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ノリだけで書いたから三十分で書けた。
ちなみに、私はいちごジャムが好きです。
『片瀬愁の一日』
『片瀬愁の一日』


 起床。
 夢で異常活性化した神格グリズリーと戦っている途中。飛び上がるようにしてベッドから飛び起きた。
 クルクルっと回って着地すると同時に、ぼんやりと呟く。
「クマのくせになんで神なんだろうな……」
 夢にケチつけても仕方ないが、自分の夢だからこそケチをつけたいのだろう。だってクマだし。意味不明だし。
 ケチをつけたところで答えが返ってくるわけではない。
 それを理解している愁は溜息ひとつですべてを忘れ去ると、部屋から出てリビングへと突撃した。
「手をあげろ!」
「……あ、おはよう」
「ちっ、情報が違うじゃねぇか! 弾がたりねぇな……」
「あ、うん。そうだね、今日も良い朝だねぇ」
「……そうか、楽園という至高を、お前は求めはしないか。そういう幸せもあるかもな」
「そっかぁ。なら私の分食べる? ジャムとパンならあげるよ?」
「幸せの意味を君が知っているというのなら、喜んでそれについていこう」
 ということで、久しぶりに祐と同じ席について食事することとなった。会話は手話以上の暗号が施されていたが気にしてはいけないのだろう。
 二枚の食パンがある皿から一枚をもらい、並べられているジャム瓶を眺めた。

 腐っても腐りきらないジャム
 禁断の秘術というジャム
 予想外のジャム
 攻撃的なジャム
 数にマさるジャム
 ギリシア語でパスシオン則ち受苦として起こる「愛」を意味する普通名詞が神格化されたものの日本語読みなジャム
 ギリシア神話に登場する恋心と性愛を司る神の日本語読みなジャム
 残り続けるジャム
 ぶっちゃけ、普通のジャム
 なまめかしいジャム

「………………」
 祐は思う、前半全てを切り捨てたいと。
 残り続けたり数にマさったりするのはすでに生物なのではないかと苦悶もする。
「………………いや、視点をかえればそうでもないような」
 数でマさるというのはただたんに量が多いだけなのかもしれないし、残り続けるというのもただたんに不味くて残るのか漢方薬が好まれないのと同じ理由があるのかが妥当だ。
 ぶっちゃける普通のジャムは正直言って怪しい。絶対普通じゃない気がする。
 本能ではぶっちゃけ、普通のジャムを選びたい。芸人魂にかけて数にマさるジャムを食したい。隠れたる欲の指図でなまめかしいジャムを味わいたい。
 そのとき、ライフラインが来た。
「なまめかしいジャムっていうのと数でマさるジャムっていうのが似てたかなぁ。
後者のほうが刺激的だったけど」
 勝利したのは隠れたる欲だった。
 神経系が完全覚醒した指でリズムよくジャムを引き寄せ、蓋を開け、パンへと塗りたくる。
 溢れるゆだれ。溢れる妄想。朝から機関車になろうとしていた。
 一思いに喰らいつく。
 ………………。
 …………。
 ……。
 祐の瞳に悪魔が宿っていることを、床で意識朦朧としつつ知った愁は、本日二度目の眠りについた。
 永眠かもなどと考えつつも、腹で蠢く何かから逃れるために手早く意識を手放したのだった。

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