第一章 青天の霹靂
東高2階離棟。そこの一角にある6畳半ほどの空間には格闘道場のような木板に荒々しい明朝体で
「東高校応援団」
とかかれている。そして今、生徒たちが何気なく食事をとっている間にも戦時中の特攻隊のようなドスのきいた声が中から響き渡っていた。
「我々が!!今度行う歌唱指導!!!これは!!東高の未来に!!!大きく関わると言っても!!!過言ではない!!!!」
団長らしきスキンヘッドの男が言う。
「「「ぅ押ォォ忍っ!!!」」」
その他、いかにも強面の奴ら、いや大してそうでもない奴らが返事をする。
ちなみに歌唱指導とは、高校生活が始まった新入生らにこの学校の校歌やら何やらを教える行事である。東高は応援団の伝統高になってるので未だこの行事が残っている。
団長らしきスキンヘッドが後ろに組んだ腕を前へもっていき大げさすぎる握り拳を作る。
「だからこそ!!!我々が!!!立ち上がり!!!やるしか!!!ないのだ!!!」
「「「ぅ押ォォ忍っ!!!」」」
悪い宗教に騙された人達のようだ。しかしこれも彼らの生き方であり、口出しは無用である。
そこにさらに遠雷の声が響き渡った。
「違ァァァァァうゥゥゥ!!!!!!!」
そこには黒いスーツを着た、中年のがっしりした東高の教師が腕を組んでたっていた。
彼のとんでもなく大きくシャウトのきいた声に、あの応援団員たちは恐怖をあらわにしている。それもそのはずでそれは彼らの顧問だからだ。しかも久保田義光はただの顧問ではない。自らも高校、大学と応援団に所属し、教師になったのも応援をやるためだ。現に彼はその道ではかなり有名で、応援指導のもとに甲子園優勝校にわざわざ呼ばれたこともある。さらに生徒教育指導担当、つまり問題を起こした生徒を指導する担当なのでその怖さもハンパじゃない。ただの生徒も鬼と畏怖するし、団員にいたっては神扱いだ。
「違うんだよォォォォ!!!てめえらが立ち上がりやるだぁ?ふざけるな!!!お前らは東高のためにやらさせていただくんだ!!!」
「ゥ押ォ忍っ!」
首根っこを掴まれた団長は今にも泣き出しそうな声だ。
他団員達も続けて声を出す。
「「「ぅ押ォォ忍っ!!!」」」
要するに久保田義光はそれほどまでに恐ろしい男なのだ。 |