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  西方派遣軍 作者:栗林
ちょっと内容変えました。
第九話,零式艦上戦闘機
開戦しそう……というよりもアルビオンは今にも開戦しようとしていた。
ウェールズ亡命の翌日、つまり数日前の神聖アルビオン共和国のニューカッスルにて………

「逃してしまったようです」

「う~ん、あの男はどこへ?」

「おそらくトリステインです、あそこのお姫様とは昔からの知り合いだと言う情報があります」

「………ならば、トリステインへの侵攻を急ごう」

「我々は陸軍、空軍、あらゆる面においてトリステインを上回っています……あの国が急激に軍拡するなんてことはありえません…今なら…」

それから数日後、同じく秋津州軍は作戦成功の鍵を握るトリステインを助けるべく対アルビオン戦に参加する事になった。
そして今、兵士達は準備を重ねていた。

この時、秋津州の都合により唯一の航空部隊隊員として西方派遣軍に加わっていた清隆はトリステイン魔法学院に数名の将校、技術者と共に来ていた。
数日前にラ・ロシェールにてある噂を聞いたためであった。

「ここがトリステイン魔法学院…ですか」

「そのようですな」
清隆がそう言うと技術者の1人はそういった。
この男こそ秋津州で始めて航空機を飛ばし現在も航空機・エンジンメーカーの社長、石動治朗いするぎじろうである。

81歳と高齢ではあるが元気そうな老人であった。
しばらく待つと門が開けられた。

「なんだ?あいつら?」

「どこの軍人?」

「メイジ…だよね?まさか平民じゃないわよね?」

彼らが歩いていると学院の生徒達の会話が耳に入ってきた。
「どうやら我々あまりいい目では見られていないようですね」

その様子を見た清隆はそう言った。
確かに話の内容からして、彼らはあまり歓迎されていないようである。
彼らが探しているのはある少女である、その少女は学院の生徒ではなく平民であるがここで働いているという、なおもちろん許可を得ての訪問である。

「あれじゃないですか?」

「ん?」

学院のとある場所へいくと少年と少女が話をしていた。
「ん?げっ!!」

「あっ」

どうやら気がついた見たいである。
その後に少年のほう、つまり才人が近づいてきた。
「あの…聞いてたんですか?」

「さっぱり聞いていなかったけど…」

その後、話を聞く限り、才人もあれの事を聞いていたようだ。
その名も『竜の羽衣』、60年以上も前に飛んできたものらしい。

「石動さん、やはりそれって……」

「もしかすると…ですな?」

「なにか…知っているんですか?」

するとその少女、シエスタが清隆達に質問してきた。
石動は答えた。
「失礼ですが、タルブという所に案内してくれませんか?」

「えっ?いいですけど、明日から休暇で故郷に帰る予定でしたので」

「感謝します」

軍人ではない石動までもが海軍式の敬礼を行った。
清隆も数名の将校も皆海軍の人間であり石動も元々海軍の将校だったからだ。
彼らが去った後、才人はこう呟いた。

「あいつら…本当に日本人じゃないのか?」

「私にはわからないです…」

「サ~イ~ト……」

「うげっ!!る、ルイズ!」

「貴方は私の使い魔…使い魔はご主人様の側にいる義務はあるわ…また、またご主人様から離れて女の子といちゃいちゃしていたわね」

「ええっ!?いや、その、これはちょっと・・・あれだ!うん…あの…ひえええ落ち着いてください!!」

お決まりのお仕置きが行われた。
その翌日…、清隆はシエストの案内のもと、石動ら秋津州人数名と才人、ルイズ、そしてコルベールのメンバーでシエスタの故郷、タルブ村へ向った。

「あの、なんで先生まで?」

「いやぁ頼まれたんだよ、この石動博士にね、それにこちらとしても興味があるからね」

そうコルベールは笑顔でいう、またルイズは例によって才人の監視である。
しばらくして、一行はタルブ村の某所にある神社らしき場所に到着した。

それは、ハルケギニア人が建てた建物ではないと一目でわかるほど和風であった。
そして清隆はある字を目撃する。
「海軍少尉…佐々木武雄、異界二眠ル…秋津州語ですな」

「う~ん」

「ええっ…これ俺の国の言葉じゃないですか!」

清隆らも才人もこの字には見覚えがあった、日本語、こちらの世界では秋津州語である。
さらにコルベールの手によって扉が開けられ、その中にある物を見て才人は絶句する、また清隆や石動も名前まではわからなかったがそれがなんなのかはわかった。

「こっこれは…」

才人は近づいて濃緑色の機体を触った。
「間違いねぇ…零戦だ」

「これが…竜の羽衣…」

「零戦?」
皆その姿には圧倒されていた、清隆や石動もそれがなんなのか、名前はわからないがなんなのかはわかっ
た。だが興味はあった、それに零戦という名前を聞き彼らは不思議に思う、なぜこの少年がこの航空機の名前をしっているのか。
「零戦?…とはなんですか?」
石動博士が才人に質問した。

「俺の国の戦闘機です…」
才人はこの零戦の用途やスペックなどを説明した、オタクとまではいかなくともそれなりに知識がある才人はこの航空機の性能を説明する事ができた。

なお見た目から五二型あたりだと思った才人は五二型のスペックを説明、またこう航空機の歴史も説明した。

…零戦とはかつて日本海軍が誇っていた零式艦上戦闘機、通称零戦である。
開戦時こそ無敵の強さを誇るも戦争後半は熟練パイロットが減り敵国の航空機の性能も格段に上がり当時の日本の事情も重なり、敗北していった。
「なるほど、本来は空母用だったのですか」

「我が軍で開発中のものでしたな、確か」
現在秋津州では空母らしきものを建造中である、しかしここまで極めるにはいくら秋津州がハルケギニアでもトップクセスの技術を持っていたとしても相当の時間を必要とするだろう。

さらに石動や清隆らは才人の世界の事を聞き、いろいろと驚いた。
その後改めて零戦を見て彼らはこう感じた。

「しかし…ぶっとい機銃ですな」

「う~ん…」

石動は目を凝らして機体の細部を見ていた。
「…固定化の魔法がかけられているみたいですな」

コルベールも機体に触れて調査をする。
零戦には固定化の魔法がかけられている為、その姿はかなり綺麗なものであった。
その後のコルベールの仮説によれば2機現れたうちの1機らしく、その2機は日食から現れ、1機は日食に消え、日食が終わると1機は帰れなくなった…という。

そしてコルベールは才人に元の世界に帰れるかもしれないと言う、才人は驚きルイズもそれに反応した。
この零戦は学院に持っていく事になった、そしてコルベールは帰った瞬間からガソリンというものの研究にとりかかった。

一方、トリスタニアにある王城では海軍の南郷長官と陸軍の盛谷中将がアンリエッタ、ウェールズ、マザリーニ枢機卿らと共に会議を行っていた。
「たった今入った情報によりますとアルビオンは我が国に対して1ヵ月以内に戦争をしかけるようです」

「いよいよ…ですな」

「………」
アンリエッタ以外はいまいち乗り気ではなかった、秋津州軍の実力を知らないからだ。
平民軍隊でしかも知らない国の軍隊である、信用できない上に実力も不明である、ただアンリエッタは信じていた、彼らはきっと強く、そして最後まで味方でいてくれると。

南郷達は王室が持っているハルケギニアの地図を見せら、説明を受けた。
「やはり伝説どおり…というわけですな」

盛谷がそう呟く。秋津州にもアルビオンという所がありそこは浮遊大陸であるという伝説がある、それが本当だという事を知ったのだ。
「ここがロサイス軍港、ここがニューカッスル城、ここが王都ロンディニウムん…」

南郷は呟きながら地図を見ていた。
「一応トリステインは艦隊の増強を行っていますが……それでどうにか…」

アンリエッタは不安そうであった。
「問題はやはり制空権…です。我々は陸戦や海戦ならそこそこの強さをお見せできるでしょう、しかし航空兵力があまりにも貧弱すぎます」

それはトリステイン、秋津州両軍共通の難点であった。
両方ともに空軍力はアルビオンに比べて圧倒的に劣っているのである。
空軍力さえなんとかなれば、勝算はあるのだが………と西方派遣軍側は悩み逆にトリステインの人やアルビオンから亡命してきた者達は秋津州軍が本当に強いのか、本当は途中で裏切るのではと疑っていた。

両方が本格的に協調するのはまだ少し先のようである。

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