透明な階段(26/35)縦書き表示RDF


透明な階段
作:葉崎あすか



2;05


 5
 やっとこさ、リンの家に帰ると、シャルゴは、倒れこんだ。
 「つ、疲れた……」
 「おうおう、ご苦労じゃったな。どうじゃった。ライじゃなかったろう」
 「うん……」
 「やはりな、そうだと思ったわい」
 シャルントは、ヒョヒョヒョと笑った。
 「宝玉がなくなったのに、よく笑っていられるな……」
 シャルゴは、祖父に微かな殺気を覚えた。
 「見つかったぞ。宝玉」
 「ええっ!」
 シャルゴは、カバッと起き上がると、石の玉座に向かって、走り出した。

 家に残されたシャルントは、「まさか、ライが、魔法でリンを戻すときに、あらしで転がった宝玉を、戻し忘れていたとはなあ。玉座にちゃんと縛り付けておいたはずなんじゃが、あらしで吹き飛ぶようではだめじゃのう。まあ、近く草むらの影に止まっていたから助かったがのう」と言い、ヒョヒョと笑った。
 
 「あった」それは、石の玉座の上に、チョコンと乗っかっていた。
 シャルゴは、その場にへなへなと座り込んだ。
 「それじゃあ、どうして、じいちゃんの『先読み』が失敗したんだ?」
 きっと、風邪でも引いていたんだろう。
 シャルゴは、草むらに寝ころんだ。
 『先読み』をしてみる。
 近い将来、リンに別の世界から一人、人間がやってくるのが、見えた。
 そのとなりには、ライがいた。
 またライが、自分を振り回すのだろうか。
 シャルゴは、『先読み』をやめた。
 青い空に白い雲。木が青々と茂っていて、小鳥の鳴き声が聞こえる。
 風が、ほほをなでた。
 気持ちがいい。
 それでいい。
 シャルゴは、ライが来るまで、この気持ちよさを、ぞんぶんに味わうことにした。
 












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう