挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
四時の交差路 作者:冬崎すのー
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

1/2

プロローグ


―――――気が付けば、荒野にいた。


 考えるよりも早く、世界の有り様を理解する。その視界には果てなき闘争の末に、辿り着いた結末の姿が映っていた。音を立てる者は何一つなく、生命を拒むかのような見渡す限りの不毛の大地。そこに存在する命など、あってはいけない筈だった。
 そんな世界で、声を上げる者が独り。

「―――――――――」

 いや、声を上げる者ではない。彼女が、そう感じただけだ。彼女の視界に入るモノは、少女が何かを抱えて天に咆哮をあげる姿。それは多大なる絶望を孕んだ悲痛すぎる哀哭だった。

 ――――いや、そうあって欲しいと勝手に願っているだけね。
 ――――何て……身勝手で醜悪な、人間。

 そうして彼女は、力なく笑いを浮かべていた。だがその笑みにあるものは喜びなどとは程遠い、切なすぎるほどの痛みの顔。

何せ、この凄惨な結末を導いたのは紛れもなく彼女だから。

 視界に映る少女は、叫び声も枯れた後その瞳から涙を零す。そんな零れ落ちる雫を見て、彼女はただ己の咎を心の裡で積み重ねた。この光景を見るべきは、私ではないのにと。己の存在を忌避し、否定し、そして最後に彼女の思考はただ一つの言葉に辿り着く。


 ――――――何故、私はここにいる


 それが、彼女が人として歩んだ最後の感情。
 そこから先、何がどうなったかは彼女は知らない。ただ、ずっと前に進んでいた。あの一夜の悪夢を拒むように。この世界の全てを否定するかのようにと。そうして進む度に摩耗し、心が荒み、軋轢を生み、擦り減ったあげく衰退の果てに零となり。その果てに辿り着いたのは、救いを孕んだ奇跡などとは程遠い、傲慢で愚昧な咎人の叫び声。




――――此処は始点と終点を紡ぐ場所

    運命の夜に咲く、強く儚い物語――――
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ