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  西方派遣軍 作者:栗林
第五九話,JO作戦 前編
JO作戦発動日……大西洋に艦隊が走っていた。

その内訳は戦艦2隻、巡洋艦2隻、駆逐艦5隻、揚陸艦(航空母艦)1隻、輸送艦2隻、補給艦2隻である。これらは「C号作戦」を遂行する為に投入された艦艇である。

途中、秋津州帝国の連絡船とすれ違い、お互いモールスで連絡しあった。

「我、敵地ヲ攻撃ス」

ガリアにモールスがわかる者などこっちの世界に飛ばされてきた米兵以外いないだろうと西方派遣軍は考えているうえに、ここには米軍はいないと思っていた西方派遣軍はなにも考えずにモールスを送る。ところが米部隊は海軍も持っていたのであった。

「我、敵地を攻撃する…か……」

潜望鏡で男は西方派遣軍の発光信号を見ていた。

「艦長、報告しましょう」

「ああ…本当なら雷撃したほうがいいんだろうが……畜生こんな事になるんだったら日本の商船に魚雷を大量にぶち込まなければよかったぜ」

「艦長!砲弾ならあります!」

「いや待て……帰投する。砲弾ったって残り数発だろ?あたると思うか?」

「……」

「我々の任務は索敵だ。無駄な事はせず、帰投するぞ」

「了解!」

「艦長!打電しました!」

「よし」

***米航空部隊司令部***

「ゴレットより入電!ノルマンディー西方100km付近に敵艦隊発見!空母1、戦艦2、巡洋艦2、駆逐艦5、輸送艦4!」

熊野丸を空母と、補給艦2隻を輸送艦と見間違ったようであるが数に間違いはない。潜水艦「ゴレット」はガリア側に重要な情報を提供する事に成功した。同時に紹介中であったガリア軍の竜騎士3騎も西方派遣軍の艦隊を発見した。

「……おい、見ろ!」

彼らの目に、雲間から艦影が映った。

「…敵だ!」

「いや、わからんぞ!…なんでもガリアも鉄の船を持っているって噂だからな……もっと接近して確認せねば」

「おい、危険だぞ?」

「いや、やるんだ!大丈夫だ、撃ってはこないだろ多分」

3騎は高度を下げ、西方派遣軍の艦隊に接近した。
もちろん、西方派遣軍も彼らの存在に気が付いていた。

「左舷15度機影!!おそらく敵の竜騎士です!!」

「対空戦闘用意!!!」

艦内に対空戦闘ラッパが鳴り響き、水兵たちは艦内を走り回り、配置につく。

「来たか!敵めぇ!!撃ち落としてくれる!!!」

「仰角!方位角修正完了!照準よし!!」

「距離2000!!!」

「撃ちー方始め!!!」

「撃ちー方始め!!!」

「用意!……」

「射っ!!」

1隻、また1隻、高角砲などを撃つ。
なかなか当たらないもののガリア兵は恐怖を味わっていた。

「ううう…撃ってきたぁぁぁ!!!!!」

「なんでこんなに離れているのに!!!」

「は、早く離脱するぞ!索敵はできたんだ!!」

結局西方派遣軍は竜騎士を逃してしまうが恐怖をあたえた事には変わらない。次に出撃する時、彼らは出撃を拒むかもしれない。それほど彼らにとっては恐ろしい事であろう。

「くっそぉ…逃したかぁ」

「次に会った時にゃ全部落としたる!!!」

それからしばらく、サン・マロン軍港にて……

「報告!ノルマンディーより約数百キロにて西方派遣軍艦艇を発見!先頭には「ミカサ」を見とむ!!」

「そうか…御苦労……だが「ゴレット」から同じ情報を聞いたぞ。それもより正確な情報をな」

「なっ!?」

「遅かったかぁ……」

しかし複数から似たような情報が寄せられたのは確かである。これによって西方派遣軍の狙いはノルマンディーかサン・マロンである事が確定した。シェフィールドもジョゼットの救出作戦を遂行すべく、別な作戦をもう一つやるだろうと睨んでいた。

悪く言えば西方派遣軍はガリアの罠に嵌ったのかもしれない。

その頃、嘉山少佐は基地で出撃の前にある曲を聞いていた。それは秋津州人とトリステイン人の合作である「西方行進曲」である。何故に聞いているかというとラジオで流されているからであった。

もっともルイズ達はあまり好んでないようであった。その理由はプロパガンダ色の強い曲だからである。この曲を知ったガリアは「トリステインは侵略国家」と世に言いふらしたが今度はトリステイン側がガリアの残虐性や侵略国家である事を見せつけるべく、ラジオや国策グラフ誌、写真などあらゆる手段を使った。

ガリアも国民にトリステインとその同盟国の悪いイメージを植え付けるべくビラ撒きや貨幣、集会やイベントなど同様にあらゆる手段を使った。
このようにプロパガンダはハルケギニアにおいても広がりつつあり、双方ともあらゆる手法を利用した。

プロパガンダでは西方派遣軍がいるトリステインが一番であるがそれに並ぶほど、プロパガンダが得意な国があった。ゲルマニアである。ゲルマニアのアルビレト皇帝の側近にハインリヒ・フォン・ゲッベルスというあの男にそっくりな男がいた。その男はまた天才であり、ガリアからも祝電が届くほどであった。

嘉山少佐は元帝国軍人、こんな感じのプロパガンダは腐るほど見たり聞いたりしている。なので慣れっこであったが好感は持てなかった。

「隊長…」

「東機関とかその辺とトリステイン政府の一部がやっているんだろ。まあ戦時中だし、国民を騙すという事も重要な事の一つではある」

ただの軍人である嘉山に文句をいう権利はない。

ガチャッ

「隊長!!出撃命令が出ました」

「そうか!!よし…」

嘉山少佐は飛行服に着替え、愛機へと走っていった。
その頃、海軍航空隊も出撃しようとしていた。海軍航空隊はオレロン基地からの出撃となっており、ソンムにて陸軍航空隊と会合予定であった。今回の作戦には新鋭機「四二式陸上攻撃機」も5機投入予定である。

佐藤技師が九六式陸上攻撃機二一型を参考に開発した中攻であり、スペックとしては発動機の出力不足により、加速力や最高速度、上昇限度は一一型と同程度がそれより上という程度になっているものの、その他のスペックはほぼ同じで航続距離も長い。

万が一近代艦艇が現れた事を想定し、雷撃も想定されており800kg魚雷1本が搭載可能であった。爆弾は60kg爆弾が12発、250kg爆弾2発、500kg又は800kg爆弾は1発となっている。今回は爆撃が任務である為、60kg爆弾12発が爆弾倉内に収容されている。

すべて投下すれば全機合わせ、3.6tにもなり、これが成功すればハルケギニア初の戦略爆撃である。

「帽振れー!!!」

中攻隊が出撃すると、後を追うように清隆達が出撃していった。海軍航空隊の出撃シーンは行幸中であったルイズも目撃していた。

(才人…)

彼女はすごいとは思ったがなにより才人が心配であった。
そんな彼女のとなりで兵士たちがなにやら話をしていた。

「大丈夫でしょうかね?」

「なぁに!16機の零式戦も護衛についているんだ!中攻だって武装は強力だ。竜騎士相手なら心配はないだろ!」

「おいおい、女王陛下の目の前だぞ?少しは慎め」

「すみませんでした」

その後、オレロン島を出撃した21機は飛行第1戦隊の隼12機、飛行第3戦隊の隼6機と輸送機3機はソンムにて予定通り会合、ノルマンディーめがけて編隊を組み、ハルケギニアの大空を飛ぶ。
輸送機はJu52で実際のヨーロッパならば往復するのに航続距離が足りない気もするが、ハルケギニアの場合トリステインとノルマンディー地方が近い為、なんとか航続距離内であった。

だからこそこの作戦は決行されたのであった。


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