第一章 バれなきゃなんとかなるさ
くどいが久保田義光は真面目な人物だ。応援団の我が息子といってもおかしくない奴らに本当の応援団というものを諭したことでいまはすっかりご機嫌だ。いつもよりは軽い足取りで今、彼は昼休み後の授業中の学校の見回りをしていた。運悪く小畑望と西川智也が事故とはいえサボっている時間帯に。
突然、彼はに歩をとめた。
それは彼の鋭敏な聴覚が若い男女のいい争う声をきいたからだった。
その瞬間に久保田義光の長年指導をつづけた勘が言った。
サボりだ。
彼はわずかに聞こえた声のほうへ引き返す。早足で階段を登る。声が近くなる。
………屋上のほうか。
彼女らの死のカウントダウンがせまっていた。
僕はゆっくりとケータイを見る。ヤッパリだ。昼休みは18分前に終了していた。
まずっ!
僕は慌てた。夢中になりすぎて気付かなかった。まだ体が左右に動いている小畑を。僕は立ち上がり近づきながら、
「マズいぞ!小畑!時間過ぎてる。」
画面を凝視したまま
「ああ、そう。」
まさに生返事の手本になりそうな生返事をする。
完全にパニックなった僕は肩をゆする。
「ああ、そうって違うだろ言うこと!」
小畑は画面をまだ凝視したまま
「うるせ〜ゆするな!あっしまっ!」
車が見事にスリップした。
振り向き様、物凄い形相の小畑がくっついてしまうぐらいに顔を近づけてきた。
「何しやがる!」
言葉と同時に胸倉を掴まれ、僕は思いっきり締め上げられた。
本当に締まっている。
無理。
苦しい!
死ぬ。
僕はかすれた声をだす。
「ひ、昼休み、…お、おわ…った……。」
「へ?」
彼女をは言った。
俺は思わず掴んだ手を緩めた。
「へ?」
今、確かに、バカは昼休みが終了した、と言ったのか?
けど、まさか、まさかそんなことないだろ?俺の体内時計ではまだ終了まで10分はある。
「本当に?」
俺はイスから手を離した。イスは喉のあたりをさわりながら、
「うん。本当。ほら、」
そう言ってケータイの画面を見せてきた。
たしかに20分前に終了していた。
「どうしよ?」
俺は明らかに頼りにならなそうな男に聞いてみる
「ん〜マズいよな?」
ヤッパリか…なんの期待もできない反応。と言いつつも俺も考えないし。
二人はただそこに立って思案にあけくれた。
本来なら俺はサボりなんて怖くも何ともない。
ただし、マズいのだ。二人でサボった。
この状況がマズいのだ。
何がマズいのかをよく考えてみろ?
まず理由。こんなゲームを二人でしてましたなんて、死んでも言いたくない。
次は指導。一人ならまだしも同じクラスの奴が同じ時間にいなくなるのはどうかんがえたって怪しい。教師にバレて指導されるのも時間の問題だ。
そしてそれに関連づけて指導する教師、そいつがこの高校じゃ有名な俺達はいってきたばっかでも名が知れている鬼の……
その時、声がした。
「誰か!いるのか!」
明らかに誰かいると確信をもった声が。凄まじい勢いでちかくなる足音とともに。
……久保田義光。
俺は何も考えられなかった。直感が教えてくれる。
逃げろ!
!!…辺りを見回してもここは屋上前の踊り場、屋上には行けない。
!!!…俺の目に一つの救いがみえた!
その薄っぺらい直方体のスチール製の物に全てを託し、俺はゲーム機器を廃棄物の間に隠し、ただ茫然と足音の方向を見てぼっ立つイスの袖を引っ張った。
「うわっ何!?」
「うるさい!来い!」
俺はそこへ走った。
|