さまーすもーるすとーりー【SSS】3
『ディな〜』
塩を振りかけたご飯をかきこみつつ。
「覗きの充実感とはいかなるものか……」
について考える俺は多分またバッドエンドになるだろう。
今日殴られた箇所がひりひりと疼き始める。
「クックック……傷が疼くぞ。彼の者らの霰もない姿を見よと!」
つまり、そういうことにして自分を正当化する悪い人間ということだ。
なんとなく振り上げた片手(+箸)を空しさの中で下ろし、最近変な方向でだけでは活動し始めた思考回路を思う存分回転させる。
結論。
「やっぱ知人の裸体は覗いておかなければ……」
妹の発育確認は必須科目だ。
家の見取り図を開き、暗視スコープまでつけて屋根裏へと上った。
自分の目がエロっぽくなっていくのを感じる気も――しなくはない。
ガリガリ←穴を開けている音。
ピキッ←穴が開いた音。
「小型ドリルを買っておいて正解だったぜ……」
そんなものは通販でも売っていない。
目ひとつ分の穴が開き、湯気が立ち昇っていた。
ここで魔人がどど〜んとでてきたら多分ハーレムエンドのための願いを三つ叶えてもらうだろうが、そんな非現実的なものは存在しない。
それでも――穴の先は楽園だった。
「(うおおおおぉぉぉぉお!!)」
心の中で絶叫をあげていた。
というか、泣いていた。
その先にある甘美なる肌色の世界――声がした。
『優衣ちゃんって、お胸大きいんだね〜羨ましいな〜』
美姫だった。
悲しいことに背をみていることしかできず、穴あけ位置の失敗を悔やむ。
というか、なぜ二人いっしょで風呂に入っているのだろう。
「(まさか……優衣と美姫は百合色関係だったのか!?)」
違うと断言して良いだろうか。
優衣らしき裸体が動き、視界の外へと逃げていく。
興奮も醒めはじめ、そろそろ退散しようと思い――判断の遅さを悔やんだ。
「……」
『……』
目が合っていた。
汗がぷつぷつと浮き始めた頃、美姫(らしきじゃなく断言できる裸体)の瞳はそのままで、ゆっくりとこちらへ身体が向――
何かが見えた気がした。
それこそ永久保存版のものが見れた気がした。
そんな凄いものが一瞬にして記憶メモリーから消えるくらいのことが起きた。
反射神経が直感的に身体を動かした。
先ほどまで覗いていた穴から、何かが飛んできた。
たら〜と汗が流れるまで数秒、もう一度穴から美姫を覗いてみる。
ぞくりとくるような目をして、口が動いた。
『――――』
形容するのをためらう言葉だった。
「あれ? 祐夜さん。なんでそんな埃まみれなんですか?」
「誇りをもっているからさ……」
とてつもなくムリのある逃亡だった。
キョトンとする優衣の横から満面の笑みで美姫が口を開く。
「まさか覗いてたの? 言ってくれればいっぱい見せてあげるのに〜♪」
「カミソリの刃投げたやつが言うか!?」
途端に美姫の目が冷めた。
「………………………………屋根裏に投げたカミソリ。なんで知ってるのかな? ちょうどお風呂場の上だったよね。ネズミだと思ったんだけど」
墓穴を掘ったと気づいたときには、四つの冷めた瞳に追い詰められていた。
思考回路をいつになく回転させる。
「た、ただ……妹の発育を確かめたかっただけなんだ!!」
嘘とはぎりぎりになると良いものが出ないと知った。
ゴキッ←誰かに拳撃が叩き込まれる音。
ポヨン……グシャグシャグシャッ←誰かが潰される音。
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