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第25話:帰宅
「ただいま〜」

私は恐る恐る玄関の扉を開け、隙間から中を覗いた、誰もいなかった。

「みんな寝たのか?、そうだよな、もう10時だもんな…」

私は靴を脱ぎ、リビングに続く廊下を歩いていきユイナの部屋の前を通った、その瞬間ユイナの部屋の扉が勢いよく開き、ユイナが現れた、ユイナは前髪以外の髪の毛が、寝癖か?、と思うくらい逆立っていた。

「シャーーーーー!!!!」

ユイナは怒った猫の鳴き声を発した、何を言っているのかわからないが、多分、こんな遅くまでどこ行ってたのよ!、と言っていると思う。

「山だよ、山」

私は適当に返答した、するとユイナも再び叫んだ。

「フシャーーーーー!!」

やはり何を言っているのかわからないが多分、山に何しに行ってたのよ!、と言っているようだ。

「ん〜、コレを取りに行ったのさ」

私はユイナの部屋にマタタビを投げ込んだ、すると彼女は途端に目の色を変えいち早くそれに飛びつき、戯れ始めた。

「…何とかごまかせたようだ…」

私は逃げるようにリビングに入った。

「ふ〜」

私は片手でネクタイを外し、テーブルの上に置いた。

「水でも飲むか…」

私はコップを手にとり、蛇口の開栓レバーを動かした、が水は一滴も出なかった。

「あれ?」

何度か繰り返したが結果は同じだった、よく見ると蛇口の横に張り紙がしてありこう書かれていた。

本日、午後10時より水道管工事のため断水いたします、ご了承をお願いします。

時計を見ると、10時1分だった。

「…」

諦めた私は冷蔵庫の中を探したが、飲み物は何も無かった。

「ついてないな…」

仕方なく椅子に座ると、不意に睡魔に襲われた。

「あ…ねむ…」

私の記憶はそこで途切れた。

2時間後私は突然目覚めた。

「…あれ?、まだ12時だぞ?…」

私はとりあえず、ベッドで寝ようと椅子から立ち上がり、階段がある廊下に出ようと、ドアノブに手をかけた。

「あれ?」

何度やってもドアノブが開かない。

「こんばんは」

今の言葉は私が言ったのではなく私の後ろから聞こえた声だ、私は声のする方に振り返った。

「あ、…お前は…」

そこには前の黒猫がテーブルの上にいた。

「また会えましたね」

私は椅子に座りながら答えた。

「ああ…ところで何のようだ?」

「あの子の生まれた所に行ってみたようね、何か見つかったかしら?」

「いや、何も…しかしそれを聞きにここに来たんじゃ無いだろう?」

黒猫は図星だったようだが冷静なままだった。

「まぁ、そうね、実はあることを思い出したから伝えに来たの」

「あること?」

「ええ、あの子が造られた研究所の所長の名字を思い出したの」

「ほう、で、何て、名字なんだ?」

「え〜と、確か」

黒猫は器用にも腕を組みしばらく考えた。

「あっ、そうそう、確か新田って名字だった」

「新田か…」

私が1人呟いていると、黒猫が話しかけてきた。

「ところで飲み物持ってきたけど飲まない?」

「おお!気が利くな」

このさい、死んでるのにどうやって物を持ってきたか何て細かい事は気にしない事にしよう。

「はい、どうぞ」

黒猫が取り出したのは紛れもなくビールだった。

「お酒は飲めないんだけど…」

「えっ!まだ未成年だったの!」

「いや、もう21ですけど、無理なんですよ」

「そうですか…」

黒猫はガッカリした様子でビールをどこかにしまった。

「では、私は帰ります…あの子をよろしくお願いします」

黒猫は光の粒子となって空中に消えた。

「…早く寝よ…」

私は月明かりに照らされながら静かに二階に上がっていった。



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