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悪魔の問題

順序の問題

作者: 木山喬鳥

 


 昨日,この街に響いた変な音が気になる?音の原因が知りたい?

 私は知っていますが……ええ,もちろん,本当に知っていますよ。

 お聞かせするのは構いませんが。だけど長い話に……なりますよ?


 おっと危ない。アナタ,足がもつれていますよ。ずいぶん酔ってらっしゃいますね。

 どういたしまして。それより急に手を引いて,痛くなかったですか?


 

 ええ。人出が多くて賑やかなのは大好きですが……こんなに混むと――まあ,苦手ですね。

 町の中は人であふれていて,いちいち避けて歩かなきゃならないですからね。

 混んでいる街角に募金箱を抱えた一団が立っているのだから避けるのも一苦労ですよね。

 この国は一年の終わりに,やたらと慈善家が増えますからねえ……そんなに善意があふれているのなら,かわいそうな,この私に魂を一つくらい,いただけないものでしょうかね。

 あ,いえ。何でもないです……はい?聞いてしまいましたか。ええ,魂と云いましたよ。

 そうです,私は魂を集めているのです。


――――私,こうみえて悪魔なのです。


 いえいえ,比喩とかでは,ありません。

 魂と引き替えに人間の願いを一つだけ叶える,あの悪魔。ええ,まさにそれですよ。その契約する悪魔です。

 ああやっぱり外見が気になります?そうです,背広の中年男です。普通のサラリーマンに見えますよね。

 それはですね。姿を人間に見せかける魔法を自分にかけているからです。

 角としっぽ?翼?本当はありますけど?

 ええ,まあ……普通は信じませんよね。だからアナタに疑うな,とは云いませんけど……


 こういうのって,説明も証明もできませんからね。

 悪魔の証明っていうんでしたっけ?ムリなのですよね。残念ながら。

 え。悪魔の証明って学術的な用語じゃないんですか?初耳ですよ……そうだったのかあ。

 へぇ,それじゃ存在しないことの証明ってできるんですか。


 ま,まあね,ともかく。信じなきゃ信じないで構いませんよ,私は。

 なるほどそうですか。悪魔と云うものは魔法陣とか呪文とか,そんな物々しい道具立てで呼び出すと聞いているのですか。

 よくご存知ですね。ええ,そんな大仰な方々も,確かにいらっしゃいますよ。

 しかしね,私は自分から人の前に出て行っては,契約を持ちかける飛び込み営業専門の悪魔なのです。

 はは。おかしいですか。こういう役目の説明って面倒なんですよねえ。

 街に出て何をしているか?ああ仕事のようすですか……それは歩きながら――――こうキョロキョロと辺りを見渡して,私と契約してくれそうな人を探しているのです。

 云いましたでしょう?

 私は人間の願いを一つだけ叶える代わりに,死んだ後に魂をいただく――そういう契約を取リ結ぼうとしているのです。

 自分よりも強い悪魔から命じられて魂を集めていましてね。

 はあ……嫌なこと訊きますねえ。

 ええ,今までに成果はありませんよ。契約は一つも成立させていません。ゼロです。

 


 巷では久しく不景気だと言われていますが,それは悪魔の世の中も同じですよ。

 私は年ごとに見せかけの姿を変えては,もう二百年余りも,この辺りをうろついていますからね。

 一度,人の世の中に契約を取りに出かけたならば,魂の一つも持って帰らなければ地獄に入れてもらえないのです。

 厳しいものです。正直,疲れます。


 ふうん。なんでも願いが叶う魔法があれば地上でも面白く暮らせるだろう,と思われますか。

 いえいえ。私は願いを叶える仕組みに取り次ぐだけの役目なのです。いわばただのオペレーターなのですよ。

 たいした魔法なんて使えませんよ。

 謙遜けんそんとか,そんなものじゃないですよ。本当に私自身に,たいした能力はありません。

 死なないって他には姿を消したり,どんなに施錠された場所にだって入り込めることくらい。

 せめて人間の考えていることなんかが,もっとはっきりわかると仕事もやり易いのですが……

 これも……ボンヤリわかる程度で,たいして使えないのです。

 


 こんなに長く成果をあげなくても月給をいただけているだけ,ありがたいんでしょうけどね。

 そうですよ,月給制ですよ?

 え,悪魔がお給料をもらう理由がわからないのですか?

 人間の世の中にいるうちはお金が,必要でしょう?私だってお腹は空きます。

 そこがウソ?お腹は,空きますよ!

 ああ,そこですか。魔法で姿を消せたら金品を盗り放題だろうって,話?

 なんてことおっしゃいますか。アナタ悪い人ですね。嬉しくなっちゃいますよ。

 人間相手の犯罪を自分でやったって,楽しくもないですよ。

 下端の悪魔は人が罪を犯すように,そそのかす他は何も興味はありませんから。

 お金なんて,現世で必要なだけあれば十分ですよ。給料で,たくさん。

 コソコソ目立たずにマジメに歩きまわって魂の契約を取る,それさえできたら……私はとても嬉しいのです。


 


 今は時期的にやりづらいんじゃないか?どうしてですか。ああクリスマス?

 年末に恒例な他所さまの宗教の行事ですね。いいえ関わりは,ありません。

 私はしがない××という宗教の悪魔なんです。

 ええ。宗教ごとに悪魔の集団があるのですよ。実際,数が多くて嫌になっちゃいますね。

 競争が激しいのです。 顧客の奪い合いですよ。

 ええ,悪魔との契約なんてお話。活字でも映像でも,よくこしらえられていますよねえ。

 ああいうのって,割にあわない結末ばかりでしょう?

 困るんですよねえ,営業妨害ですよ。


 おかげで今の世の中じゃ,ほとんどの人が悪魔と取引なんてしなくなっているのですものねえ。

 そんな!私が契約相手の選り好みなんて,しているわけがないですよ。

 私は契約相手の人間の性別も年齢も健康状態もね,何も分け隔てしていません。公正なものです。

 信教?ああ宗教ね。何を信仰しているかなんて,悪魔は気にしないですよ。

 ええ,業界の慣例です。だって同じ宗派の人間としか契約できないのなら,

 私たちみたいな信者の少ない宗教の悪魔が困るじゃないですか。

 それじゃあ。契約の前にまず自分の宗教の勧誘から始めないといけなくなりかねない。

 私はムリです。神さまなんて信じていないですからね。ムリ。無宗教が楽ですよ。

 


 本題。あの音の話。そう,その話ですよ。私の素性が原因に関係あったから話していたんですよ。前フリです。

 今からその話は,しますよ。

 へぇ。どうして私がアナタに,こんな話をするか疑問ですか。

 それはアナタが今にも昏倒こんとうしそうな酔っぱらいですから。話をしても憶えてないだろうし。

 何より,アナタが私の話を信じていらっしゃらないからですよ。信じていないと,どうしてわかるのかって?

 嫌だなあ。少しは心が読めるって云ったでしょう?


――――じゃあ,お話しますよ。

 なかなか契約が取れなかったと,云いましたよね。成果もなしに二百年も経てば,さすがに私も考えます。

 今の人間は知恵もある。欲望も多すぎる――じゃあどうする,とね。

 契約を取れそうで,まだしも面倒な知恵のない人間とは,どんな類いの人だろうかとね。

 それはアナタ――子供でしょう。


 年端としはも行かない子供なら,考えなしに契約するんじゃないかと思いつきましてね。

 後,もうひとつ。云い出す願いがそれほど大きくもない状況の人間。

 それはどんな類のものかとね。思いついたんですよ。

 それはアナタ――死にそうな人間でしょう。


 死にたくないと願いますからね。

 ひとときの延命なんてたいした労力もない。コスパがいいのです。

 じゃあ。死にそうな人間はどこにいるか?

 これまた考えました。

 死にかけるほどの大ケガをした人間のいる場所なんてわかりません。

 わかったとしても,そんな状況では私と契約の話をするのも無理でしょうし。

 居場所がわかって。なおかつ話せるのは……死ぬような病気にかかっている人間……

 そう考えついて私は終末医療を行う病院の小児病棟へ行きました。

 ええ。入り込むのはカンタンです。

 得意な魔法で消えていれば誰にも見とがめられません。鍵も開け放題です。


 目にした病室に無垢むくな魂をニ個。いや,子供をニ人みつけました。

 片方は眠っています。

 これはパス。話ができなきゃ契約はできません。

 もうひとりは,男の子。

 この子は寝ている子の横で折り紙をしています。

 がんばって頭の中を覗いてみたら,真っ白。何にも考えてない――これは都合が良い。この子が良いです。

 男の子に例の契約を持ちかけようと,私はこう話しかけました。

 じゃあ云ったままに喋りますよ――――



「そこの坊や。うん,坊やのことだよ。そうだよ。おやおや口は,閉じなさい。そう話かけているのは私だよ,あーそれはツノだけれど……えッ見えるのかい?」

 ついうっかりして,無垢な魂の持ち主には私の真実の姿が見えるということを忘れていたのです。

 あわてましたが,子供の方は妙に,おちついていました。おやおや,この子は,頭が鈍いのかもしれませんね。

「ああ私の顔色ね。そう青いかな。気のせいじゃないかな。あ,シッポも羽も見える。見えるんだあ……そうそうハロウィン!延長して仮装しているんだ。ハロウィンを仮装だよ」

 驚くことに,納得したようです。ああ,やはり……この子は頭が鈍いようですね。

「いいから話を,聴いてくれるかな?そうだよ。良い話だよ。坊やのお願いを叶えてあげようって話だよ。でもそれは坊やが死んだ後に,坊やの魂を私にくれるんならだよ。坊やだって願いごとくらいあるんだろう?病気を直して欲しいかい」

 なんと!私の予想は外れました。

「え,ちがう?願い事は,この子との競争に勝ちたい? この子って目の前に寝ている,この娘と競争って?」

 それは何の競争だと尋ねて――坊やの返事を聞いて,驚きましたね。

 なんと,この子より先には死にたくないと,云うじゃありませんか。

「……そんな願いで,良いのかい?ホントに?いや負けても死んじゃっていたら……負けたこともわからないんじゃないのかい?」

 するとこの子供,耳打ちしてきます。内緒だと云います。

 子供の喋った取りとめのない話を要約すると……この子の本心は,自分が先に死んで残った女の子を悲しませたくないってことだそうです。

「ちょ,ちょっと待っていてね」

 満面の笑顔で云うと,電子カルテに潜って二人の病状を確認しました。ええ。解錠は得意なんですって。電子機器でもね。

 あの病室の子供は二人とも確かに不治の病です。あと一年と生きられない体らしいです。

 頬が緩むのを,どうにも堪えられませんでした。


――――順番なんか問題じゃない。

 早いも遅いもないのです,一年待てばいいだけです。

 寝ていた女の子が死んだら病気の坊やも,そんなに待たないうちにこの世とお別れでしょうから。 私はただ待っていればよいのです。

 自分の病を治すなり余命を延ばすなりしない子供の知恵の足りなさのおかげで,労力も待ち時間も短くて済むのです。

 思わず小躍りしていましたね。

「エライね! 坊や! 私にまかせてくれたら安心だよ。願いは叶うよ。さっそく契約しようね。さあこれが契約の文言なんだ。坊や,これを読みなさい。それで坊やの望んだ通りになるからね」

 契約の書かれた紙に目を向けて,男の子は首をひねるばかりです。

「ああ,なんだ,まだ字が読めないのかい。じゃあ私の後に続けて同じ言葉を言うといいよ。カンタンだよ。うん。そうそれで,坊やの願いは叶うんだ! いいかい?いくよっ――――坊やはこの子より前には絶対に死なない坊やはこの子の死んだ後に死ぬ」

 初めての契約があまりに嬉しくてね,気持ちが高ぶったのでしょうね。

「坊や良かったね」

 そう言い終わると私は病室から飛び出しましたよ。

 なにせ二百年の間,寄る辺もなく歩いて,初めて契約が取れたんですから。待望の成果を報告するために職場のある地の底へと急いで向かいました。


 


 それでこれは,後日,上役から聴いたのですが,私の帰った後,契約した男の子は目を覚ました女の子に得意そうに,こう云っていたらしいんです。

「あのね,ボクね。さっきね。小さいオジサンとケイヤクしたんだッ。ボクはゼッタイにマドカちゃんよりもさきに,死んだりしないからね。負けないぞッ」

 それを聞いた。マドカちゃんと呼ばれた女の子は,驚いて……

「わあ!タマキくんもケイヤクしたの?マドカもね,さっきね,アクマのオジサンとケイヤクしたんだよ。マドカのところに来たのは,太っちょのオジサンだったのよ。マドカもね。ゼッタイに,タマキくんよりさきには,死なないからねッ」


 競争だよ,とかなんとか声を揃えて,手の平を打ち合わせたんだ――そうですよ。

 それで二人は,何がおかしいやら知りませんが……しばらくクスクスと笑っていたらしいのですけれどね,いつしかお絵描きを始めて……話は,それきり終わったそうですよ。

 まったくいい気なものです。

 ああだんだんと,胸がドキドキしてきました――――嫌な記憶がよみがえってきましたよ。

 ここまで話せば後の話の流れもだいたいわかりますよね。まだわかってない?

 じゃあ,云いますよッ。


 


 私は地獄の入り口で止められました。中に入れては,もらえなかったのです。抗議はしましたよ。

「ええッ入れないって,何故ですか?言いつけられた通りに魂を貰い受ける契約を結んできたんですよ」

 私がそういうのを聞くと怒って……いましたねえ。いえ,私じゃありませんよ。私の上司ですよ。話,聞いていますか?

 上司が……私の契約した魂の回収予約日が予約機器から出てこないって云っているのです。

 え?ああ,もう二十一世紀ですからね,地獄だってイノベーションしています。業務機器は自動化しているのですよ。


――――話を,戻します。

 調べても,魂の回収予約機器は故障していません。

 それで詳しく私の地上での言動を調べたら……なんと!契約自体に不備がある,そう上司は云うのですよ。

 私が坊やと結んだ契約に欠陥があるというのです。

「どういうことですか?契約の相手は子供だって,かまわないでしょう。そう聞いていますよ」

 違いました。年齢の問題では,ないのです。

「問題は……魂が取れないこと?それはおかしいです。契約した子供は余命が一年もない病だと,ちゃんと調べはついているのですから」

 そうしたら寿命の長さなど問題ではないという。

「では不備とは,どういうことですか」

 上司の言葉を聞いて――――私は自分の長い耳を疑いましたね。

 契約時に私の云った文言では,男の子の死ぬ日が決められない,というのです。

「いやいや待ってくださいよ。決められますよ。坊やの魂の回収日は,おおよそ一年後のいつだかの日でしょう?目の前に寝ていたお友達の女の子が死んだ後,それから長くとも一年以内に坊やは死にますよ!」

 悪魔にとって一年やそこらの待ち時間は問題ありませんしね。

 ところがまたです。

――――え?

 耳にした上司の言葉に私の息は止まりましたよ。

「女の子は一年以内には死なない,のですか?」

 もう,それは心外でしたね。

「ええ?今,何ておっしゃいましたか。女の子は病では死なない。いえ私は調べたのですよ。女の子の余命は長めに見積もっても一年だという内容が書かれていましたよ。何を調べてないとおっしゃるのですか?」

 初めて上司にむかって一気にまくし立てましたね。ああ,何で私は……あんなに元気だったんだろう……

 でも上司の次の言葉を聞いて私は,勢いも意識も失いそうになりましたよ。

「女の子も悪魔と……別の悪魔と……契約していた……」

 身体が固まりましたあ。

「契約していたんですかッあの子供,な…………何てことだ。いや待ってください。これは事故です。私のせいじゃない。そんな業務連絡は私には,届いていませんから……」

 対象者については,担当した私が自分で調べるべきだと云われました。ピシャリと云われましたあ!

「だ,だとしてもです。女の子が別の悪魔に何を願っていたとしても,だから何ですか?それで何か問題ありますか。開き直りじゃありません。少しは私の身にもなって考えてくださいよ!」

 これはあくまで私の落ち度だと――――上司は取りつく島もありません。

「どこの宗教の悪魔だって私ら下の者が取り次げられる願いなんて,たかが知れていますよ!どこかの悪魔が女の子の病気を治していたとして,彼女が寿命を全うする場合でも百五十年もかからないでしょう?いや普通は八十年そこそこですよ。悪魔にとって八十年ぽっち待つことが,それほど失敗だとは…………」

 上司は顔をひきつらせて八十でも百五十でも,ないといいます。彼が云うには女の子の余命は……

「永久?」

 永久だといいます。

「そんな馬鹿な!下級の悪魔がそんな大それた願いを叶えられるはずがないですよ。永遠の寿命なんて!

 え?長さではない……彼女が願ったのは順序…………あああ,まッ待ってください!ああ,まさかまさか……失礼……少し目眩が……その願いは,まさか……目の前にいた男の子の後に死なせろということでは……ああああッやはり,何て願いを!」

 どちらも友達が先に死んでからじゃないと死なないなんてね。笑っちゃいますよ。

「願いが――――二人が同時に片方より後に死にたいと願ったなら,譲らないなら……どちらも後には死ねない。先には願いの内容から死ねない。つまりは,現状のままずっと生き続けるしかない。だから魂は私たちの手には入らない。永遠に!」

 驚いて思わず大声を上げて……気を失いました。

 もう九分九厘,この手にしていた魂は私の手元から消えてしまった。だからすっかりね……魂消たまげてしまったんです。

 その時の私の声ですよ。昨日地の底から,ウーとかガーとか,なんか不気味な悲鳴が聴こえたとかいう……

 巷で噂のあれは,私の悲鳴。それがアナタが尋ねていた怪音の真相なのですよ。


…………おや何の反応もない。驚かせすぎましたか?

ん,なんだ。寝息ですか。

 これは失礼。話が長過ぎましたか。いつの間にか寝てしまっていたんですね。

 さてしかし,これは困った。

 この寒空に道の上で寝てしまっては風邪でもひいてしまう。いや肺炎にでもなったら気の毒だ。

 それに犯罪に巻き込まれたら,さらに大変だ。意味なく人の命が失われてしまうなんて,もったいない。

 さてどうすれば。おやアレは,交番ですね。

「ああおまわりさん,ここに酔って寝てしまっている人がいます。保護していただけませんか?いいえ私はただの通りすがりで。ええ,まだ仕事が終わらなくて……すぐに職務に戻らないといけませんから」


 そう……私の仕事は,まだまだ終わらないのです――――


 


 

《あとがき》

 

 悪魔とか良く知らないのですけど,あれって設定が少し変ですよね。

 悪魔って悪業の塊なのですよね。奴らには良い要素なんてまったく無いのでしょう?

 だったら……ほら,悪魔のいる場所――地獄でしたっけ。

 そこでの奴らは,過去から未来まで同胞が互いに血で血洗う殺しあいの日々とか送ってますよね。きっと。

 ヒャッハー!ですよね。

 なのに悪魔って実際は組織を作って,爵位とかまであるって云う設定じゃないですか。

 秩序を保って社会を守っているじゃないですか。

 えっ,て思いますよね。

 悪魔の設定は,少し変ですよね。 

 

 あと,魂の取り方。

 悪なら,人間からいきなり盗むか,力ずくで奪うか,ですよね。きっと。

 ヒャッハー!ですよね。

 なのに悪魔が魂を取る時は……

 契約をして,贈与時期まで待つじゃないですか。

 契約って法律行為の一種だし,魂の受け取りって死後行為のうちの死因贈与に該当しますよね?

 節制して法を守っているじゃないですか。

 えっ,て思いますよね。

 悪魔の設定は,少し変ですよね。

 

 それで,聞いた話なのですけれど。

 悪魔って,この世の終わりに神様と争って負ける予定なのだとか。

 なんでしょうか,その予定。

 もう負けが決まっているのに,悪魔って地道に神様に抵抗して悪事を繰り返していますよね。

 えっ,て思いますよね。

 種族まるごと野球の敗戦処理投手みたいな役割ですかね?

 種族まるごと敗北主義ですか?

 というか神に負かされることを待ちながら……より怒られる罪を重ね続けるなんて……

 種族まるごと,お仕置きが欲しいマゾですよね。

 しかもお預け期間が数千年という。常軌を逸したマゾですよね。

 悪魔の設定って,少し変です。

                  木山喬鳥

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