午後の授業が始まった。
食後のこの時間帯、教師がいくら頑張ろうとも結局は独り相撲。
隣と話してるヤツ、うとうとしてるヤツ、内職に勢を出すヤツ。
そんなヤツらを一番後ろの列に座るわたしは心の中で叱責する。
授業は真面目に聞くのは当たり前。そう毒づきながらもサボってしまいたい自分がいる。
素直じゃなくなったな…。
高校2年生。17歳。大人なのか子供なのか。最近そんなことを考える。
髪を薄茶色に染めてみた。すこしウェーブもかけてみた。
でも、何も変わらない。
ふと横を見る…。
こいつ…。
教科書を枕代わりに机にうつ伏せになっている。
「橋本、お前もこうやってみろよ。」
伏せたまま白石が『シシシ』と歯を出して微笑む。
「授業中だから…」
わたしは軽く返事をした。
やっぱり素直じゃないな。 「いいからさ。」
小さな声が帰ってきた。
ふと窓ごしに空を見る。
昔と変わらない青空、白い雲。目を細めて、じっと眺める。
昔と同じ…。昔から変わらないこいつ。結局わたしだけが先走っていた。 わたしはまだまだ若い。子供…。 急に気が楽になった気がした。こいつに身を任せてやろう。
『は―っ』
背伸びをして、教科書をぱたっと閉じる。快音が響く。
机にうつ伏せになって白石の方を見て『シシシ』って歯をだして笑ってみた。
作り笑いではない。胸の奥底からさわやかな、さわやかな。
白石が延ばした手にわたしの手を重ねる。自然な流れ。心地よい。二人同時に『シシシ』って笑う。やさしく。あたたかく。
これから何かが変わる。きっと。きっと。
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