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四、戦いが始まる。

「おう――何処行ってやがったんですか作者糞野郎様」
 おう――てめぇに言う必要性はまったくないでゴザンスよ馬鹿主人公様ったれ。
「……最深部近くまで来ちまってんだ。そこまでの描写がまったくできなかった〜ってこととか、自重すべきじゃね?」
 自重すべきだろうが、あえて前向き思考でいく。
「……はぁ、はいはいどうぞどうぞご勝手にご勝手に」
 ………………
 …………
 ……

 るぁぁぁぁッ!



 CROSS! Fantasia〜もしもを超えての、想いの交差を〜


      ○  ○  ○


 神はなぜ、頂点に立つことは辞めたのだろうか。
 神はなぜ、崇められることを辞めたのだろうか。
 神はなぜ、人間を導くことを辞めたのだろうか。
「……世界はこんなにも危なっかしいというのに」
 神はなぜ、人間に自由を与えたのだろうか。
 神はなぜ、人間に意思を与えたのだろうか。
 神はなぜ、人間に暴力を与えたのだろうか。
「それが世界を不幸に満たしているというのに、だ」
 どうなのだ、神よ。
「『黄昏』よ
 『絶滅』よ
 『再誕』よ」
 どうなのだ、神の殺戮者と謳われし――この世界の創り主よ。


      ○  ○  ○


「――贖罪の煉獄に、鎖せ。悪なる螺旋の虜どもを、今再び」
 元の『破壊竜』と同等ほどの力を持っている存在それと、三人は激闘を繰り広げていた。
 超ではない再生力。しかし、頑丈な皮膚を突き破るに費やされた一撃の残りかす程度は瞬間で完治させてしまう。
 頑丈な皮膚ごと、だ。
 祐夜は舌打ちして跳び退いた。
 そこへ降りかかるは、腐敗を招く吐息。
「GRUU」
 『破壊竜』は唸る。そこへ、光弾と喩えるべき数発のミサイルが飛来した。
 爆発音の羅列――煙を破って顔を出す『破壊竜』は、しかし無傷。
「……堅いな。そこはかとなく」
 機関拳銃マシンピストルを適度に発砲しつつ、御劉は言う。
 確かに、と祐夜は思い、しかし、とも思った。
 しかし――弱体化するのが、【帝竜】でない『破壊竜』だ。
 ちらりと美姫を顧みる祐夜は、すぐさま前へと向き直る。
 そして――奇跡は、起き始めた。

『アシッド』『アシッド』『アシッド』『アシッド』『アシッド』『アシッド』『アシッ――

 『アシッド』は逆転の奇跡で、対象を衰弱させる機能を持つ霧だ。
 それの連続を受けた『破壊竜』は、瞬く間に鉄壁の皮膚を無効化されていく。
 ――何度見ても。凄いと感嘆せざるを得ない。
 祐夜は思う。
 奇跡を連続発動させられる者はそうそういない。
 詠唱経験が豊富となった奇跡は、通常よりも短い詠唱で発動できるようになる。
 初期の奇跡は元々詠唱にそう時間をかけはしないため、美姫のような瞬間発動の連続ができるのだ。
 それでも、さきに発動している『アシッド』に連なるようにして〜なんていう速さでの連続ができるほどのやつを美姫以外に知らない祐夜は一回の奇跡発動に十秒以上をかけてしまうため、そういう意味での感嘆を毎度得ていた。
 奇跡の詠唱時間を短くする装備一式を装備しなければできないとされている連続を杖もなしに行っている美姫は『さすがは皇女、凡人とは比べられないッ』というべきほどなのだが。祐夜はそこまで考えてはいない。
 まったく、バカなことこの上な――

 コホン、失礼。

 堅い鎧の皮膚をもろくさせられたことを察してか、『破壊竜』は荒々しい絶叫を轟かせる。
 それに込められるは怒りか、憎しみか。
 どっちでもいい――祐夜は跳んだ。
 すぐさま祐夜の姿を捉えた『破壊竜』は、破滅を孕む吐息を其方へと伸ばす。
 ――伸ばそうと、した。
「デストロイショットショットショぉぉぉぉぉぉット!!」
 それより早く飛来した、無数のミサイル。
 『破壊竜』は悲鳴をあげ、悶えるしかない。
 そこへ、舞い降りたる祐夜は――

「――贖罪の煉獄に、鎖せ。悪なる螺旋の虜どもを、今再び」

 ――『破壊竜』を縦に一刀両断した。


 ピロピロリーン♪


 祐夜たちは『破壊竜』をフルボッコにした!
 祐夜たちは300CRSクロス手に入れた!
 祐夜たちは1045の経験値を手に入れた!
 祐夜のレベルが3985にアップした!
 回避力+1
 攻撃力+2
 防御力+1
 祐夜のレベルが3986にアップした!
 MP+5
 攻撃力+1
 祐夜のレベルが3987にアップした!
 HP+2
 防御力+3
 御劉のレベルが105897にアップした!
 『悪馬アクマ限定解除≪隔絶超越≫』をおぼえた!
 『絶対殺戮式一覧』に追加されました。


「なんで私だけレベルアップしないのよ〜!?」
 支援役の宿命でヤンス。

      ○  ○  ○

「あの竜を倒すほどの実力がある、一行か……まあ、いい。ここに辿り着けはしない。【竜園】だが【竜園】にはない此処に、規格の力で行き着くことはできないのだからな」
 そう呟いて、彼方の波動より意識を離そうとして――ギョッと振り返った。
「此処と共鳴している……? まさか、あの一行の中に――」
 三匹の『帝竜』を描く巨大な石版が視界を塗りつぶす光を発したせいで、思考する余裕がなくなってしまう。

      ○  ○  ○

「うう……」
 呻き膝をついた美姫に、祐夜は即座に駆け寄る。
「奇跡の使いすぎか?」
 今までにはなかったが、ここにくるまでの疲労が募っていたのもあるかもしれないと、祐夜は尋ねた。
 美姫は震える唇でしゃべろうとして、しかしできない。
 浮かべられた淡い笑みが暖かくて――祐夜の心を締め付けた。
 祐夜は判断する。
 危険だ、と。悠長とこんなところにいる暇はない、と。
 御劉へと振り返る祐夜。御劉は、コクリと頷いて先行した。
 祐夜は美姫を抱えようと、美姫へと触れて――

「『余ガ在るベキはこコでナき』」

「ッ!?」
「『余ガ在るベキはこコでナき』」
 ――花咲く闇を、見た。

      ○  ○  ○

「ッ!?」
 突然の地震。
 ありえない。ここに地脈は存在しない。だからこそありえない。
 しかし揺れている。地は咆哮している。
 いや、鳴を奏でているのは地ではなく――
「この空間が、共鳴している!?」
 無理に歪められた空間の有様が、強き力によって繋げられようとしているのか。
 または、一方向限定の道が一時的に築かれるか。
「ちょうどいい……今ここでひとつ集められるというのは」
 神の愚かさを見に来ただけが、とんだたなぼただ。
「さあ――来て見ろ」
 言葉に答えるように――

      ○  ○  ○

 五感の戻りを、痺れで感じ取る。
 ゆるゆると――目蓋を開けた。
 安定している視界で、この場が聖堂であることを見て取った祐夜は、場所が変わったことを知る。
 己の手の中に、美姫がいないことも。
 辺りを見回そうとして――迫る殺気に気づき、半端反射的に身を跳ばす。
 先ほどまでいた場所を闇の刃が駆け抜けていったのを見て、祐夜は思わず冷たい汗を流した。
「……避ける程度の実力は、あるか。当たり前だろうが、な」
 声の主へ、目を向ける。
 異質――祐夜は、その男をそう捉えることしかできなかった。
 黒いガントレットに覆われた、スラリとした両腕。それ以外に防具と呼べる代物はなく、衣服の覆っていない顔は金髪に蒼眼と、どこかの貴公子のよう。
「あんたは……?」
「あえて、言葉で表すというならば――」
 両掌を左右へと翻す。
 そして、男は言った。

「――貴様を破壊する者、だ」

 伸び行く漆黒。
 祐夜はそれを、蛇のようだと思った。
 するすると地に平行する黒い線ともとれるそれ。無様だが、しかしそれに秘められし殺気は先ほどのものに類似。
 そこまでの思考に至ってから、祐夜は線が二つだということに気づき――さっと血の気を引いた。
 目で追いきれないほどの速さが二つとなれば、どちらかを諦めなくては両方を受けることになってしまうということ。
 しかし、速度が尋常でないことから察するに威力は絶大――ひとつを受けていいのかと、祐夜は自問する。
 出が最速で最も捌き難い「突き」ではあるが、しかし人のなすようなものとはいえないそれ・・
 だが、確かに人がなしているのだ。今目の前にいるものからそれ・・は伸びている。
 そして、思い当たった。
 それ・・とは――何だ。
 何でできているか。何のように見えるか。
 ――『魔力』
 修練を重ねて取得する『高速三段突き』などの極意をひとっとびに手に入れられる秘術の類。
 人より努力を奪う便利。
 それの為す技が、それ・・なのか。
 そう思い当たって、祐夜は確信する。
 ……受けてはならない。
 見た目での曖昧な判断ではなく、己の知識からの右から左に流れてしまいそうなものでもなく、経験・・より感知する。
 美乃宮春花という悪女より、何度も身で体験させられた『魔法』の危険さ。
 捨て身の覚悟を無謀と判断し、祐夜は守備に徹することを誓う。
 そうしてから――黒からの一撃は、来た。
 即座の回避。成功。笑みを浮かべそうになって、しかし祐夜は目を見開いて驚愕した。
「処斬は必中……」

 ジャックスレイヤー

 黒より飛び出す、黒と同じ一閃。
 背中を射抜かれると思って、祐夜は身を捻った。
 掠る――傷と呼べるものはできていない。回避成功といっていい。
 そのまま半歩退こうとした祐夜は、しかし跳躍を行う。
 跳躍の軌道に垂直に、祐夜の死角より迫らんとしていた黒が過ぎ去った。
 祐夜が知ったことはひとつ。
 ――技の一閃から、技を放てるのか!?
 避けたと思った一撃から、此方の背後を狙う一撃が繰り出されることもある。ということになる。
 相手の流れができてしまえば、此方に勝ち目はない――崩さなければならない。
 破壊されるわけにはいかないのだから。

      ○  ○  ○

「……無様だな、俺は」
 祐夜と美姫の消えた地を踏みしめる御劉は、悔しげに呟く。
「なぜ、だ? なぜ、俺は何も知ることができない?」
「……何かを守れる付人で、ありたいか?」
「質問しているのは俺だ」
 御劉は振り返る。
「だが、見逃してやろう。俺という存在を軽く見た事実、目を瞑ってやる」
「そうか。なら、さっさと付いて来い」
「接続詞が間違っていることも見逃してやる……作者として、ほんとうにそれでいいのか?」
「貴様とコントをしている余裕は、オレっちにはない」
「――俺にも、そんな暇はない」
「なら即座に決めろ。決断しろ。時は、待ってはくれない。大いなる加速は、ついてこれない者は糸も簡単に壊してしまう。
だから決めろ。オレっちについてくるか来ないか。奴等の舞台に参加したいのならば、オレっちの思い通りで在れ」
 御劉は一瞬戸惑い、しかし目を一度だけ開閉させることで落ち着きを取り戻し。
「いいだろう。思い通りになってやる――『イアンゾムリク』」
 御劉の語る相手は、屈託ない笑みを浮かべただけだった。

      ○  ○  ○

 時は加速する。

 運命の巡り合わせか、総ての王権はこの世界へと集結し。

 何の巡り会わせか、それぞれの想いは分かり合うことが不可能で。

 誰の指図か、世界は惨劇の舞台となり。

 時は加速する。

 時は平穏を失う。

 時は戦火に見舞われる。

 喩えるならば、時は歯車。

 愛玩動物ハムスターによって速く速くさせられていく、歯車。

 偶然。そう、総ては偶然。

 偶然が募ったから、世界は歩む。

 歩み始めてしまった。

 進み始めてしまった。

 限りなく崩壊に近い路線を――

これ系になってから、感想が少なくなりました。
やっぱファンタジーは向かないのかな私……一話完結系ラブコメ連載型小説が得意といわざるを得ない。
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