crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。(7/39)PDFで表示縦書き表示RDF


 言った傍から更新です。
 親が言うまで更新しますが、その内止まると思われます。
 あ、後、小説巡りは続けますよ。コメントの返信も何とかします。
 携帯電話という便利なものがあるのでね
crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。
作:摩璃藻



クレアの手料理とエリカの強さをあらためて


「最西端って……」
「どうしましょう?」
 四人と一匹は話し合っていた。
 この世界には、大陸が沢山と海もいくつか。
 球状で、ここが一番西だとかいう区切りもない。
 地図は無く、世界一周に成功したという例もない。しかし球状なのが知られているのは、世界の反対側と交信出来るからである。
 そして世界一周が出来ない理由の一つは、モンスター。
 だが一番の理由は、国。
 旅人や冒険者の中には、国から命令されて出る者もいるのだ。
 何故なら、一周成功は、世界の夢。その者が旅立った国は、名誉を手に入れる。
 それには一番最初でないと意味が無い。
 だから、他の国の者に先を越されては困る。
 そんな共通の考えの所為で、未だ世界一周を成し遂げた者はいないのである。
「とにかく西へ進むか」
「そうだな」
 勿論こいつらにそんな考えはない。
「こっこっこ! ヴィルド、アンタ前回仲間として認めないとかなんとか言ってなかった?」
 コケコが羽をぱたぱたさせながら聞いた。
「……そんな事気にしてたら先に進めねえぞ?」
 ヴィルドがコケコから目を逸らして言った。
「そろそろテント立てよっか」
 クレアが言った。ちなみにエリカ作。
 あの力に不可能はないらしい。
 それでけではなく、食器類や調理道具、その他旅に必要な物のほとんどはエリカ作だ。
 後、各々の荷物は自分で持っている。
 クレアはトランク、セルスは大きいナップザック、ヴィルドはコート内に。
 ……この世界には【縮小魔法】という大変便利な魔法がありまして。
 重さは変わらないけど。
「もう? 少し早くないですか?」
「今日はシチューっていう料理作ってみるの」
 エリカの注文である。
「どんな料理なんですか?」
「白いトロトロのルーに、ルーからも具材からもほかほか湯気が上がる熱さで、ちょっとはふはふしながら食べると凄く美味しいんだって。じゃがいもと人参と鶏肉が、少し甘めのルーと絶妙にマッチするらしいよ」
(作者注:寒くてお腹が空いてる人のために書いてみました。胃が痛くなって下さい)
「お腹が空いてきますよ」
「楽しみにしててよ」
 まったくほのぼのとした会話である。何かカップルもしくは夫婦みたいだ。
「……」
「ギャッハッハ! 期待してるぞ!」
「料理上手いものね、クレア」
 ちょっと楽しみな表情のヴィルド、笑い声をあげるエリカ、ふわりと笑っている(様な雰囲気をだしている)コケコ。
 ……長男、親戚の叔父叔母ってところか。
「ギャーッハッハッハ! でもここは駄目だな!」
「え? どうして?」
「モンスターが走ってきてるから」
『え』
 エリカのまさかの発言。

『……ァ』

 よーく聞くと、聞こえる鳴き声。
『……ァァ』
 段々耳を澄まさなくても聞こえる様になってきた。
『……ルァァァァ』
 肉眼で確認。
『グルアアアアアアアア!』
 モンスターの形、種類もばっちり。

『先に言えええええ!?』
「言った」
 もっと早く逃げろよ。
 モンスターは、青い毛並みに狼の様な姿を持っている、【キャルダ】。
 走る速度は、人間では到底敵わない。
 気性が荒く、縄張りを荒らされると容赦無く襲いかかる。
 腹が減っていると人里に下りてきて、家畜住人構わず襲う。
 群れで行動し、一匹一匹の力も強いため、かなり危険だ。
 狙われた場合、大抵獲物は、短い長い関係なく生涯を終えます。

「食べないでー!」
「嫌ですー!」
「そんな事言ってる暇があるなら走れー!」
「説明見てると、無駄な気もするわね!」
 このままではコケコのみ逃げられる。
『コケコのみ!?』
 のみ。前回参照。
「ギャーッハッハッハ! オレはお前らを助けられるが、どうする!?」
「助けて下さい!」
「助けて!」
「誰が助けなんて請うかよ!」
「たっすうっけつ〜♪」
 エリカ、出動。

 キャルダの前に立ちはだかるエリカ。
 キャルダの数は八十程。
 キャルダは怪訝な表情をし、エリカの瞳はキラーンと光った。
「グルッ……ッ!?」
 一匹がエリカに飛びかかり、そして……輪切りになった。
「はい次♪」
 エリカが手を振った。
 キャルダ達が次々と切り刻まれてゆく。
 三十ぐらい減ったあたりで、キャルダの一部が足を止めた。
「グルゥ……」
「グルッルルルゥ……」

「……む?」

 キャルダが刻まれていく、その中心地にいるエリカは、一部のキャルダの足元に現れた魔法陣を見て眉を潜めた。
「グルアアアア!」
 一匹のキャルダが吼えた。
 青い刃がエリカに向かっていく。
「ほう。成程……」
 エリカは刃を見て、笑った。
「抜糸術一の型、弾き打はじきだの巻……」
 他のキャルダを倒しながら呟く。
 刃は勢いを弱める事なく向かってくる。
「【当蒼打あてそうだ】」
 エリカの右手、全ての指。
 そこに巻かれていた糸が、青い光を帯びて、刃に向かってゆく。
 そして、刃を弾いた。
「ギャーッハッハッハ! 当たりソーダじゃないからな!」
 糸はまだ伸びて、他のキャルダも刻んでいく。
 【抜糸術】。エリカがわりと独自に編み出した、指に巻きつけた糸を操る術だ。
 ある条件を満たしていれば、三日で習得できます。

 血の雨が降る。
 中心で、狂ったように笑い声をあげながら舞うエリカ。
 その様は、まるで……

「……鬼、みたい……」
 セルスが呟いた。



「ギャーッハッハッハ!」
 全て刻んで戻ってきたエリカ。
『……』
 その恐怖に口をつぐむ三人。
「こっこっこ」
 まったく相変わらずエリカの肩に乗るコケコ。
「……コケコ、怖くないの?」
「超怖いわ! 今すぐにでも降りたいぐらいよ!」
 じゃあ乗るなよ。



「出来たよー」
 クレアの持っている鍋から上がる湯気。
「わー!」
「お」
「ギャハハ!」
「こここ!」
 感嘆の声(?)を上げる四人。
 白いルーに、先だけが浮かぶ、やや大きめに切られた具。
 クレアがおたまでシチューを混ぜると、ほんの少し膜が捲れた。そして、沢山入っているほくほくのじゃがいもや星型の人参、未だなお瑞々しいブロッコリーなどが姿を現す。
 とろとろのルーと、その具を皿に盛りつけた。
 ゆっくりと上がる湯気が、いい香りと共にテント内を巡る。
 絶対美味いぞこれ。
(作者注:お腹が空いてる人は妄想で楽しみましょう。そして胃が痛くなって下さい)
「あったまる〜」
「でも、今凪月ですよね」
「正直暑いんだが」
「今度はビシソワーズを頼む!」
「共食いよね!」
『……』
(作者注:凪月の気温は、日本で言えば春〜夏です)
 共食い……ああ、これ、鶏肉か。
「でも食べるわ! 美味しいから!」
「そ、そう……」
 ちょっと顔を青褪めさせるセルスとクレアとヴィルド。
「おかわり」
「あ、うん」
 ヴィルドがクレアに皿を差し出した。
 何かすっかり馴染んでるな。
「エリカさん、ペース遅いですね?」
「猫舌だから」
「あ、そうなんですか」
 ふーふーしながら食べるエリカ。
 その姿をわりと可愛いな、とか思うセルス。
「(はっ!? ぼ、僕、何考えてんの!?)」
 そして慌てるセルス。
「こここ!」
 シチューをついばむコケコ。
 ……。
「美味しいわ! 花丸よ!」
「あ、ありがとう」
 褒めちぎるコケコと、照れるクレア。
 ほのぼのな雰囲気である。



「じゃあ、お休み」
 クレアとコケコのテントは別である。
 何故かって、察しろ。
「お休みなさい」
「ああ」
「また明日♪」
 就寝。


 食べたいなあ、シチュー











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