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第27話 トラップ
ダイとフィルがメルドの姫、フェリスに出会っていた頃ラダムの城では・・・

「申し上げます!!牢の確認に行ったところ鉄格子は閉まっているものの囚人の姿が見当たりません」
早朝、牢の見張り役の兵がカイザル王に報告をし、更に別の兵士が報告に来る
「城内のいたるところに壁が出現し城内は迷路のようになっております」

それを聞いたカイザル王は手を振り報告の兵を下がらせ見張りの兵のみを残した
報告の兵が退出後、カイザル王の周りには警護のためか黒い鎧の騎士が2人控えていた

「貴様・・・見張りをしていて気づかなかったのか!?」
「夕刻に見た限りでは怪しい動きなどは・・・」
「鉄格子を開け巡回している兵に見つからずに城外へ逃亡したというのか!?」
「そうとしか・・・」
「役立たずが!!」

カイザル王は首に手を当て隣の騎士に合図を送ると見張りの兵は何をされるのか気づき命乞いを始めた

「陛下、命ばかりはお助けを・・・」

命乞いの言葉を言い切る前にいつの間に近づいたのか騎士の一閃にて悲鳴を上げる間もなく首と胴体が切り離された

「直ぐに部隊を編成し追跡しろ! 抵抗が激しければ殺しても構わん」
「はっ!! しかし、どの方向に逃げたか分かりませんが?」
「メルドの方向に決まっているだろう馬鹿者! コイツの様になりたくなければさっさと行け!」

王は未だに其処に転がって白い絨毯の床を赤く染めている死体を指差して兵を煽った

「直ぐに!!!」

兵は踵をかえし振り向きざま全力で走っていくが、

「ウワアァァァァ・・・・・・グエッ!」

急ぎすぎて階段から転げ落ちたらしい・・・

「何をやっているのだアイツは・・・」
「陛下、メルドまでは馬車でも10日はかかる距離です ましてや城の周りの土地は砂漠と化しており逃げ切る前に野垂れ死ぬのが関の山ではないでしょうか?」
「それでもだ、ダイはこの国の現状を知ってしまった 情報をメルドの王に話されては事が面倒になる、お前の言うように砂漠で死んでいたとしても死体を確認するまでは安心できんからな」
「了解しました、では私が追跡部隊の指揮を執ることにしましょう」
「頼んだぞ!」

見張りの首を切断した騎士が血で染まった赤い絨毯を舌なめずりをしながら歩いていく・・・

「味方ながら不気味な奴だ、敵には回したくはないな」

その頃、未だ追撃部隊が派遣されている事を知らないダイたち一行はというと
ダイが砂漠の砂を練成して作り上げた鉄の剣を再構築で槍やメイスに変形したりしてフェリスが使い心地を確かめていた
既にフェリスはダイの練成術を知ってしまっているためダイも人前で堂々と練成を披露している

「しかし、本当に便利な術を使うなダイは」
「此処にいる3人だけの秘密ですよ、もし喋ったら・・・」
「分かった分かった、心配性だな」
「お兄ちゃん、あとどれくらいでメルドに着くの?」

ラダムを脱出してから歩き続け早5日が経過していた
食料はフェリスの持つ皮袋内に十分過ぎるほどの蓄えがあるし飲料水も小川の水から錬金術で不純物を取り除き砂漠の砂を練成して作り出した陶器製の水筒にたくさん入っている

「僕が連れてこられた時、馬車で最低でも7日間は掛かったからなぁ~~」
「『最低でも』とはどういう意味だ?」
「工房で攫われる時に魔法で眠らされたみたいで馬車で目を覚まして7日経過したから」
「ダイの言うとおり馬車で昼夜休み無く全力で飛ばせば約7日でメルドに着くが馬は持たないだろう」
「じゃ歩きだと14日くらい?」
「いや20日はかかるだろう、あと10日も歩けばサイルの町に辿りつく・・・フィル、頑張れ」
「分かった、お兄ちゃん頑張ろうね」
「フィルもね、疲れたらオンブするから」
「私そこまで子供じゃないもん」

フィルは頬を膨らまし不機嫌そうな顔になった
其れを見た僕とフェリスはというと盛大に大笑いをしていた

「さて先を急ぐとしようか、もうそろそろ追跡の兵が着てもおかしくはないだろうしな」
「そうだね、ところどころ地面に細工はしてきたけど長くは持たないだろうし」
「お兄ちゃん、何をしたの?」
「ん? 少し大きめの蟻地獄を数箇所配置しただけだよ」
「蟻地獄って?」
「すり鉢状の穴の事だ、出ようとしてもがけばもがくほど嵌っていく嫌な罠だ」
「フェリス、さっき落ちかけたもんね」

僕が最初にしゃがみこんだ時、フェリスが心配して覗き込んだところ嵌りかけたのだ・・・

「言うな!!心配して駆け寄ったのに、とんだ災難だ」
「ごめんごめん でも、ありがとう心配してくれて」
「当たり前だ、大切な仲間だからな」

フェリスは言い終わる前にそっぽを向き頬を指先で掻いている

「お姉ちゃん、顔真っ赤になってるぅ~~~」
「こら、フィル!!」

フィルが足元から覗き込みフェリスをからかっている
最初フェリスが姫だったということを驚愕していたのに何時の間にか打ち解けていたようだ
最初、牢屋で見たフィルの表情と比べ考えられないほど明るくなっていた

「あんまり走り回ると蟻地獄に嵌るよ~~~」
「「えっ!?」」

追いかけっこしていた2人が立ち止まり足元を確かめ、地面をつま先で突付いたりしている
フィルは恐る恐る、フェリスも嵌りかけたからか慎重に足元を確かめている

「ダイ!何処に仕掛けたんだ!?」
「お兄ちゃん、怖いよ~~」

僕はフェリスの右隣とフィルの目の前を指差した
2人はなんとか嵌らずに僕の横へと戻ってきた

「おかえりフィル、フェリス」
「お兄ちゃん、穴なんて何処にも空いてないよ?」
「最初から穴の状態だと罠にはならないだろ?」

僕は大きめの石を2個手に取り先程指差した場所へ放り投げる
石が地面に落ちた瞬間、直径5m深さ5mの穴が出現した
其れを見たフィルとフェリスは顔を青くし自分の足跡を辿ってメルドへの道を歩き始めた
ちなみに追跡部隊はというと馬に乗った10人の騎士は最初に作った蟻地獄に嵌っていた
やっとどうにか抜け出せても次の蟻地獄に嵌るという行為を延々繰り返していた

「あの野郎、絶対殺してやる!!」
「隊長、助けてください!!」
「ば、馬鹿掴むな堕ちる!?」

まるでコメディーの1コマのように脱出⇒嵌る⇒脱出⇒嵌るを散々繰り返し一人また一人と数が減っていく追跡部隊・・・
これまでダイが作った連続蟻地獄は計50箇所、ダイに追いつくまで何人が減るのだろうか


ラダムからの追っ手を少しコメディー風に対処してみました


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