conan/ai
「よし、修理は完了じゃ!これで通常通りはしれるぞ!」
俺は、博士の家でスケボーの修理をしてもらっていた。
当然あいつも目に入ってくる。
修理には少しも興味がないようで、どこかに目をやっている。
切れ長の眼が、こちらを向いた。
「あら・・・名探偵さんは小さくなってもモテるのね。」
彼女がそういったのは、机の上にある大量のチョコを見たせいであろう。
「バーロ悪いかよ・・・ところで灰原。」
「・・・何?」
「お前はチョ・・・いや何でもない」
言いかけてやめた。
お前はチョコ、あげたことあるのか?
答えは聞かなくても分かってる。
『馬鹿ね・・・そんな事あるわけないでしょ?』
ハ・・・当たり前だよな・・・
有り得ないことを聞いて、何かを期待してたのか?
自分自身でも分からない。
近頃・・・自分はきっと変だ。
そう感じる。
「あ・・・学校に忘れ物しちゃったわ・・・江戸川君、付き合ってくれる?」
「はぁ?何で俺が?」
「女がこんな真夜中、一人で外歩くなんて物騒でしょ・・・。」
切れ長の瞳がジッと俺を見る。
恐い・・・
とても断りきれなかったので、一緒に学校へ行く事にした。
やっぱり夜中は寒い。
コートの一つぐらい、持ってきたほうが良かったかな・・・。
「こんな真夜中だから・・・幽霊くらい出てきてもおかしくねーよな?」
「あら・・・変質者の方が出てきそうね・・・。」
「・・・」
とても男女の会話とは思えない。
・・・もっと夢のある話くらいしたっていいじゃねーか。
そんなに俺のこと、嫌いかよ。
「なぁ灰原、忘れ物って何?」
「・・・さぁ?当ててみる?」
おいおい・・・まさか薬・・・とかじゃねーだろな?
何だかんだ言っている間に、学校へ着いてしまった。
さすがに真夜中のバレンタインデー。警備員は、居なかった。
「ちょっと待ってなさいよ。取って来るから。」
「いい。俺も着いてくる。」
「・・・勝手にして。」
・・・最近、ずっとそうだ。
あまりにも灰原は俺に対して、冷たい。
何か悪いことしたか?
星空を見上げる。
永遠にここに居られるような気がした。
どれくらい待っていただろうか。
「工藤君、大丈夫?持ってきたわよ。」
「え?あ、ああ。」
ぼーっとしていた。
眠っていたような気もした。
「・・・で、何もって来たんだ?」
「あ、ちょ!」
ドサッ
薄いピンク色の箱に、赤いリボン。
手のひらサイズの小さな箱。
・・・え?
「はい!」
「え?なっ何だよ?」
「だから!これ・・・バレンタインの・・・その、彼方にあげようかと思って・・・
学校に忘れてきちゃったから・・・。」
嘘だろ・・・?
灰原が、俺に・・・チョコを?
普段のそっけない冷たい態度から見て、嫌われていると思ってた。
ましてやこんな・・・
「いっ言っておくけど、義理よギ・リ!!勘違いしないでよね!」
「・・・ああ、分かってる。ありがとう灰原。」
「わっ分かればいいのよ・・・。」
怒っているのか、彼女の頬は赤く紅潮していた。
義理でも・・・俺のことを思って作ってくれたのは確かだ。
自分のために、自らを犠牲にしようしたこと・・・
彼女の優しさが、思いがけず頭に蘇ってきた。
もし・・・もしもだ。
俺の中の《工藤新一》が存在しなくて・・・ただの小学生の・・・
《江戸川コナン》だったら・・・俺は・・・。
『守ってくれるんでしょ?』
「・・・どうしたのよ江戸川君。」
フッと微笑み、星空を仰いだ。
「いや・・・何でもない。」
大切な人を、守りたい。
工藤新一でも江戸川コナンでも・・・
ずっと見つめていた。
二人で・・・。
切ない夜に。今日はバレンタイン。 |