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人魚の生き方  作者: 義昭
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私の料理

とても面白い。

たまには海に出て、船乗りの願いをかなえていこう。

お金でもいい、物でもいい、得意とするものでもいい、私を満足させられたなら、好きなものをあげよう。


上機嫌になりながら、家へと帰る。

時間はまだお昼すぎだ。


「ただいま」


家にはローサさんがいる。

「おかえり」


今日、船乗りと話をしたと言うと、目を細めて微笑んでくれた。

船乗りは気性の荒い人が多いけど、私たちをとても大事にしてくれるとのこと。

人魚は海の宝、人魚は海の神、人魚は海の魔女。

いろんな呼ばれ方があるけれど、大切だという意味には変わりないそうだ。


「ねえ、ローサさん。今日は私に晩御飯を作らせてほしいの」

驚きながら了承してくれた。


「じゃあ、久しぶりにルンダとデートしてくるわ!

商いの村でとても綺麗な指輪をみつけたの!おねだりしちゃいましょっ!」


ウキウキで出かける準備を始めるローサさん。


「じゃあ、18時には戻るから!ありがとう、ルーサ!!」

そう言うと浮足立って出ていった。

喜んでくれるとありがたいね。


帰ってくるのが18時なら、17時くらいから準備しても間に合うよね。

それまではちょっと掃除でもしますか。

ローサさんが綺麗好きだから、そんな汚れてる箇所なんてないんだけど……。


人差し指の先をくるくると回すと、そこから螺旋状に渦が出来て水中に小さな竜巻のようなものが出来る。

それで家具の後ろや隅っこのゴミをかきだしていく。

親指と人差し指をくっつけて輪を作り、息を吹きかけ気泡をつくる。

その中に集まったゴミをいれて、ゴミ箱の中に入れる。

各部屋を綺麗にしてから椅子の上に座り本を出す。

知識を増やせば出せるものも増えるからね、いろいろな参考書を出して手当たり次第に読んでいく。


ふと、時計に目を向けると16時半になっていた。

随分集中しちゃったな……。


何があるかわからないから、食事の準備、始めますか。

ここで食べたことないものと言えば、柔らかいパンやお米とかだよなあ。

保存がきかないからあんまり変わったものって出ないんだよね。


う~ん、取り合えず柔らかいパン……バターロールかな?

パンは人間から買ったものを買い置きしてるから堅いものが主流だし。

材料も日持ちしないものを置いてあるし……海の物は多いんだけどね。

結構そこら辺でとれるものばかりだし。


せっかくだからこの特技を生かして作りたい!


さすがにパンは焼けないから出来たてのものを食事の際に出そう。

あとは、サラダ……はオリジナルドレッシングだよね。

飲食店で働いていたときに、お店オリジナルドレッシングがとても気に入っていたから、それでいいか。


「えっと……必要な材料は、サンフラワーオイル、人参、玉ねぎ、にんにく、卵、醤油、塩、と胡椒ね」


結構がっつりな味だけど、美味しいんだよね、これ。


ミキサーを出して混ぜ合わせる。

ドレッシングボトルに詰めて完成!


メインはどうしようかな……大好きなハンバーグかな?

「玉ねぎを炒めて……ボウルにパン粉、卵、ひき肉、塩胡椒を加えて粘り気がでるまで混ぜる!

丸くしたら真中を少し窪ませて……熱したフライパンに油をひいて中火で焼き目をつける……と」


ジュワァ~と良い音と共にお肉が焼ける匂いが広がる。

音でお腹がすいてくるね。


そぉっとひっくり返して少し火を弱める。

暫くしてから、真中に串を通し、溢れてくる肉汁か透明かを確認するとバッチリだった。


「う~ん……美味しそう。」


ソースはどうしよう?ドレッシングはこってり系だし、アッサリが良いかな?それともデミグラスにしようかな?

ネギ塩も好きなんだけど……。

玉ねぎたっぷりのソースにしようかな。


玉ねぎをミキサーにかけて、炒めて、みりんと醤油と鷹の爪を入れて味を馴染ませる。

うん、ピリッとして美味しい。

玉ねぎの触感もシャキシャキしていて良い感じ。


あとは~……ハンバーグの付け合わせだよね。やっぱり人参のグラッセかな?


塩、水、砂糖、人参をフライパンに入れて火にかけて、人参が柔らかくなって水分がなくなってきたら、バターを入れる。

じんわり溶けてバターの匂いが広がる。

さあ、最後の仕上げは照りが出てきたらほんの少し醤油をたらして混ぜる。




完成だね。

机に並べてパンを出す。


うん、完璧な晩御飯だ。


合わせたかのようにローサさとルンダさんが帰ってくる。

ローサさんはウキウキほくほく顔で、ルンダさんは少し疲れた顔で。


「おかえりなさい」


「ただいま~きゃー良い匂い!!」


「ただいま。ルーサのご飯楽しみにしていたよ」


玄関まで漂うハンバーグの匂いにローサさんが素早く反応する。


「楽しみねえ」


3人で食卓について手を合わせる。


「いただきます」



本文中のドレッシングは、材料の塩を味の素に変えて分量さえ合っていれば本当に美味しいものができるんですよ。

味の素を出さなかったのは、実際にある会社の商品だからです。

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