プロローグ 真っ暗な闇の中での出会い
それはそれは突然の出来事だった。私、夢原佐奈はそんな事知らず暗い道を歩いていた。
「もうっ!こんな時間じゃない!今日はパンタタンパが一時間スペシャルなのにいい!!」
私はそんな事言いながら明かりがボウッと付いている蛍光灯がある電信柱にペタンともたれかかった。
あ、私は夢原佐奈。茶色い髪の毛でショートカットのどこにでもいる普通の女の子。
なんでこんな事言っているかって?今日は学校で居残り、つまり補習をやっていた。結構私は成績が悪い。だから父さんが私がおバカさんにならないように毎日補習をさせている。将来、優等生と比べてありんこにならないようにするためだ。
「あ〜あっ。しんど。もうヤダ!」
と横を向いた。すると、二つの光がこっちを向いている。私はぎょっとした、逃げ出そうとしたけど足が動かない。もうダメだやられる!私は目をぎゅっとつむった。しかし次の瞬間青年の声がした。
「こんな暗いのにどうしました、お嬢さん?」
えっ?と思い前を向き目を開けた。すると少し年上っぽい黒色のショートカットの男の子が私の前で手を差し出している。
「え。」
「お嬢さん、名前は?」
「ゆ、夢原佐奈・・・。」
私はきょとんとした表情で彼を見上げた。彼はにこっと笑顔をみせると私の手を取った。
「家はどこですか?良かったら送りますよ。」
変な子、不気味なほど敬語だった。しかし、なんで私の名前を聞いた時にこっと笑ったのだろう。聞きたい事が山ほどあるのに私は何も言えなかった。彼は私の手を握ると、思い切りジャンプした。3センチほどだが、幽霊みたいにふわふわ浮いている。
「!?」
驚く私を無視するように彼はこう言った。
「いち、にっ、さん!」
その時鳥のようにそのまま舞い上がった。私はなぜに驚かなかった。むしろ感激していた。彼は一体何なのかという事まで忘れて感激していた。
まばたきしている間に明るい街に帰ってきた。パン屋さんや八百屋さんをぎゅんぎゅんと前を通りすぎている。なぜに私と不思議な彼を見る人は誰もいなかった。
もうそんな事考えているうちに私が住んでいるマンションの前、いやもう住んでいる家の前に来てしまった。彼は私をさっと降ろすと、私は彼にお礼を言った。
「あ、ありがとう・・・。」
彼はさっきの笑顔を見せると、最初のように浮いてこう言った。
「またきっと会えるよ。君が信じればね。」
彼は高く舞い上がるとツバメのように急降下してどこかへ飛んで行った―――――。
「うわっ!?」
私はベットの上にいた。パジャマも着ている。夢だったのだろうか、寝ぼけていたのか最初は迷った。でも、キャンディつめ放題のようなまだやっていない宿題のプリントを見て私は気づいた。
――――――あれは、夢ではなく現実だった。
「佐奈ーっ!早く用意をしなさい!これ以上バカになったらどうするのーっ」
「はいはい・・・。」
私の頭の中には、昨日の事しか頭になかった。大好きな「魔女ん子エリナ☆」というアニメも集中して見れなかったし、今日の朝ごはんも無意識で食べた。登校するのも、校長先生の話も授業も給食も何もかも昨日の事しか考えてなかった。おかげでプリントが10枚も追加されたのである。やれやれという気持ちも今日はなかった。
・・・・・それで事件は起きた。
夕方の誰もいない通学路をプリントがパンパンに入ったランドセルをぼーっとしながら背負って歩いていた。黒猫がミーミー鳴いているのも気づかなかった。ただ、ぼーっと歩いていた。
とそこで黒猫がもう一匹ミーミー鳴いて来た。でまたもう一匹、一匹、一匹・・・。
はっと、私はそこで気づいた。足で追い払おうとしたが、もう手遅れだ。
『ミーミーミーミー』
「もうっ!なんなのこれぇぇぇぇぇ!!」
私は床にしゃがみ、叫んだ。
顔を見上げると、大きな影がのそのそとやってきた。私は一瞬昨日の彼だと思った。だが、違った。大きな黒猫がだんだん姿を現した。
「ね、猫!?」
驚いた口調で私は言った。猫はどんどん近づいてくる。
ついに私の前まで来た。助けを呼ぼうとも遅かった。
もうダメだ、やられる――――。その時だった。
「あんたが、夢原佐奈?」
猫が喋った!?信じられない私は目をこすった。が猫はこっちをじっと見ている。
「はあ・・・。」
「よっしゃ!やっと見つけたぜ!夢原佐奈ぁぁぁぁぁ!」
猫はすごく喜んでいる。何だコイツ。バカ?
「なんで、私が?」
私は猫に聞いた。しかし猫はこう言った。
「事情は後で話す。俺を家に住ましてくれ!」
「はあ!?」
驚くのも当たり前だ。こんなでかい、しかも喋る猫を持って帰ったら怒られる。第一、私以外の家族は皆動物嫌いだ。
「大丈夫。俺、人間になれるから、な?」
と言って、猫の体は小学5年生ぐらいの、つまり私ぐらいの男の子に変化した。髪の毛は灰色で後ろの髪が少し長いのか後ろをちょっとくくっている。
人間の姿なら大丈夫だ。問題は理由だ。またそれは後で考えておこう。
「俺はレーグ・ブラック・キャッツ。レーグって読んでくれ。」
こうして私とレーグは出会った。
事件が起こるのも知らずに・・・・・。
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