おみやげ持って来い(2/8)PDFで表示縦書き表示RDF


おみやげ持って来い
作:寒月   



(2)


 数分の沈黙のあと、僕は自分の携帯でかけてみることにした。
 着信している。あまり出て欲しくはない。しかも遠くで鳴っている音がする。そう病院の中から響いて微かに聞こえるのだ。10回ぐらい鳴らしたろうか。
 そして、突然友達の携帯が出た。自分で言うのもなんだが、出るとは思わずに「うわっ!」
と、思わず声を出して、すぐに息を呑む。
「お土産もってこい!」
 その一言で切れる。僕は怖くて声が震える。
「どうした?」
 友達は怪訝そうに言う。
「おみやげもってこい!だと」
「幽霊が出たのか?電話に、どうしよう?」
「諦めようぜ」
「嫌だって」
「おれはやだって」
「おれだってひとりじゃいけないよ」
 辺りはすっかり暗くなり、僕らの会話だけがその敷地で響いている。そこにいるだけでも怖かった。
 僕は妥協案として、明日の昼間とりに行くことを提案した。すると
「おみやげ持って行ったほうがいいのかな」
 友達は殊勝に言う。妙な話だ。幽霊は確かに「おみやげをもってこい」と言った。
ゆうれいに言われておみやげを持っていく。そんな話聞いたことはない。
 僕は思案に暮れていると携帯が鳴った。
 着信を見ると友達の携帯だ。僕は怖くなって、電源を切ってしまった。
「今日はとにかく帰ろう」
「うん。そうだな」
 僕らは怖気づいていた。そして、帰途に着いた。
その間、僕はまた行かなければならないのか。お土産なんて持っていかなければならないのか。まるで合理的理由もない考えをひたすら巡らせていた。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう