朝起きたときの話8
朝起きたときの話
一人の夜
何をしてるの?
松葉杖
松葉杖。端的にいえば、長い棒。
何に使ったのかはわからないが、家の押入れにはそんなものがしまわれていたりする。
「ということで美姫、これを使ってオナ――」
「でかいし長いし絶対無理!! ってかこんなの入れたら普通に病気になっちゃうって!?」
おしゃぶりする、なんていう卑猥行為の表現の濁しを使わないとは、単刀直入な作者だな。少し感心したくなる……小説更新停止とかになってもしらんぞ。
引越するわけでも、大掃除をするわけでもなく、俺と美姫は押入れの前に立っていた。
そうだ。なんで俺はこんなところにいるんだ。普段ならパンチラ観照に没頭しているはずなのに。
俺がいるべきなのはここではない。巨大な交差点ないしやけに長い階段の下ないし望遠鏡による狙撮などが俺のいるべき場所およびすべきことであるはず。
そう、そうなんだ。そうであるはずだ。そうに違いない。うん、うん!
俺は颯爽と踵を返した。
美姫が慌てて俺の肩を掴んで、引き止めて来る。
「なんだ美姫……俺は今から保体および美の概念についての勉強に行くんだ。邪魔をするなら斬る」
「妙にかっこいい台詞使わないでよ。結局はサボりたいだけのくせに」
図星だった。仕方ないのでもう一度押し入れと対峙する。
「少佐」
「少佐は美夏さんだったと思う」
「……」
細かい。
軽快なフットワークで聞かなかったことにしつつ、続ける。
「今回のミッションについて説明してくれるかい?」
「こたつを出すときに弟君が掘り出した邪魔な物を、もう一度押し入れにもどす。たったそれだけ」
俺は再度踵を返した。
またまた美姫に捕まってしまう。
「後始末は自分でしろよ……」
「だから、散らかしたのは弟君だって」
あまりにも正論だった。
仕方ないので、手早く終わらせようと思う。
「なあ」
「何? 弟君?」
「俺たち……何してるの?」
「何もしてないね。というか何もできないね」
押入れの奥に埋まっていたりする。
美姫を押し倒し今まさに唇を……なんていう体勢の俺と美姫。
左右にはゴミ、ゴミ、ゴミ、ゴミ――もとい不要になった物の類。
そして真っ暗。当たり前だ、押入れの中だからな。
さぁて。
「1.このまま一発 2.このまま二発 3.このまま――」
「ここの小説サイト、十八禁はダメみたいだから全部無理かも」
「――会話しつつ、優衣が見に来てくれるのを待つ」
目に見えない何かに負けた。なんか悔しい。CROSS!〜物語は悦楽への狂喜に満ちる〜とか作って祐夜×美姫な交尾を記載してやりたくなる。
だが悲しいことに作者は中学生。こんな文を書いてる時点でダメっぽいが、更にダメになることへの躊躇はあるらしいため、多分企画倒れ。
だが、だが、だ。それでも、だ。
「なんで『お、弟君……』も何も言わず平然としてるんだお前は」
「へ?」
大人しくなってしまった美姫。普通だった。
「美姫。そんなのだと、雷が轟く日の夜這いフラグが立てられんぞ?」
その場合、美姫が俺へと夜這いかけることになるが――なぜかしっくりきてしまうんだなこれが。
だっていつも抱きつかれまくってるし……こういうのを痴女っぷりと表現するのはOKなのか否か。
「ん〜……一人の夜は、ちょっとだけ怖いかな?」
少しだけ、俺の見る美姫の瞳は揺れていた。
息を呑む。しくった感。それ以上に、自分が知らなかった美姫の一面が俺を苛む。
見たくないわけじゃない。そうじゃなくて――
ゴツンと、俺は美姫とおでこをぶつけた。
離れない。離れるわけにはいかない。
一言だけ放つ。ひとつだけ言ってやる。俺がこいつの彼氏だから。俺がこいつの恋人だから。
俺を支えるだけじゃなく、俺に与えるだけじゃなく――俺に支えられて、俺に与えられなくてはいけない。
それは義務だ。美姫の義務。彼氏彼女の義務。権利じゃないことを間違えてはいけない。どちらかが不幸ではいけない。どちらもが不幸ではいけない。どちらもが幸せでなくてはいけない。
さあ、言え。言えよ。
「……週に七回くらいなら、俺のベッドに来てくれていい。怖いんだろ? 俺は怖くないけど、お前が縮こまってたりするのは嫌だし」
「ん……あ、あはは。そんなこと言われると――私、馬鹿になっちゃうよ」
小刻みに動き、俺の頬へと頬擦りする美姫。
それは下卑た誘惑などではなく、ただただ安らぎを求める――純粋に温かみを欲するもの。
「――私、弟君に没頭しちゃうよ」
馬鹿。反射的に罵りたくなった。
今更すぎる。俺のことを考えなさすぎる。
「……没頭してくれないと困る」
本心からの呟きであるのは、間違いない。
ビクッと肩を震わせ、俺の首筋に唇を寄せ、両腕を俺の首に回し密着する美姫。
その身体は、いつもより少しだけ小さく、細く、危なっかしげに見えた。
「……何をしているの?」
背後からの声。振り返る。
「離婚調停」←俺
「優衣ちゃんが見に来てくれるまでの無駄話」←美姫
無駄といわれたのが少しだけ応えた。グサッと突き刺さってきた。
そして、俺は思い当たる。
普通に後ろを振り返れる――そして、振り返った向こうには優衣がいる。
つまり、俺たちは埋まっているというより押入れに隠れているというかなんというか。
俺は出れないと考えていた。しかしそれは間違っていた。ということ。
俺は欝気味に頭を抱え込んだ。
ミス。なんてミスなんだ。のび太が浅瀬でおぼれるほどの馬鹿らしさ。つらすぎる。俺のファンが二人は減ってしまっただろう。
そして疑問に思う。
俺の首に抱きついていた美姫は分かっていただろうに、なぜ何も言わなかったんだ――と。
そう思った途端、美姫の態度が一変する。
「まったく、アンタってほんとバカねぇ。それでも主人公?」
「――女王再来ッスか!?」
強制的に下っ端子分な気分にされる俺。ツンツンと非難するように俺の胸板を突く美姫。
ツンツン
ツンツン
ツンデ……つ、ツン
ツンデレラッ!!
最後が明らかにおかしい。
『えー。おかしくないよー。作者の都合により奈奈氏のまま登場な『可愛いあの娘なわ・た・し』はいつもどおりだよー』
声を発するでない。話に誤差やら齟齬やら矛盾やらが出てきてしまう。たとえ壊れ物であっても作者はまじめに書いてるんだ。CROSS!〜物語は交差する〜の繁盛に貢献したいとは思わないのか。
『えー。そんなことないよー。作者の都合により奈奈氏のまま登場な『可愛いあの娘なわ・た・し』は本編に登場させてもらってないからって怒ったりしてないよー』
……。
『怒ったりしてないよー』
……。
『怒ったり、してないよー』
……。
『それでは話を再開!!』
ひどー。
突かれ続けるのにも我慢の限界が来て、俺は美姫の手を掴み打突を止めさせる。
すると、女王モードなままの美姫ははぁっと溜息を吐いて俺を睨んだ。
「まったく、アンタってほんとバカねぇ。それでも主人公?」
作者はこれ以上の『冷徹』かつ『大人っぽい』女性の言葉が思い浮かびません。
うは……哀し……読者の皆様、どうか作者に女王美姫用の一言をプレゼントしてあげてください。
「まったく、アンタってほんとバカねぇ。それでも主人公?」
うっせぇよ。
のそのそと這いずって押入れより脱出。今にも文句を垂らしそうな女王美姫が俺に続く。
そして、優衣の隣に立ち並ぶ。
「それでは♪」
女王じゃないモードに切り替わった美姫がそう言い、俺へと抱きつく。
「これからも、CROSS!〜物語は交差する〜およびCROSS! 2nd〜そして、物語は交差する〜をよろしくおねがいしますね♪」
反対側より抱きついてくる優衣。
――って、ちょ、もう終わりッスか、爽やかで締めくくってた今までを捨てるのか作者、これじゃいきなりすぎるんじゃないか作者、ほんとマジでもうちょい話広げてすっきりとした後味を読者にプレゼントしなければならないんじゃ
強制終了
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「はい、というわけで夜更かしさんのお休みの時間、次回予告のコーナーだよ!
明日はついに休みだ〜、作者はいろいろと大変だったりするみたいだよ? ファンだった声優の人三人ほどが実は別名を持っててしかも通常のテレビアニメの声優をやってたりして……ニコツー動画でせっせと検索アンドダウンロードしているみたい。なんかアホっぽーい。
とまあそんなこんなでお送りしますこのコーナー! 次回のタイトルは『朝起きたときの話9』。涙に100円に鉄、三つのキーワードが織り成す物語はどたばたコメディにも優るとも劣らないギャグコメっすよ! 多分! ちなみに100円て白銅貨だから鉄でできてないよー。
というわけで以上、お相手は作者の都合により奈奈氏のまま登場な『可愛いあの娘なわ・た・し』でした! 次もずっと私のターン!」
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明後日で『朝起きたときの話』は一桁脱出かぁ。
十二月ぎりぎりまで書けるほど作者は受験を甘く見てない。というわけで、もしかしたら十何話かでやめるかもー、対して読者も多くないしー、そういいつつ毎日1000読者数は超えてるけどー。
できれば九十話ぴったしか百話ぴったしまでは行きたい……CROSS! 3nd〜輝かんばかりの交錯を〜の予告でも投稿しようかな?
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