第5話 実験と修復依頼
6人の冒険者を見送り一息ついたあと、工房に掲げる看板を製作した
鍛冶屋であることが遠目でも分かるようにと武器屋なら剣の絵、宿屋ならベッドの絵、酒場ならジョッキの絵にするように鍛冶屋なのでハンマーの絵を描き軒下に吊るした
「これなら分かるだろう・・・」
更にハンマーの絵の下に看板を設置する
看板に書かれた内容はというと“剣・鎧などの修復50リルで承ります 要らなくなった装備品も買取を実施してます お気軽に御来店ください”と書き示してある
『これで良しっと・・・冒険者が戻ってくるまで時間はたっぷりとあるし実験してみようかな・・・』
秘密維持のため工房の鉄扉を閉め“只今、作業中”のプラカードをぶら下げておく
『まずは簡単な化学実験をしてみよう』
前に井戸から汲み上げておいた水を持ってくる
周りにも「鍛冶をするには水が不可欠」と言って大量に事前に汲み上げて置いたものだ
実際は水もハンマーも必要ではないのだが・・・
『さて・・・水を練成して実験してみよう』
目の前には樽に水が張ってある・・・そのまま武器を練成するように頭で思い浮かべ、両手を叩き練成する
すると・・・たちまち樽の中の水は氷へと変化する
『この世界には電気なんて無いからな・・・冷凍庫要らずだな』
氷はそのまま工房の隅にでも置いておいて新たに樽に水を入れる
先程は液体を固体にするイメージで氷が作れた・・・ならば、今度は液体を気体にするイメージを頭に思い浮かべながら練成を開始する
水は蒸発し水蒸気になって工房に立ち込める・・・溶鉱炉の熱と合わさりサウナ状態になってしまった
『水、氷、水蒸気か・・・
ただの水をこれだけの物に練成できるんだから鉄を別の金属に変化できないだろうか?』
先に練成した氷を舐めながら思案していく
さて次は適当に木片を溶鉱炉の火で真っ黒な炭にする
この炭を気体にすれば炭素になる・・・空気中を漂う酸素と結合させれば車の排気ガスでお馴染みの一酸化炭素や人の吐く息である二酸化炭素・・・更にはソーダ水で使われる炭酸も含まれる
気体に変化させると色々と作れるが固体から固体に変化・・・つまり練成するとどうなるか?
『炭(炭素)の元素記号はC・・・ダイヤモンドもC、理論上は作れるはずだ』
20㎝角の炭を地面に置き両手を叩き練成してみる・・・すると眩しい光や赤い稲妻の後、地面を見ると20㎝角の多面体ダイヤモンドが生成されていた
『できた!!』
再びダイヤを錬金術で0.1mmの粒子にまで砕いて練成した剣の表面に被さる様にして剣と合成する
見た目に光り輝く剣が完成した
理論上なら硬度10のダイヤが付着された剣なら余程のことが無い限り切れない物はない・・・
(ちなみに一般的な鉄の硬度はダイヤの半分以下である4程度・・・更に石膏に至っては更に半分の2)
工業用工具のダイヤモンドカッターと同じ様なものだと思えば良い
『見た目も綺麗だから宝石剣として国に寄贈した方が危なくなくて良いかもしれない・・・』
さて次は・・・と考えていたところで工房入口の鉄扉を叩く音がする
冒険者が戻ってくるには早すぎると思いながら鉄扉を開くと剣の修理依頼に来た騎士達だった
「ダイ殿、この剣を修理して欲しいのだが・・・」
「俺はこの鎧を・・・」「俺は訓練中に折れてしまった槍を」
と合計7個もの剣や鎧を差し出された
「全て直すのに丸3日必要になりますが構いませんか?」
本来なら一瞬で直せるが後々のためにオーバーに期間を頂くことにした
「すまんが頼む・・・少し多いが代金として400リル置いていく、また明日な」
「はい!分かりました お任せ下さい」
預かった剣・槍・鎧を一先ず地面に置き鉄扉を閉め作業に取り掛かる
まずは剣から・・・
『う~ん刀身に亀裂が入ってるな・・・まてよ城から廃品回収した剣の中に似たような物があった筈・・・』
工房の奥を粗探ししてみると柄の形は違うものの刀身は全く同じものだった
『こっちは柄と刀身の根元が砕けているな』
2本の剣を重ねて地面に置き両手を叩き練成を開始する
片方の剣は柄のみを残して刀身が消え去り、もう片方は亀裂一つない完璧な状態蘇った
『この剣は修復完了と、さて次は鎧か・・・』
鎧を見てみると胴体部分に直径20cmもの大きな穴が空いている
この鎧を着ていた騎士は生きているのであろうか?
素材を確かめてみると普通の鉄の鎧だったため剣の時と同じく廃品回収した物の中から足りない分の鉄を補充し錬金術にて組み合わせる
鎧の穴は塞がったが見た目が完璧すぎて怪しまれるため接合面の色を少しだけ赤褐色に変化させた
『さて残るは槍だけだが・・・折れたと言っていたが此れをどうしろと?』
みると槍の先端部はかろうじて残っているものの・・・胴体部分が砕けてしまっている
『どんな訓練をしたら此処まで完膚なきまで破壊できるのか・・・買い替えれば良いものを』
前金で簡単な武器を変えるほどの金を貰っているので直さないわけには行かなかった
『直すにしても槍の全長が何mなのか?騎士に聞いてみるか・・・』
城の門を警備している騎士に訓練所で使用されている槍の事を聞くと・・・
「槍の長さは君の頭一つ分頭上に上乗せした長さ、太さは掌に収まるくらいだね」
僕の身長が約170cmだから槍の全長は2mくらいかな?
「ありがとうございました!参考になりました」
騎士に感謝の言葉を告げて工房に戻り作業を再開する
廃品回収で手に入れた武器を練成し1本の鉄棒を作り上げた
『この鉄棒と槍の先端部分を直線になるように並べて・・・』
再度練成し1本の槍に仕上げる
先程の鎧と同様に違和感があるため、繋ぎ目の色を少しだけ変色させて完成
その後、数時間経過後7個全て修復し終わった・・・
工房の鉄扉を開けて外に出てみると空は既に真っ暗・・・
「おぅダイ!仕事終わったか?飯でも食いに行くか」
外に出たところで武器防具店の主人であるガルマさんに声を掛けられた
「はい!行きます・・・が少し待って貰えますか?」
ガルマさんに返答した後、鉄扉を軽く練成し簡単な錠を作って置いた
「では行きましょうかガルマさん」
「今・・・何をしたんだ?」
「お客様から大事なものを預かっている以上、大切に管理しなければいけませんから鍵をかけました」
「そうか・・・なら行こう!心配するな奢ってやるから」
こうしてガルマさんとともに酒場に消えていく2人であった
インターネットで科学を勉強しながら物語を作っています
まだ、うろ覚えな為もし間違っていたら御指摘ください
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