第46話 レイラの正体
その後、何処かの土産物の人形みたいに必死に頭を上下に振って謝罪している女性を必死に宥めていた
「本当に御無礼を・・・」
「もういいから・・・」
この応答も何回目か数えるのも嫌になってきた頃、ルミリアから質問された
「それにしてもダイはなんで訓練場にいたの?」
「ただ客室で暇だったから城内を散歩してただけだよ」
「でも此処って訓練場だし何にも見るものなんて無いよ?」
「ただ歩いていたら金属がぶつかり合うような音が聞こえてきたから、何かな~って思って」
「じゃあ、訓練場だって知らなかったんだ」
「そうだよ、誰かが戦っているのかと思ったけど音が規則正しかったから何だろうと・・・」
「じゃ其処でエリスに不審者と間違われて剣を突きつけられたと」
この発言でルミリアの横に立つ女性がビクッと反応する
「エリス、立ってないで自己紹介したら?」
「は、はい!! 私は第二騎士隊、副隊長を勤めますエリスといいます。 先程は失礼致しました!」
「エリスさんか、よろしくね」
「エリスで結構です、ダイ殿!!」
「なんでそんなに畏まってるの?」
この問いに答えたのはエリスではなく横に立っていたルミリアだった
「ダイ、この杖のこと憶えてる?」
そう言って先程まで振り回していた魔法の杖を僕に見せた
「憶えてるも何も、僕が作った魔法の杖だよね・・・此れがどうしたの?」
「この杖で魔法を暴発させた時に横にエリスが居たんだけど、魔法の杖の威力に虜になっちゃって」
「なんでまた・・・」
「『このような強力な武器を作れる方は尊敬に値する』ってエリスが」
ふとエリスを見ると顔を真っ赤にして俯いていた
「そんで、鍛冶工房のダイが杖を作ったって言ったら・・・」
「ルミリア様、もう苛めないで下さい」
エリスは更に全身を真っ赤にし、頭から湯気が上がっていた
「ダイが狙われてるって知ったら完全武装で出て行こうとしちゃって止めるのに苦労したんだよ!」
「だって!憧れの方が狙われていると思ったら居ても立ってもいられず・・・はっ!?失礼します!」
その瞬間、エリスは黙り込み、訓練中の騎士をなぎ倒しながら走り去っていった
「ちょっと、からかい過ぎたカモ」
「ルミリア・・・」
暫く話しこんだ後、ルミリアと別れて客室へと戻る事にした
部屋へと戻ると遊びつかれたのか部屋のベッドで横になっているフィルの姿があった
周りを見ると、食べ散らかされたお菓子の屑を部屋の侍従であるレイラが片付けていた
どうやら遊び疲れではなく食べすぎで寝ているようだ
「お兄ちゃん、おかえり~~~~」
「なんだ、起きてたのか」
「お菓子食べ過ぎて苦しいの~~~」
「バカ・・・」
それを見ていたレイラがクスッと笑っていた
「お菓子を夢中で食べているフィルちゃんが愛しくて、ついついあげ過ぎてしまいました」
「大丈夫ですよ、フィルが悪いんですから」
「お兄ちゃん、酷いよ~~」
僕は寝ているフィルのベッドの横へと、そ~っと近づき、小声で話しかけた
「なぁフィル?」
「なぁに?お兄ちゃん」
「運動もせずに、寝て食べて寝て食べてを繰り返していると・・・」
「繰り返していると?」
「・・・太るぞ?」
「!!!・・・嫌ーーーーー!!」
フィルは大絶叫のあとに飛び起きようとするが下腹が妊婦のように膨らんでいたため、飛び起きるどころかベッドに座る事も出来なかった
「フィル様、可愛い~~~~~~~!!」
フィルはドルフィンキックのようにドッタンバッタンドッタンバッタンと何度も刎ねていた
『一応はカロリー消費になるのかな』と思い、小一時間ほど眺めていたが今度こそ本当に疲れたのか仰向けで眠ってしまった
不意に一緒になってフィルを見ていたレイラが話しかけてきた
「フィルちゃんになんて言ったんですか?」
「大したことではありませんよ、ただ・・・」
「ただ?」
「ただ、『運動せずに食って寝て食って寝てを繰り返していると太るぞ』と・・・」
「確かにその通りですが・・・」
此処で気になる事があったので聞いてみることにした
「ねぇレイラさん・・・」
「なんですか?」
「貴女は何者ですか?」
「!・・い、嫌ですね、ただの部屋つきの侍従ですよ?」
少しドモったが普通に返してきた
「それならば何故、ただの侍従が剣を持っているのですか?」
実際には剣など見当たらないもののレイラにカマをかけてみると
無意識だろうか腰に手を遣って『しまった!』と小声で項垂れていた
「いつ気づきました?」
「ついさっきなんですが、部屋に入った一瞬に目を向けられたからかな」
「流石ですね、無意識だったんですが」
「それに掃除中でも足捌きが綺麗でしたしね」
「ダイさんこそ何者なんですか?」
「僕は一介の鍛冶師ですよ・・・ただ、剣も使えますが」
「分かりました、フィルちゃんには言わないでくださいね」
「敵ではないのですね?」
「勿論です・・・私の名はレイラ、ダイさん達の護衛騎士であり第二騎士隊隊長でもあります」
「第二騎士隊って言ったらエリスの?」
「妹に逢ったのですか!?」
「姉妹だったんだ・・・訓練場でバッタリとね」
「身分を隠していたことを謝罪いたしますが、城内とはいえ安心できませんから」
「分かった、これからも宜しくねレイラさん」
「レイラと呼び捨てで結構ですよ」
このやり取りから数十分後、時計も無いのに食事の時間に飛び起きたフィルは勢いのまま夕食を食べていた
あれだけ菓子類を食べていたのに夕食も遠慮なく食べ終え、部屋で運動をしてから眠りについていた
「あの小さい身体の何処に入ったんだろうか?」
謎が謎を呼び、その日は終了した
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