第4話 ギルドへの依頼
さて・・・商売を始める前に4000リルで手に入れた住居兼工房を見てみることにした
建物は1階立ての平屋、正面を見て右側に工房がある
この建物の前の持ち主の好意であろうか・・・ハンマーと鞴、溶鉱炉みたいなものが新品同然の状態で所狭しと並べられている
正面右側が住居になっている
休憩室と思われる場所からは工房が一望でき客の出入りが分かる作りになっているようだ
さらに工房の入口には重厚な鉄の扉がついており、秘密維持に役立ちそうだ
「僕の錬金術・・・鍛冶は道具を必要としないけど見た目のこともあるし作業中は見られないようにしなきゃ・・・」
鉄くずは城から貰ったものがあるが錬金材料確保のために異世界特有のギルドを探していると宿屋の正面にそれらしい施設を発見した
「ここがギルドかな?」
「えっと・・・仕事探しでしたら其方の掲示板から剥がして窓口にお持ち下さい」
ギルドの窓口と思われる場所から甲高い女性の声が聞こえてきた・・・
「違います・・・仕事を依頼しに来たんですが・・・」
「そうですか!失礼しました。 どのようなご依頼でしょうか?」
「僕の仕事の材料になる鉄鉱石や鉄くず等を調達する依頼を頼みたいのですが・・・相場はお幾らぐらいですか?」
「調達ですと・・・20~50リルが相場となっております」
「それで手続きをお願いします」
「では此方の用紙にご記入願います。
この用紙が掲示板に貼られる事になりますので依頼人・・・あなたの名前と仕事内容・報酬を詳しく分かりやすくお書き下さい」
窓口より羊皮紙と思われるゴワゴワした紙とともに羽ペンが手渡される
この世界の文字は読めるが書けるかどうか心配だったが普通に読み書きできるようだ
「えっと・・・“鉄鉱石及び鉄屑の調達をお願いいたします。 報酬は50リル・・・調達量に応じて上乗せ可能(上限は150リル)、詳しい内容は鍛冶屋ダイまでご足労願います”っとこれで良いかな・・・これで依頼します」
「えっと・・・ダイ様ですね。 分かりました掲示板に貼っておきますね」
「さて・・・城から貰った鉄屑の中に穴の空いた鎧があったな」
早速、工房の鉄扉を閉めて工房の様子が人の目に入らないようにして錬金術を用いて鎧を修復する事にした
「穴の部分を埋めるために周りから引っ張るから多少鎧が薄くなるけど・・・しょうがないか」
穴あき鎧を地面に置いたあと両手を拍手するように叩き両方の掌を地面へ叩きつける
途端に淡い光と静電気のような稲妻が発生しながら鎧が姿を変えてゆく・・・
「成功したか・・・少しサイズが小さくなったが元のサイズが大きかったから問題はないだろう」
鎧を見ると一回り縮んだものの、鎧の穴は跡形もなく新品同然の輝きを放っていた
「元が廃材だからな・・・幾らで売ろうかな。 まぁ元手は掛かってないから値がつけば黒字だけど」
隣で商売している武器防具屋を営んでいるガルマさんを覗き相場を確かめる事にした
「えっと・・・鍛冶で鎧を製作したのですが、此方では幾らくらいで売られているのですか?」
「どんな鎧だ?見せてくれないか・・・」
「これなんですが・・・どうですか?」
「これは騎士の鎧に姿・形は似ているが・・・中々の物じゃねえか!!
俺ならコレに安くても500リルの値をつけても売れると思うぜ」
「本当ですか!?」
500リル・・・日本円に直すと約5万円か
「俺の店じゃあ剣を始めとして斧や槍・・・特殊なものでは投げナイフ等だが、一番安いもので50リル・高いものになると800リルの武器がある。 防具なら大体50リル~1000リルが相場だな」
「分かりました・・・中古品なので400リルの値札を付けて店先に飾って置きます」
「おぅ!参考になったか?」
「はい!!」
ガルマさんと別れ工房に戻り鉄屑の練成作業を開始することにした
「さ~て!次はこの剣を練成してみようかな」
鍛冶の道具がいつまでも新品同然だと周りから不審がられるため炉に火を入れハンマーを打ち鳴らしておく・・・こうすれば大丈夫だろう
剣を1本2本と練成していると鉄扉を叩く音が聞こえてきた・・・
手を止め鉄扉を開くと腰に剣や杖を装備した6人の冒険者が立っていた
「ここが鍛冶屋ダイで間違いないか?」
「はい・・・工房主のダイは僕ですが何の用でしょうか?」
「ギルドに貼られていた調達の依頼のことで話を聞きに来たんだが構わないか?」
「あ、はい!どうぞ・・・」
見ると冒険者は6人居るが3人ずつの別のグループのようだ
「この依頼の取り合いで喧嘩になってな・・・・・・どうするか決めかねているんだ」
「それでは・・・僕も量が欲しいので同じ依頼を2つお願いする事にします
依頼書に書いたとおり基本の報酬は50リルです。量や重さに応じて最大で150リルまで出します」
「この依頼書に書かれている鉄鉱石は分かるが・・・鉄屑とはなんだ?」
「工房の奥に積んであるものを見ると分かりますが折れた剣や穴の空いた鎧などを、この店先に置いてある鎧のように修復して売るために集めてきて欲しいんです」
「分かった探してみるよ」
そうして6人の冒険者は3人ずつのグループに分かれ別々の方向へと旅立っていった・・・
物語中では金の単位を“リル”にしてますが此れは土耳古の旧通貨リラとドルを組み合わせて作った通貨です
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