crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。(24/39)PDFで表示縦書き表示RDF


 一部の方にはちょっとわかりにくいかもしれない表現? があったりしますが……まあ大丈夫です。分からないからって、親とかに聞かないで下さいね。
 どうしても知りたかったら、ネット……もマズイし……私に聞いてください。メッセで個人的に……。
crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。
作:摩璃藻



メイド服と追いかけっこ(8)


 コケコはそこに居た。

 俺は、座りこんで何かを唱えていたコケコの元に戻ったんだけど……様子がおかしい。
 おかしいと言えば、先程の轟音と地面の揺れは何だったのだろう?
 コケコは、ボロボロメイド服の女性の姿で横たわっていた……。

「コケコ!?」
「……グレン? ご、ごめんなさ……魔力が、凄まじく減っているだけよ……」
「そ、それでそんなには弱らないだろ!?」

 俺もなった事は無いけど……一体?

「……場所指定広範囲転送魔法よ……三百人ぐらい居たからね、しかも結構細かいところまで指定したし……。とりあえず、組織ほとんど全員送り返した、わ……」
「……」

 うわー。
 そんな高等魔法を……。それは倒れてもしょうがない。

「……ただ……自分の事を組織だと、意識している人だけで……フィーネ含め、二人、残ってるのよ……」
「ええ!?」

 フィーネは組織に対立しているから、大丈夫だとして……。もう一人?
 っていうか、さっきのあれはこれだったんだ。

「グレン! おお!? コケコ、無事か!?」

 トーカが走ってきた。

「コケコ、じっとしててくれ!」

 俺はコケコに手を当てて、魔力を送り込んだ。
 ……増える気配もねえ。質が良いんだな、コケコの魔力。

「大丈夫、よ……一晩寝れば、直るわ……」
「ああ……悔しいけど、俺がこんな事しても無駄みたいだ」
「だから、他の仲間を、回復して……。そのために、魔力は、とっておきなさい……」
「うん」

 本当に悔しいけど、どうしようもないしなあ。

「……で、あの女は誰じゃ?」
『え?』

 ……。
 銀色の髪で左眼を隠した、綺麗な女の人が居た。
 右眼は濃い青色。
 スタイルは良いと…………うーん、こんな事考えちゃうのは、やっぱり男だしね、俺も。

「組織。他。帰す? お前」

 ……?

「何か分からんが、組織の奴じゃろうな」

 まあ、そうだろうね。

「殺す」

 いきなりか。何か、デジャヴ?

「はっ!」

 トーカが咄嗟に両腕をクロスさせ、女の人の右ストレートを防いだ。

「トーカ!」
「手出しするではないぞ、グレン!」

「……え?」

「……血が騒ぐのじゃ……♪」



 トーカは女の人の追撃を許さなかった。右手の掌底を、女の人の左米神に思い切り打ち込む。
 やや前かがみになりながら右へ体勢を崩した女の人の腹に、膝で蹴り上げ。
 宙に浮いた女の人の首を左手で引っ掴み、地面に叩きつけた。土煙が舞い上がる。
 この間一秒も経っていない。

「……」
「カッカッカ♪」

「……屈辱。殺す」

 女の人は一瞬で起き上がると、その反動を利用しながらトーカの顎を狙って右の肘打ちを繰り出した。
 流石に顎を砕かれるのはやばいだろう。トーカは同じく、右の肘で受けた。
 鈍い音。

「カッカッカ、鍛えておるからのう」
「……っぐ……」

 女の人の肘から血が滴り落ちる。どうやら折れたみたいだ。

「まあ、私もちょっとじんじんするが。貴様程ではない」
「……双剣……あれば。斬る。刻んだ、お前は」

 女の人は、かなりたどたどしい言葉使いで喋った。
 肘を押さえている。

「この、女の体は……弱い。まだいる。強化」
「強化?」
「撤退。てれぽーと」

 女の人が消えた。


 〜〜〜


 僕は走っていた。
 さっきの轟音と地面の振動は、コケコの居る場所から聞こえた。
 何があったんでしょうか……。


 ぶに。


 ……え?


 僕が恐る恐る足元を見ると……

 先が黒い銀色の毛に……メイド服着た……人間?

 ……ヴィルドじゃん。

「……テメェ、殺す気か……?」
「ご、ごめんなさい……。まさか、人間が寝てるとは思わないじゃないですか。ていうか、こんなところで寝ないで下さいよ」
「……俺が呑気に寝てるように見えるとでも?」
「はい」
「……。もういい……。グレンのところへ連れてけ。満身創痍なんだよ。だから動けねえんだ分かったか」
「あ、そうなんですか……」

 僕は、ヴィルドを仰向けにした。
 足で。

「……お前、俺の事嫌いだろ」
「何を今更」
「ああ、そうだな……。俺もお前の事大嫌いだ」
「そうですか。……うわ、傷だらけですね。敵そんなに強かったんですか? フッ」
「……うっせえ……」
「でも僕、ヴィルド運べませんよ」
「はあ?」
「だる……じゃなく、めんど……でもなく、汚れ……でもなくて、ホラ、さっきの轟音、コケコの居た方なんですよ。だから一刻を争ったり」

 実際男なんて背負いたくはないだけですけど。

「本心漏れてんぞ。俺も死にかけなんだ……頼む」

 うわ、ヴィルドの姿勢が低い。明日は雨ですね。

「お前、失礼な事考えなかったか……?」

「ハハハ……あ、そういえば……運ばなくても、一応、肉体的には死なない方法があるんですけど」
「……?」

 ……精神的にはキッツイですけどね。
 僕は、返事も抵抗も無いのを良い事に、その方法をとる事にしました。

 まず、自分の右手親指の先を噛み千切る。

「うぉあっ!?」

 いい感じに驚いて叫んで口を開けてくれたので、顎を引っ掴み、口内に血を一滴だけ垂らす。

「がっ!? げはっ、ごはっ!?」

 その後僕は自分の傷口を舐めて、ヴィルドには血をちゃんと飲み込ませて、完了!

「げほっ、げほっ! 何しやがる!?」
「治癒、疲労回復、魔力回復」
「……は?」
「【鬼神】の血の効力です。後、【血行が良くなる】とか……」
「……? そんな効力あったのか……」
「……うん、【良くなりすぎる】とか……」
「……あ?」

「……付かぬ事をお聞きしますが、【媚薬】って知って……いえ、何でも」

 ヴィルドの表情が、みるみる青くなっていく。

「ま、まあ、一滴だけなんで効果はそんなに長く無いです。長くても十分程度。……怪我が酷かったり魔力や体力の消費が激しければ、効果高まりますけど。時間じゃなくて、こう……ね?」

「ちょっと待てちょっと待て!? お前俺にそんなもん飲ませたのか!?」

「駄目……ですかねー? まあ、効くは一時の恥、効かぬは一生の恥とも言いますし」

「誰が上手い事言えと言った!? 止めろ! 本当に!」

「無理無理。今全身に染み渡って来てる頃だと」

「嘘だろ!?」

「マジです。後一分ぐらい経つと、ヴィルドの体凄い事になりますけど、まあ気にしないで下さい。大丈夫です、僕が去るので目撃者は居なくなります。……誰も来なければ、ですが」

「なっ、なっ……」

「では、良い十分間を〜!」

 その一言を言うと同時に猛ダッシュ。
 悲痛な叫び声が聞こえた様な気がしましたが、無視! 何も聞こえませんよ、僕には!
 コケコ、大丈夫でしょうか!? あーあー何か熱を帯びてきてる声なんて聞こえなーい!
 今行きますよ、コケコー!


 〜〜〜


「剣聖、これでも食べるか?」
「……」
「はい、あーん♪」
「……」
「お、お返しか? ……はむっ」
「……♪」

 わあ、思ってたよりうぜえ。
 昔家にあった召喚呪文を試してみたはいいものの……本当にバカップルだなコイツら。
 そろそろ仲間達の所に行かねえとな〜……

「そろそろ戻していいかー?」

「……分かった。エクスカリバーさえ居なきゃな……」
「……」

 剣聖は頷いた。主人にもうっとおしがられるとは……憐れな剣だな。エクスカリバー。

「じゃあな。また会おう、カネガミ」
「……」

 二人(?)は手を振った。光の粒子となって消えていく。
 さて、何か轟音とかしてたし……大丈夫かー? あいつら。


 ヴィルド君が非常に可哀相で憐れな回。
 ……でも、私は書いてて楽しかった。











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