朝起きたときの話5
朝起きたときの話
愛
負担
ムースポッキー
「ふと思ったんだけど、弟君からの愛情表現が稀な気がするのよねぇ」
前回キスしただろうが。
「あれは私からでしょ? 弟君から、こう、抱きついてきたり〜ぎゅってしてきたり〜すりすりってしてきたり〜、そういうのがまったくない気がするの!」
抱きつきにぎゅっにすりすりっ……全部同じな気がするのですが?
「細かいことは気にしちゃやぁよ♪」
……さいですか。
「お前が熱烈だから、俺はそれで満足してるんだよ」
「それじゃだめなの!」
美姫が立ち上がった。
「人生は一回きり! こうやって話してる間にも、弟君との幸せな時間は減ってってるの!! もぉっとらぶらぶしないとだめなのぉ♪」
声がとろけてるぞ、美姫。
「じゃあ何か? お前は俺に、愛を育むための多大なる労働力を負担しろと? お前は疲れちゃったってわけか? そうなのか?」
「誰もそんなことは言ってないもんっ! 私が弟君にらぶらぶ〜ってするのに飽きたりするはずがないでしょ!? 私は弟君とらぶらぶ〜ってするために生きてるようなもんなんだからね!?」
……そうはっきりいわれると、何か恥ずかしいものがあるというかなんというか。
ぶぅっと頬を膨らませる美姫へと、俺の崇拝する菓子ムースポッキー様を突きたてた。
……あ、かぶりついてくるのがおもしろい。
こう、なんというか、金魚にえさを撒いてる感じというか、ゾウに餌をやってる感じというか。
「それに、らぶらぶ〜ってするのは負担しあうようなものじゃないだからね?」
「ん? ――ああ」
俺の手から離れたポッキー君を口へとパリパリ入れていく美姫が、そう抗議してきた。
まったく、変なところで細かいな。
そんなこと――わかってるっていうのに。
わかってるのは当たり前、っていうか。
愛は、美姫からの一方通行なわけじゃない。
……ふむ、教えてやらねぇと、ダメか。
ニヤつきそうになる。ぎりぎりと押しとどめる。俺をおちょくる美姫がとても輝いて見える理由が少しだけわかった気がする。
もっと美姫の気分を味わってみても――いいよな?
いいはずだ。いいに決まってる。そうと決まれば、実行あるのみ。
「そんなこと、わかってるに決まってんだろ?」
「ほんとかなぁ――」
不満げに俺へと顔を寄せようとした美姫。それよりも速い速度で顔を近づける俺。
見る。美姫の瞳。その奥にいる自分――美姫の、驚愕の想い。
離れる。ぽけぇっとしている美姫へ、俺はしてやったりという笑みを浮かべ、言う。
「――ほんとだ。彼氏をそう簡単に疑うんじゃない。俺が信じられないのか?」
しゃべる度に絡み付いてくる甘さは、まだ美姫が食いきっていなかったムースポッキーのせいか。
でも――次食べるムースポッキーは、これよりも甘くはないだろう。
地の文がない……自重します。
そして、きたときのシリーズで一番短い作品になってしまった、気がするのだけど、本当のところどうなのだろう?
ムースポッキー食べたことなかったりするので味のほうはほしょうできません。
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