柊
美優が学校を辞めてしまってもう一ヶ月が経とうとしていた。
柊は美優のいた机をじっとみていた。
一時期美優が退学してからというもの美優の噂話で学校中がいっぱいだった。
クラスの男達はクラスいちの美女がいなくなったということもあり、がっかりしていた。
しかし学校は日が流れるごとに美優のいない学校が当たり前となってきていた。
そんななか柊だけが美優を思い出には出来ないでいた。
朝海に何度も美優の事を聞いたが朝海は答えようとはしなかった。
これ以上美優に悩み事は増やしたくなかったのだ。
柊は美優の机をみながら
「そういえば今日兄貴に来るように言われてたな」
柊は兄との約束を思いだし今日放課後兄のもとへ行くことにした。
その頃美優は昨日遅くまで働いていた事もありまだ寝ていた。
学校を止める事を拓也に話した時は流石に拓也も学校を辞める事を止めたが、今の美優の体をみれば無理はさせられないと思い同意した。
しかし母には言えないと二人で話し、母には今まで通り学校に通っているということにした。
「ん…」
昼前になり美優は目を覚ました。
このところよく寝れるし体調も少しずつではあるが改善されていた。
しかし体重だけはなかなかあがらなかった。
美優はこのところずっと体が怠かった。
今日は仕事が休みである。
風呂に入り、昼ご飯を食べようと炊飯器をあけた時だった。
「ん…!!げほげほ」
いきなり美優の体に吐き気を催した。
美優は昼ご飯を食べるのを止めてまた布団に入った。
「少し休んで、病院に行こう。」
今日はお金を支払う日だったのだ。
4時位になったところで美優は起き上がり、準備して部屋をでた。
部屋を出て町を歩いていると頭が重くて体がとてもきつかった。
この所美優は元いたスーパーのアルバイトも再開していた。
それでも学校に行ってたころよりは睡眠時間はあるものの寝れない日もあった。
美優は病院に着くないなや笑顔をつくり母のいる病室をノックした。
「はい…」
鬱が激しいのがいつもよりも怠そうな返事が帰ってきた。
ドアをあけ部屋に入った。
「お母さん調子どう?」
母は美優の顔をみるなり微笑んだ。
「美優ちゃん、来てくれたのねぇ。ありがとう。」
美優はその後母の変形した手を握りながら他愛のない会話をした。
しかしやはり今日の母は
活気がみられなかった。
すると母が
「美優ちゃん、お母さんはなんでこんな病気になったの?美優ちゃんはいつもお母さんをのけ者にして楽しんでるんでしょ?」
美優にはこれが鬱病からきているものだとちゃんと解っていた。
それでもやはり辛く、美優は部屋を出た。
部屋を出て柊の部屋をノックした。
扉が開いたので部屋に入ると柊先生は私服に白衣を羽織ってまっていた。
美優が柊の私服姿を不思議そうに見ていると柊が笑顔で美優に話しかけてきた。
「美優ちゃんいらっしゃい。」
柊は今美優をみてとてもドキドキしていた。
柊は先月最後に美優に会った日からずっと考えていた。
他の患者のご家族に対する思いと明らかに違う、これはいったいなんなのか、
大変な生活を送っているから同情なんではないか。
しかし今美優をみて確信した。
俺はこの子を愛してしまっている。
柊はドキドキした気持ちを押さえながら美優を座るよううながした。
柊は美優をじっとみていた。
また痩せている。顔色もあまりよくない。
美優は柊の目線にも気付かずにお金を柊に渡した。
「先月分です。あの…先生何故私服なんですか。」
「ああ、俺も今日はこれで仕事終わりだから。」
美優は柊先生の姿を見るとほっとした。
柊先生が笑顔で話してくれるということは母に悪化はないと言うことだ。
美優が立ち上がろうとするといきなり目の前が真っ暗になった。
息が出来ない…苦しい。
美優が目を開けると柊先生が美優を腕で支えていた。倒れる美優を支えたようだ。
息が吸えない苦しい……怖い…美優が涙を貯めながら奮え苦しんでいるといきなり柊先生が抱きしめてきた。
背中をさすりながら、
「大丈夫だ、俺がいる。だからもう頑張るな。」
柊先生の声が心に響いた。
涙が止まらない。美優は男の人の大きな体に抱きしめられて始めて心が落ち着いた。
すうっと吸うことが出来たかと思うとそのまま意識がうすれていった。
その光景をずっとみていた男が柊に話しかけた。
「兄さん」
柊が振り向くとそこには美優と同じクラスの柊がいたのだった
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