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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

夏のホラー2017_裏野ドリームランド

緊急摘出手術☆ミラーハウス

ねぇ、知ってる?
裏野ドリームランドのミラーハウスの話。

知ってるー。
出てくると別人みたいに人が変わってるって話でしょ。

怖いよねー、マジで別人なのかなぁ。

+++++

-何処かの後輩と先輩の場合-

「おい、ヒロシ! お前入って来いよ! 俺は入り口で待ってやってやっから」

ドサッ、とミラーハウス内に蹴り倒された。
僕は無言で立ち上がる。
膝を擦りむいて血が出てるけれど、こんなのは痛くない。

僕は高校の先輩に、いつも突っつき回されている。
虐めでなはく鍛えてるだけだと先輩は言う。
僕が強くないからいけないのだろう。
多分。

ミラーハウスは入ると、別人のようになって出てくると評判の廃墟だ。
廃墟遊園地を面白がった先輩に連れてこられた。
どつき回される事に比べたら全然怖くない。

僕は意を決して中に進もうとすると、後ろからドンッと先輩に押された。

「おい! 早くしろ………うわっ! なっ! パッ………」

驚いて振り返ると、先輩が僕を押した手を誰かに引っ張られていた。
白衣を着た綺麗な腕が先輩を引っ張っている。
あっと言う間にミラーハウスの中に引きずり込まれて見えなくなっていく。

「これはダメだ! 緊急摘出手術!」
「はーい、患者さんこちらへどうぞー! 麻酔なしだから痛いですよー!」
「おい、マツイくん! 患者を怖がらせるような事を言うな! 頭から暴力の石を取ったら良くなりますよー! このドリームランドのエネルギーにもなる」
「一石二鳥ですね! 先生!」
「メス!」

「ギ、ぎゃー!! 痛い! イタイー! ねぇ! やめ!」

「すーぐ終わりますからね、ほんの一時間くらいで! 安心して下さい!」
「マツイくん! 舌噛まないようにタオル入れて!」
「はいっ、先生! 漏らしてもいいように管も入れました」

正体不明の男女の話し声と先輩の叫びが、ミラーハウスの中から聞こえる。
僕をミラーハウスの入り口に突っ立っていた。

怖くて少しも動けない。

「あら? こっちの人は頭の中には何のエネルギーの石も入ってないのね」
「膝を擦りむいてるから手当しましょう」

耳元で声だけが聞こえる。
僕は悲鳴も出せずに突っ立っていた。
さすがに怖くて身体中が震える。

いきなりズボンを下ろされて尿瓶を当てられた。
いつの間にかその中に失禁している。

呆然と立っていて、気づくと膝にはガーゼが当てられていた。

「はい、ついでに頭の配線ちょっといじって出来上がりだ!」
「素晴らしいです、先生!」
「安心しなさい! もう暴力の石が再発しないようにしておいたぞ!」

………気づくと、僕の傍らには先輩が立っていた。

「今まで申し訳なかった! これからは償いにヒロシくんの言う事を聞かせてくれ!」

僕と目が合うと、その場に土下座した。
金に染められていた頭も黒だ。
頭に黒い糸の抜い糸がある。

これだけの超常現象にあったんだ。
きっと、先輩は何か変わったんだろう。
多分、良い方向へ。

だけど今更、謝られたって許したくない。

「許さない。今まで取ったお金を返して下さい」
「もちろんだ。それに学校を卒業したら働いて、そこから償いとして金も払う。申し訳なかった」

先輩は顔をあげた。
すごく純粋な目をしている。
たまらずに僕は目をそらした。

目を逸らした先には、裏野ドリームランドで綺麗だと噂のメリーゴーランドが煌めいていた。

メリーゴーランドの下には、誰か髪の長い女の子が立っている。
メリーゴーランドの床に立っている。
ゆっくりと回っていた。

エネルギー………として使われているのかな。

「一緒に帰ろう。ヒロシくん」

先輩が僕に向かって手を差し伸べていた。

+++++

-医者と看護師の場合。そもそもの経緯-

「「裏野ドリームランドのエネルギーを集める?」」

隣に立つマツイくんと一緒に声を上げた。



他の医師仲間や看護師達と貸し切りバスにて事故にあった。
トラックに後ろから追突されたのだ。
災害にあった地方に応援に行く道での事だった。

視界が暗転したかと思うと、次に目を開けた時にはなんだか寂れた遊園地に立って居た。
夢かとも一瞬思ったが、現実だと何故か分かっている。

隣にはマツイくんが立っていた。
看護師として若いが優秀な子だ。

『これから言う事をやれば事故をなかった事にする』

頭に誰かの声が響いた。
周りをキョロキョロするが誰もいない。

『人間の頭にはエネルギーが溜まると精神エネルギーの石ができる。それを取り出して欲しい。頼んだぞ』

「あっ、ちょっと待ってくれ! やるとは言ってない!」

声はこちらの返答を聞かずに気配を消した。

それからの日々は恐ろしい事に麻酔なしで頭を開頭し続けた。
何故か見えるようになった妙な光る石を取り出す手術を行うのだ。
ついでに頭の配線もいじった。

あの妙な声が頭に響いた日から、私は嬉々としてそんな恐ろしい手術をするようになってしまった。
まるで人が変わったように。
マツイくんもそうだし、他の医師仲間もそのようだった。

皆、喜んで石を取り出す手術をしていた。

いや、違う。
私たちは良いことをしている。

事故もなかった事になるし、裏野ドリームランドのエネルギーにもなる。
後は手術を受けた人達は皆、その後穏やかで優しい人間になった。

不良の男子高校生も。
児童虐待の母親も。
動物を虐めるやつも。
汚職する政治家も。
女をいじめるオトコも。
他に危害を加えるやつはみーんな。

こいつもあいつも。
何もかも。

そして、たくさんの石を取り出してから。

あなたも私も。

きん……きゅう…、シュづつ。

+++++

-医者と看護師も緊急手術中-

+++++

大人になって、頭がだいぶ固いので大変な手術となっております。

医師から石を取り出すのはだいぶ大変。
本人は自分の何が悪いのか分かってないのです。

だいぶ固い頭から石を取り出したから、周りの組織がやられました。

でも、大丈夫です。
幸いに、医師仲間が丹精込めて一本一本配線を繋いでくれました。

ほら、出来上がり。

事故がなかった事になって、災害にあった地区にて一生懸命働きました。

+++++

-医者と看護師が帰宅。医者の妻の場合-

「母さん、ヒロシくんと今日も勉強するから邪魔しないでください」
「分かったわ。でも後で飲み物とお菓子を持っていくわね」

ウチの子は、今日もきちんと高校から帰ってきた。
塾のない日はお友達と帰ってきて、部屋で勉強をしている。

………ヒロシくんというお友達と、いつも手を繋いで帰ってくるのは気になるが。

髪の毛も金に染めていたのを、いつの間か黒に戻していた。
あれだけ言っても聞いてくれなかったのに。
ある日突然、髪色を戻して前のように穏やかで優しい子になっていた。

進学校で落ちこぼれになっていたのを、あっという間に成績を上位に戻していた。
もともと頭が良かったのだ。
頭が良く優しい子だった。

何があの子を変えたのだろうか。

考えこんでいると、玄関から音がした。

「ただいまー」
「どうしたの?! こんなに早く帰ってきて!」

玄関に居たのは、夫だった。
出会った頃のようにニコニコと優しく笑っている。
手には薔薇の花束を抱えていた。

「はい、今日は結婚記念日だろう? 」
「あ、ありがとう」
「今日も綺麗だよ。いつもありがとう、ユウコちゃん」

呆然と花束を受け取る。
涙が溢れていた。
薔薇のいい匂いに現実感がわかない。

確か、夫は災害に応援に行った後、いつものようにそのまま泊まり込みで仕事をしていたはずだ。
そのまま職場のマツイという女と、また一緒にいるのだろうと諦めていた。
いつも遅く家に来て、服を取るとそのまままた行ってしまう夫。

こんな早く帰ってきてくれるなんて何年ぶりだろうか。

夫がニコニコしながら、手を握ってくる。

「どうしたの、母さん? なんか叫び声がしたけど」

ウチの子が玄関に顔を出した。

「あっ、パパ。おかえりなさい」
「ただいま、勉強やってるか? 母さんを困らせてないか?」

夫が私の手を握ったまま、息子に問いかける。

「もちろんだよ。将来、俺も立派な医者になるから」
「ははは、頼もしいな」

笑いあう夫と息子なんて夢みたいだ。

カタッ………

微かな物音に振り返ると、ヒロシくんという息子のお友達がこちらを見ていた。

とても複雑そうな表情で。

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