山、圓宗寺、法住寺、大原、金原の陵に遣わし、
蒙古の難を告げる。
二十五日皇子、世仁を以て、
親王と為された。
秋七月七日、孔雀経を神泉苑に唱経せしめ雨を祈る。
十八日彗星、
北方の空に輝く。
「おいおい、何じゃあの星は。」
「うす気味悪いもんじゃ。」
何の兆候かと、
都人は憂えた。
八月十五日、詩歌合わせが行われた。
(数人が左右に分かれ、
同じ題について作った漢詩と和歌とを比べ合わせて
優劣を競うもの。平安後期に起こった。)
二十五日世仁親王を立てて、
皇太子と為し、
右大臣藤原基忠を以て傅
(①かしずくこと。お守り役。
②皇太子の輔佐・補導をする役。東宮傅。)
とした。