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さまーすもーるすとーりー【SSS】7
 俺の大作戦はまだ続いていた。
「クククク……」
 言っておくが、エロではない。
 サイト制限はさておき、この旧型PCにはアカウントが三つ作られていた。
 ひとつは優衣、ひとつは俺、ひとつは美姫。
 優衣のアカウントにパスワードはなく、それどころか起動するときからずっと俺が傍に着いている。
 本当に……隠し事しない妹だなぁ。
 直接言ってみると「祐夜さんは優しいから、なんでも話せちゃうんですよ♪」と微笑まれた。
 さすがにこっ恥ずかしい。
 で、話をもどすと。
「美姫のアカウントに進入成功……」
 なんとも馬鹿らしい、自殺行為だった。
 デスクトップのアイコンは少ないが、マイドキュメントに入ると目標のものが目に入った。
 『詩』――美姫はポエマーなのだ。
 この島にもどってきたときも変な怪文を書いていたし、どんなものを書いているのかとても気になる。
 ファイルアイコンをクリックした。
『パスワードを打ち込んでください』
 解凍ファイルとは、手が込んでいた。
 さすがモバイルノート熟練者。
「だが甘い……」
 手始めに生年月日。
 その次に出席番号。
 その次の俺の生年月日。
 ――エラー。
「……」
 甘かったのは俺のようだ。
 だがそれで諦める俺でもない。


「といって女の子の部屋に侵入してみたが……」
 後悔はある。
 ピンクというか……晴れやかだった。
 夢に出てきた気がする二次元ネコのクッションを見下ろす。
「結構良い材質のもの使ってんじゃないか……」
 ベッドへと腰を下ろし、手で押してみる。
 さすがブルジョワ階級の娘……鷺澤グループとかいうほどの財閥だ。
 それでも俺のとこに寄越せたのは、信用されてるからか。

 ガチャ

 瞬時に隠れようとして、把握していない敵の領土だと気づく。
 ドアが開くと同時に現れた影からは、真正面で俺が見えることだろう。
 ……またバッドエンドか。
 ぽかんと口を開けている美姫と目が合った。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……お、女の子に興味があるんならお姉ちゃんが一肌も二肌も脱ぐ――」
「マッテクダサイ」
 なんか調子が狂う。
 少し頬を赤めらせて己の服に手をかけた美姫を全力で制する。
 なぜか胸へと突撃され、ベッドへと押し倒された。
「まあまあ、お姉ちゃんに全部任せて……」
「マテ、待ってくれ、俺が悪いのはわかったから」
「痛くはないから……」
「痛いバッドエンドではないけど、エンドしてしまうことはわかったから」
「絶対弟君もハマるよ……」
「ハマりたくなーいっ!」
「今日は大丈夫な日だから……」
 ちょっと心がぐらついた。
 いや、まあ、美姫に誘惑されたんなら不可抗力……というわけにもいかない気がする。
「高校生はね、これくらい序の口なんだから……」
「新事実発覚!」
 祐夜大ピーンチ。
 なんか勢いで……ってやつの理由がわかる気もする。
 といっても抱きつかれるのには馴れてるが。
「弟君、いっつもえちぃこというから、こうなったほうが平和なんだよっ!」
「美姫姉の俺に対する印象がわかったよ」
 一瞬ブチギレそうになった。
 というか美姫も逆ギレ風味だった。
「というかさ……俺の両親はともかくヤンデレの妹が納得するかどうか……」
 優衣への自分の認識も理解した。
 美姫が俺の両頬に手を当てた。
「愛に勝てるものはないよっ!」
「え、ええと……」
 エンドなのか? エンドなのか? ハッピーエンドかもしれないができればハーレムエンドの人生を送りたいんだ!!
 意地と書いてマジの美姫が、俺を追い詰めていた。
「ひ、人としてさ、今やってはいけないものもあると思うんだ……」
「これは運命なのよ……弟君」
 美姫が大きく迫ってきた。
 雰囲気的ならキスでもしたほうがいいのかもしれないが、悲しいことに俺はハーレム願望者だった。
 仕方ないので最終手段を決行する。
「UFOキャッチャー」
 美姫の頭を鷲掴みし、指で振動を加えてみる。
 あう〜やはう〜という悲鳴をあげていたので、俺がベッドから抜け出したと同時に放してやった。
 ベッドへ突っ伏す美姫。十字を切る。
「とりあえず頭冷やしとけ……」
 俺はゆっくりと部屋から出て行った。
 というか、ここに来た理由ってなんだっけ?


オチなしは初めてなはず
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