第六話,大アフリカにて
その後、西方派遣軍艦隊はインドを出航、長い長い航海を再び始めた。
「ようそろ!!……」
「次の給油場所は?」
「大アフリカ帝国だ、アフリカ大陸の半分とインド洋の一部の島を領土としそこそこ文明を持つ。我が国とも国交があり実質我が国はこの国に助けられているようなものだ」
大アフリカ帝国…それはハルケギニアなどとは陸続きにあるアフリカ大陸の南にある国だ。
ここの皇帝と秋津州の天皇との関係は良好でまたこの世界では秋津州に並び比較的進んだ文明を持ち蒸気船の運用がすでに行われている、まあ流石に飛行機はないのだがそれでも人間の国としてはかなり強い部類だ。
帝国とは言いつつも憲法により皇帝の権限が制限されている近代的な国家だ。
ハルケギニアが後れている為植民地にされる事もなく発展してきた。
友好関係とはいっても戦火に巻き込まれたくないので中立国としてやっているのだがそれでも給油等の補給は手伝ってくれる。
ある意味いい仲間である、ただしこの国は中立国なので戦争には参加してくれないのだ。
「そういえばアフリカに連絡は?」
「もう届いているはずです」
参謀長の言葉どおり、すでに大アフリカの港に補給の為秋津州艦隊が来航する事は知らされていた。
大アフリカは大歓迎するとの事だ。
「……そうか、ではそこまでは特になにもない航海だな」
「ええ、エルフが襲ってこなければ安全かつ楽しい航海でしょうな」
まさに、その通り楽しい航海であった。
大アフリカ帝国領マダガスカル島にある軍港に彼らは寄港した。
「お、秋津州の皆さんが来ましたぞ」
「よ~し!演奏始め!!」
大アフリカ帝国は有力な海軍を持っている、同じ海軍国である秋津州とはよく演習を行っている、また国単位でいうと秋津州にとって大アフリカは最大の貿易相手である。
大アフリカ海軍の軍楽隊は誰が教えたのか軍艦行進曲で秋津州艦艇を迎えた。
最初にマダガスカル島に降り立ったのは南郷長官である。
「秋津州海軍連合艦隊司令長官南郷です」
「お久しぶりです、南郷長官」
「おお、なんだカレマ提督じゃないですか」
お互いに知り合いであった、カレマは第1艦隊の司令官である。
最近第1艦隊はここマダガスカル島所属になったらしく、奇遇にも両提督は再会を果たしたのである。
マダガスカルにて、長き航海で疲れを見せた人々は久々にくつろぎ、中には現地の女の子を口説く者さえおった。
一方清隆も持ってきた複葉機を組み立てマダガスカルで曲芸飛行を見せつけた、立派な滑走路こそないマダガスカル島だが一応の平地はあり飛行機の離着陸ができた。
カレマ提督もその姿に心を奪われていた。
「すばらしい……恐らく秋津州の技術はこの世界で1番だろう」
「そうでもないですよ、エルフのほうが強いです」
「いや、でも総合的な技術はこちらのほうが上…だと私は思うよ」
「そうでありますか」
やがて清隆は飛行機を着陸させ、その飛行機へは整備兵達が走ってきた。
「茂原少尉!お疲れ様でした!」
「ああ、やっぱり俺は飛行機に乗る事ぐらいしか脳がないな」
「カレマ提督はほめてましたよ、世界一だった」
「そうか」
そう言うと彼は整備兵から水を貰い豪快にそれを飲んだ。
ここで紹介しよう、彼が乗っているの戦闘機は『八七式戦闘機』、秋津暦2587年に採用されたことからこの名前がついた。
複葉固定脚で最高速度は189km/h、乗員1名、武装7.7mm機銃×2、航続距離450km、実用上昇限度6350m、至って平凡な第一次世界大戦時レベルの戦闘機だが驚きなのはこれが艦載機なのである、最もまだ空母たるものは竣工すらしておらずもっぱり陸上機として運用されているのだが。
低速ではあるがそれでも最高速度100km/h前後の火竜から見れば恐ろしく速い、風竜なら追いつけるがなんせ風竜は搭乗員の実力がなければ火竜のような実力はたぜないのである。
この戦闘機のほかにも陸軍では前年より八六式戦闘機を配備、当初エルフ軍を苦しませ一時的に制空権を回復させたがエルフもこの数ヵ月後に複葉戦闘機を配備しはじめると状況は一変、人間が操るほうが不利になってしまったのだ。
そこがエルフと人間の差であった。
(航空機…確かに人間が発明した中でもすばらしいものだろうな…陸軍じゃ大陸戦線で戦果をあげている。だが陸軍にはいったあいつはエルフに撃墜され戦死した、世界一かもしれないが世界最強ではないだろうな…)
彼は飛行機の中でそう思いつつ水を飲んでいた。
「しかし、あともうすこしでハルケギニアですね」
「おいおい、もうすこしって。ハルケギニアはまだ遠くじゃないか?」
「はっはっは、確かにそうですが」
「「「はっはっは」」」
ハルケギニアにはなにがあるのか正確に知るものはいない。
期待と不安、両方が秋津州軍を襲う、それでも………
「帽振れー!!!」
秋津州は対エルフ戦の勝利、もしくは有利な条件での講和を目指し、最後の賭けとしてハルケギニアへ向った。
「………」
その旅は、まだ続く……っというより果てしなく長い。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。