閑話 誘拐犯のその後・・・
ダイがメルドに戻って休養していた頃、ラダムの城跡では5人の男達が何かを漁っていた
「兄貴、もう帰りませんか?」
「バカヤロー! 儲けもなしに帰れるか!!」
そう言って自分の事を兄貴と呼び慕ってくる部下を軽く突き飛ばしたつもりがバランスを崩し瓦礫に頭をぶつけ昏倒してしまう・・・
この5人、忘れている事は無いと思うがダイを誘拐してラダムに連れて行った冒険者である
「危険な思いをしてメルドから攫ってきたのに、報酬が俺達の命だとは、ふざけやがって!!」
この冒険者らは報酬を受け取りにギルドへと足を運んだが、ギルドで待ち構えていたラダムの黒騎士に口封じとして命を狙われたのだった
幸い、逸早く異変に気づいた魔術師が魔法を放ちギルド諸共、騎士を殺害したのだった
その後、騎士を身包み剥いで武器や防具、更にはギルドが崩壊した事により巻き添えで亡くなった冒険者の所持品を売却して金に換えたのだった
その後、砂漠地帯では珍しい集中豪雨がラダムを襲い、ラダムの城は崩壊した
付近の住民の見立てでは雨により地面が緩み城が崩壊したのではと考えていたが、実際にはダイが逃げる時に行った悪戯の所為であることは誰一人として知る由はなかった
さて話は5人の冒険者に戻る
「それにしても石ばっかりで碌な物がねえな・・・」
「せめて、騎士の死体でも出てくれば装備品を売ったりして金を稼げるんですがねぇ」
相槌をあわせるかのように副長が話をあわせる
いつもならドジキャラが居るのだが最初のほうで頭をぶつけて昏倒して未だに倒れたままである
心配して別の部下が確認したところ息はあるので、そのまま様子を見る事になった
「そういえば・・・メルドから攫ったアイツ、なんて名前だったかな?」
「たしか、ダイだったと記憶していますが」
「アイツもこの瓦礫に埋まっているんだろうか?」
「いえ、とある情報によればカイザル王によって収監された翌日に脱走したそうです」
「脱走だと!?」
「しかも追跡した黒騎士の部隊が誰一人として帰ってこなかったそうです」
「それほど強そうには見えなかったが大したものだな・・・」
一方その頃、瓦礫を退かして漁っていた冒険者は瓦礫の隙間に何やら光っている杖を見つけ歓喜の声を上げていた
「隊長!見つけましたぜ」
そういって、先端部に宝石のような物が装着されている杖を隊長の目の前に差し出した
「よくやった!! 此れはカイザルの野郎の部下が持っていた杖じゃねえか!?」
「確かに・・・ダイを連れて謁見した時に見覚えがありますね」
「よ~し!此れを売って終了といくか!!」
「「「おーーーーー!!!」」」
掘り出された杖を地面に置き、帰り支度を始めていた頃ようやく頭を打ち付けた男が起き上がってきた
「う~~ん・・・俺は一体どうしたんだ?」
頭を擦りながら、覚束ない足取りで瓦礫の上を歩き出し何かを踏ん付けてしまった
『バキッ!』という音と共に発掘された杖は真ん中で圧し折れ、先端に装着されていた宝石が外れて床に転がってしまった
それを見ていた副長と2人は急いで宝石を拾おうとするが、未だに足元が覚束ない冒険者によって宝石は蹴り飛ばされパチンコのように地中奥深くへと落ちてしまった
「宝石が、宝石が・・・」
一部始終を見ていた副長は宝石の落ちていった隙間を見ながらブツブツと呻いていた
残りの2人も何があったのか分からないような放心状態になっていた
其処へ帰り支度を整えた隊長が顔を出してフラフラしているドジな部下を見ていた
「ようやく起きてきたか、まあ今の俺は機嫌が良いからな殴らないで置いてやる」
隊長は笑いながら副長らに目を向けると殺気だった6個の目が、ついさっきまで会話をしていた部下に注がれている事に気づいた
「よ~し、町に戻って杖を換金するぞ!」
と杖が置いてあった場所を見るが、何処にも存在してはいなかった・・・
「副長、杖はどうした? 何処に置いたんだ?」
副長がそっと近づき、先程の出来事を隊長に話すと・・・
隊長は先程まで笑っていたが阿修羅のように笑面から怒面へと変貌した
「そうか・・・またテメエの仕業か!!」
この時ばかりは誰も仲裁には入らず、それどころか普段は温和な副隊長とともに男を拘束し身動きを取れないように四肢を絡めた
この時になってようやく男は意識がハッキリしたが、何故こんな事になっているのか分からなかった
「隊長? それにみんな、どうしたんです怖い顔して?」
この何気ない一言が更に隊長の逆鱗に触れ、隊長の合図と共に男は半殺しにされてしまった・・・
男は意識を取り戻してから僅か5分で再び意識を奪われて昏倒してしまった
閑話という名の時間稼ぎです・・・
次話はもう少しお待ち下さい
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