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透明な階段
作:葉崎あすか



2;04


 4
 「ふむ、ライが、なぜそんなことをすると思うのかね」
 カーニャは、ゆったりとしたイスに座りながら言った。
 黒いローブをはおっているせいか、シャルゴにはカーニャがとても大きく見えた。
 シャルゴが、カーニャの家についてから、一言もまだ話していないのに、いきなり質問をされた。きっと、思考を読んだのだろう。
 「石の玉座の辺りから、甘い匂いがしたのです。ですから…………」
 言い終わらないうちに、カーニャが口を開いた。
 「わたしの魔法を見せてあげよう。──おいで」そういうと、カーニャは、スッっと消えた。
 「え、おいでって、どこへ行けば…………」
 シャルゴは、カーニャが座っていたイスに近づいた。
 「あっ!」
 イスの周りに、ほのかな甘い匂い。その匂いは、石の玉座の周りにあった匂いと同じ匂いだった。
 「わっ!」
 シャルントが、イスを凝視していると、先ほどを同じように、スッとカーニャが現れた。
 「分かったかね」
 カーニャは、ニヤリと笑った。
 「はい……」
 シャルントは、深呼吸してから言った。
 「あなたが、宝玉を盗んだのですね!返してください!」
 カーニャは、あきれて言葉も出なかった。

 「ええ!魔法使いは、魔法を使ったら、全員同じ匂いを発するんですか」
 「そう、だから、魔法を使って消えて見せたのに。これじゃあ、口で言ったほうが早かったわい」
 「ははは……。すみません」シャルントは、軽く頭を下げた。
 「ということは、ライじゃなくとも、魔法が使えるつまり、マクニの人が、リンの宝玉を盗んだのですね」
 「そうとは限らん」
 「……どういうことです?」
 「ライのやつが、あらしで全壊状態のリンを魔法で元に戻したんだろう。そのときの匂いかも知れん。余計なことをしたもんじゃ」
 「ああ……なるほど。でも、家に帰ってから、何の匂いもしませんでしたけど」
 「石の玉座の前では、集中していたからじゃろう」
 「…………そんなもんですかね」
 「そんなもんじゃ」
 「それじゃあ、これからどうすればいいでしょうか」
 「ふむ、そうじゃのう…………」カーニャは、しばらく目をつぶったあと、こう言った。
 「リンに戻って、よく探してみたらどうかの?」そして、軽くウインク。
 おばあさんが、ウインクをするなんて、なんかかっこういいな。シャルゴは、クスリと笑った。
 「それじゃあ、リンに帰ります」
 「ああ、気を付けて」
 家の外に出て、シャルゴは、あることを思い出した。
 また、あの道を通って、帰るのか……。
 シャルゴは、深く、ため息をついた。












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