今から考えてみれば、学校帰りに野良猫を発見してしまったのが全ての始まりだったのかもしれない。
猫が死ぬほど好きな俺は、無意識にその野良猫を必死に追いかけていた。
そして気づけば周囲は見知らぬ建物の中。
なんかゴウンゴウンと音が響くそこは、どうやら何かの工場のようだった。
ベルトコンベアに流れているものは、良く見れば肉のようだ。
(何処だここは。精肉工場か?にしては人はいねーけど)
先程まで追いかけていた猫は何処にも見当たらない。
(ああ、猫は何処へ?)
俺は鉄骨の露出している天井を見上げ先程の野良猫を想う。
そのせいで俺は近寄る何かにも気づかずにいた。
「手前ェ、なんでんなトコに居やがる」
それはひどくドスの利いた声だった。
いきなり意識を猫から引き戻された俺はその声に驚き、心臓が早鐘を打った。
素早くその声のしたほうに首を回すと、そこには、
誰もいなかった。
「…あれ?」
確かに声はした。
だがその声の主は何処にも見当たらない。
辺りにはただ、工場の機械の駆動音が響くばかりだ。
「気のせいか?」
「気のせいじゃあ無ェよ、馬鹿」
先程のドスの利いた声。
それは俺の足元から聞こえた。
そこにいたのは、
先程の野良猫だった。
「…………幻聴か?」
「だからちげぇよ、馬鹿」
「!!!!!っ、猫が喋った!?」
先程より強く心臓が鳴る。
「騒ぐな、それよりどうやってここに来たんだ?ガキ」
「いやあ、覚えてないんだけど、とりあえず君を追いかけていたらこんなところに来ちゃったんだけども・・・」
「そうか、いやあ…ついてねえな手前ェ」
猫は溜息をついた。
さっきから何がなんだか分からない。
「一体何の事ですか、猫さん?」
「いやな、オレァ猫じゃあねえのよ」
さっきからやけにカッコいい口調で喋る猫だ。
「猫じゃないって? どう見ても可愛い猫にしか…」
「おれはロボットだ。ほれ」
猫は肉球を突き出してきた。
可愛い。
「おら、肉球ミサイル」
そう言うと、いきなり猫の手が切り離されて飛んで来た。
「そんな馬鹿な!」
肉球は俺の額にHITし、うしろに盛大に吹き飛ぶ。
視界がフェードアウト。
「ここはな、精肉工場だ。その代わり人肉のな」
薄らいでゆく意識の中猫が語ってくる。
「手前ェは新鮮な事だし、ここで使わせてもらうから」
なんだって!
「黙って使うのも悪いし、一応説明しといたぞ」
そして俺は、薄らいでゆく視界の中に、獰猛に笑う猫の形をしたロボットを見た。
そして
気づけばそこはベットの上。
「夢オチかよ…」 |