真のヒロインと新しい仲間と衝撃の事実
in 町の外。
この場合inじゃないな。でもそんな事は気ニシ(ピー削除サレマシタ)
……向こうも似たような事、してたじゃん。いや仕返しってワケじゃないけど、これぐらいなら許されると思わないか? 駄目? ……チッ。
on 町の外。詳しくすると、草原。草原 in 昼。……この場合って、onだっけか?
その大体真ん中で、三人の冒険者がつっ立っていた。
「泥棒、来るなら来てください!」
「なめないでよ!」
「お前らアホっぽいな! ギャーッハッハッハッハ!」
皆アホだ。
三人とは勿論、セルスとクレアとエリカである。
―――そして、夜。
「はっくしゅんっ」
「さ、寒い……」
「……」
お前ら、寝具ぐらい手に入れてこいよ。
冒険初心者の三人は、怪盗が来ない所為で、憐れ寒さに凍えていた。
セルス、お前。
「……宿に泊まってたんですもん……」
こんな事ぐらい予想しておけって……。
凪月とはいえ、夜になれば流石に寒い。
「……あれ、エリカさん?」
セルスは、柄にも無く座りこんでいるエリカを発見した。
「いや、ちょっと辛い記憶が呼び起こされて……」
どこか悲しげな、遠くを見る目。
セルスとクレアは、その瞳に心打たれた。
「……なんてな。ただ、自己発火してるだけだ」
……。
って、はあ?
「あー! 火!?」
「ず、ずるいよ!?」
「ギャーッハッハッハ! やらねえ!」
追いかけっこを始めた三人。
ていうか、エリカのその能力へのツッコミは……あ、それぐらい予想してた? ならいいか。
そして、朝。
「……」
「すー、すー」
「こーけこっこー」
『はわ!?』
エリカになると、目覚ましぐらい朝飯前……確かに朝飯の前だが、それは今は関係ない。
目覚ましなんて誰でもできるって? おいおい、よく見てみろよ。
お前、鶏に変身して目覚ましなんてできるか?
「な、何ですかそれえええ!?」
「え、え、え……?」
「こここここっ!」
鶏は、
エリカの腕に。
「オレのペットだ!」
『えええええええ!?』
ごめん、変身じゃなかった。早とちり。
「こっこっこ!」
ビシっと敬礼する鶏。
賢い。
「な、名前は……?」
クレアが聞いた。順応性が高いらしい。
「コケコ=グレネード=コッケ」
まさかのミドルネームと名字。
「こけこっこ!」
「性別は?」
「おいおい、見りゃ分かるだろ」
セルスが聞いて、エリカがいった。
「……め、メス?」
「オレも知らん」
『なんでやねん』
クレアが推理して、エリカが答えて、二人が突っ込んだ。
「……どこに居たんですか?」
セルスが顔を顰めながら聞いた。
「セルスのえっち」
「何で!?」
……ご想像にお任せします。
「ギャーッハッハッハ!」
高笑い声を出すエリカ。
本当に声だけだ。
「こここっこ! 私メス! こっこ!」
鳴き声にまじって喋るコケコ。
って、は?
「喋った!?」
「喋った!?」
「こっこ! 鶏なめないでね!」
普通の鶏は喋れない。
こけこは何か全体的に丸く、足も見えない。つぶらな小さめの瞳。
鶏冠や羽やくちばし(小さい)で判別したが、そもそもコケコは鶏なのだろうか……?
「こっこっこ! 鶏よ! 誰が何と言おうとも!」
「非常食」
「止めなさい! 美味しいのは否定しないけど、せめて食用にしなさい! 非常食なんて私のプライドが許さないわ!」
『……』
何とも言えないセルスとクレア。
食われてもいいのか、コケコ。
「こっこ! ……ぽっ」
何だそりゃ。
「泥棒、来ませんね」
「来ないね」
「オレ達がここに居る事知らないんだから当然だろ?」
……。
『先に言って!?』
「アホなお前等が悪い」
エリカがまともに見える!?
「じゃあ、呼ぶか」
「どうやってですか?」
セルスが聞いた。
「クレアのぱんつー」
「えっ!?」
クレアが驚く。
と、エリカの所に矢が飛んで来た。
エリカはそれを叩き落とす。
「出てこいや、泥棒」
現れたのは、少年だった。
銀色の髪に、毛先は黒い。瞳は、右がライトブルー、左が濃い青。
左手にボウガン。
「……そこの男」
少年が喋った。
「……今のは、冗談か?」
「うん」
「……俺を侮辱しやがって……殺してやる!」
戦闘開始。
少年の矢は的確にエリカの顔面に飛んでくる。エリカはそれを叩いたり避けたりして、被ダメ零。
「ブラッディエッジ!」
エリカの目の前に、血の刃が飛ぶ。エリカはそれをギリギリで避けた。
少年がエリカの懐に入り、腹に掌底を叩きこむ。
エリカが吹っ飛んだ。ついでにその頭に乗っていたコケコも吹っ飛んだ。
「エリカさん!? ……っく!」
セルスがシャドーナイフを振る。刃となった影が、少年を切り裂かんと襲いかかった。
「ちっ」
少年は必死で避けているが、当たるのも時間の問題である。
そこに、非情とも言える、
「やあ!」
クレアの正拳突きが入った。って、何!?
「ぐ……お……」
少年が崩れ落ちた。
「……」
セルスがぽかんと口を開ける。
「理由を聞かせてくれる?」
クレアが優しく、諭す様に少年に話しかけた。
「……その、アンタに一目惚れした」
少年がクレアから目線をそらし、ぼそりと呟く。
クレアとセルスは驚いた。
「私?」
「なっ、恋敵!?」
……堂々と言っちゃったな、セルス。
「……やるか?」
「……受けて立ちますよ?」
少年がゆらりと立ち上がった。セルスは少年をギロリと睨む。正直怖い。
「え、ちょっと……」
『どっちを選ぶ?』
あー。
クレアにとばっちり。
クレアは頭を下げた。
「ごめんなさい! 私……男だから!」
……
『……』
「何いぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「ええええええぇぇぇ!?」
マジでかああああ!?
「昔から華奢な上に貧弱だったから、女として育てられてたんだ。ちょっと誤魔化せば、女の子に見えるでしょ?」
……ナレーターさえ騙すとは、クレア、恐ろしいおん……男か。
「本名はグレン=フィクティ。クレアは妹の名前で、妹は昔から男装が趣味だったけど」
「ちょ、ちょっと待て」
「えー……」
汗を流す少年と、落ち込むセルス。
青春だな。ちょっと違うが。
そしてクレア、じゃなくてグレン。以外に厳つい(?)名前だった。
「……ごめんね?」
しかしそう言って謝るクレ……グレンはやっぱり可愛かった。
『……』
そして顔を赤らめる少年とセルス。これは青春だな。
「ギャーッハッハッハ! オレは知ってたけどな!」
『先に言え!』
「騙されたお前らが悪い!」
戻ってきたエリカとコケコ。ダメージは零である。怖い。
「何でわかったの?」
「体つき、顔つき。よく見れば分かるぞ」
さっぱり分からん。
「全然わからねえ……」
「まったくわかんない……」
「こっこっこ!」
エリカ、素晴らしい洞察力をお持ちで。
「あ、少年もしくは泥棒。名前は?」
「あ? ヴィルダー=ハスレリー、ヴィルドって呼……って何でそんな事言わせんだ!?」
「仲間にするから」
「はあ!? ふざけんじゃ」
「仲間にするから」
「いやおい」
「仲間にするから」
「だか」
「仲間にするから」
「ちょ」
「仲間にするから」
聞く耳を持たないエリカ。
「だ」
「お返し♪」
「ぐぬぉ!?」
エリカが少年、ヴィルドの腹に肘打ちを当てた。
目を白黒させながら気絶するヴィルド。
そしてそれを担ぐエリカ。そのさらに上に乗るコケコ。
「行くか♪」
「こっこっこ♪
『……』
エリカって恐ろしい。
皆で同じ事を思った。コケコ含まず。 |