第六九話,史上最大の上陸作戦 2
大量の兵員を輸送するのは熊野丸を始めとする輸送隊、これに加えて秋津州海軍商船隊、ロマノフ帝国籍の小説、特殊改装を受けたトリステイン及びアルビオンの航空艦船、さらに漁船までもが動員された。
その為艦隊の速度は低速でああった。
特に航空艦船はどんなに高速化改装を行ったとしても15ノットが限界である。しかも航続力の短い漁船がさらに足を引っ張る、先が思いやられる航海であったものの地球のように数多くの潜水艦が水中に潜んでいたり、どこかの艦載機が飛んできて爆弾を落としたりという事のないハルケギニアなので航海は順調に進んだ。
やがてノルマンディー沖200kmに差し掛かると駆逐艦4隻が一時艦隊から離れた。その理由は潜望鏡を確認したからである。丁度艦隊を潜水艦「ゴレット」が発見、雷撃を行うとしていた時であった。
「…な、なんだ!?」
ゴレットの中にも轟音が響く。
「まずいぞ!敵の駆逐艦に発見されたんじゃないか!?」
「くそ!!深度100!!」
ゴレットはさらに深く潜ろうとした、その瞬間、爆雷が2発も直撃した。
水柱を確認し、しばらくすると残骸が海面に浮いてきたのを確認した西方派遣軍水雷戦隊の乗組員は甲板に集まり、敬礼をした。
「敬礼!!」
「今までよく戦った……安らかに眠ってくれ」
水雷戦隊はその後、再び艦隊に戻り、引き続き輸送船団の護衛にあたった。
一方旗艦「三笠」にはルイズ達各国の王族格が乗っており、乗組員たちは御もてなしをしていた。
「女王陛下、これは長官が女王陛下に…」
「あら、あんまり高そうじゃないけどいいわねこれ。ありがとう」
「は、はぁ…」
水兵達は思った。ルイズを含むハルケギニアの高貴な方々の価値観って一体どうなっているんだろうと。
そんな感じで艦隊はノルマンディーに近づき、いよいよ最初の攻撃が開始される事となった。ノルマンディーを守る事になったのはブジェレン大佐だ。ガリア軍はここ最近になって「敵軍はノルマンディーに上陸してくる可能性大」と睨み、ノルマンディーの兵力を増強する方針を打ち出した。
…っとはいうものの、1200人が3625人に増えただけであり、上陸してくる連合軍の総数よりも遥かに小規模な部隊でしかなかった。おまけにアメリカ軍部隊以外は旧来同様の装備であり、練度も各地からの寄せ集め部隊であり、御世辞にも強い部隊とは言い難かった。
***その頃、ノルマンディー米軍司令部***
「ゴレットから通信が途絶えました」
「まさか沈められたのか?」
「可能性大です。おそらく敵駆逐艦に…」
「ふん!潜水艦なんて胡散臭いと思ったらやっぱり弱いんじゃない」
「なにぃ!!」
アメリカ人達を怒らせたのはシェフィールドであった。
「ま、精々頑張って連合軍を撃ち返しなさいよ」
「わかりました」
しかし彼らはシェフィールドが去ると態度が一変した。
1人が机を蹴って叫んだのである。
「くそっ!!ガリア人どもめ!!」
「…よし、お前ら聞け。これを機会に我々は連合軍に寝返るとしようか」
「しかし!!」
「…彼らなら、我々を受け入れてくれるかもしれない。このままガリアにいたところで、殺されるのは目に見えているだろう?」
「……」
アメリカ軍にやる気などはなかった。
既に彼らはガリア人に利用されている事をわかっていたからである。
***翌日早朝***
「総飛行機発動!」
朝焼けの中、整備兵と搭乗員による機体の最終チェックが行われていた。
第1次攻撃隊は西方派遣軍の航空母艦艦載機が主体である。
「隊長殿!発艦準備完了しました!」
「よしっ!!」
「若林少佐!」
「どうした!?」
「これを!整備兵たちが作ったものです。これを御供させてやってください」
整備兵から渡されたものは日の丸の鉢巻であった。
若林は笑顔でそれを巻き、敬礼をした。整備兵も答礼する。
「発艦始め!発艦始め!」
まず零戦隊が発艦を始める。
西方派遣軍では発艦の順序を戦闘機、爆撃機、雷撃機としていた。ただし雷撃機は今のところ存在しないので最後に発艦する事になるのは爆撃機である。ただしゲルマニアで整備されている艦隊の報告もあり、西方派遣軍では密かに雷撃機の開発、生産とそれを搭載できる商船改造空母の建造を行っていた。
建造はロマノフの造船所で行われている。
その空母はロマノフの大型客船「ルーシー号」を改装するものであり、スペックとしては飛鷹型とほぼ同じである。問題は1187人の乗員が必要である事だがその点については心配はない、秋津洲帝国から新たに数百人が派遣される事になっており、またトリステインでも船員の育成が順調だからであった。
現在この商船改装空母は「妙義」と命名された。秋津洲帝国の山の名前か由来である。
艦戦12機、艦爆18機、艦攻18機を常用とし、残り10機は補用機として運用される、雷撃機は四二式艦上攻撃機となる予定である。これは九七式艦上攻撃機のコピー生産機である。
既に才人の手によって初飛行が行われ、良好な性能を示していた為既に「妙義」の就役に間に合うように生産が開始されている。
発艦した第一次攻撃隊(指揮官若林少佐、総数30機)が出撃した。
さらに続いて第二次攻撃隊の発艦準備も開始された。一方陸上基地からは才人や清隆らは四二式陸上攻撃機を護衛、さらに陸軍航空隊と会合してノルマンディーへ燕のように飛んでいった。
***ガリア、ノルマンディー***
「…おっ?米軍の新しい航空機か?」
かなりの数の航空機が彼らの頭上を飛んでいた。
しかしその航空機には星ではなく、日の丸が描かれている事をガリア兵は見抜く事ができなかった。
「奴ら驚いてるぜ」
「よし!行くぞ!!目標は米軍の電探所と飛行場、航空機だ!」
「「「了解!」」」
「…食らえ!」
零戦は米軍飛行場に対して機銃掃射を行った。
P-36、P-38、P-40、P-47、P-51といった戦闘機やA-20ハヴォックなどの攻撃機が次々と破壊されていった。
「攻撃機まであるぞ?」
「まあ戦略爆撃機のB-17がないだけでもありがたいぜ。あれがあったら今頃トリスタニアは瓦礫の山だ」
さらに才人達陸上機部隊も到着、なんとか飛び上がる事ができた米戦闘機を相手に空中戦を行った。才人の相手はP-51である。非常に手強い相手であったが流石はガンダールヴと言わざるを得ない戦果を彼は挙げたのである。
「食らえっ!!」
特に20mm機銃は弾数が少ないものの威力は高く、米軍機を撃墜するのに大きな役割を担った。清隆と坂井も持ち前の腕で米軍機を相手に善戦、春奈も1機を撃墜する戦果を挙げた。
ものの数十分で米軍航空隊は壊滅、白旗をあげているのが確認され、西方派遣軍は攻撃を中止して別目標を攻撃した。
米軍機との空中戦は市街地上空でも繰り広げられ、ノルマンディーの一般市民も空中戦を観戦していた。
「ガリア軍がトリステイン軍に負けてるぞ!!」
「お~い!!なんでも漁師の俺の弟の情報によれば輸送船も含んだ大艦隊が沖合にいるらしい!」
「なんだって!?」
「上陸するのか!?」
「アルビオンに上陸して大暴れしたんだぞあいつらは!?」
「まずい!ガリアもアルビオンの二の舞だ!!」
「逃げろー!!」
その頃、ノルマンディーの要塞に、中攻隊が迫っていた。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。