crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。(17/39)PDFで表示縦書き表示RDF


 コメディです。この小説も。
 短いです。
crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。
作:摩璃藻



メイド服と追いかけっこ(1)


「皆さーん。これから町に入りまーす。まあ武器とか買い揃えようとしてるわけですが、エリカさんナメクジつつくな。それに当たって一つ注意が、アーチェ参加すんな。……えーと……、コケコ、食おうとすんなああ!?」

 しょっぱなからセルスのツッコミが入る。
 まあ言った通り町に入る訳だが、何を注意するんだ一体。あ、壊すなとかか? ……納得しちゃ駄目か。
「ふ、ふー……。こほん。よーく聞いてくださいね?」
 わかったから、早く言え。



「……路銀がありません」



 ……駄目じゃん。
「何ぃ! マジか!?」
「え、どうするの?」
「飯の材料は狩りで調達してたからのう……」
「こここ、大変ね!」
「まずいね」
「エリカー!」
 アーチェがエリカを呼ぶ。
「武器や服ぐらい作れるよね?」
「オレに任せていいのか?」
 ……。
 買わないとな。
「でも金は作れるぞ?」
 それは駄目だろ。犯罪だろ。
「落ち着いてください。まあ、働く事になりますけど」
 仕事か……。
「雇ってくれる?」
「情報は収集済みです」
 セルス、動くの早いな。
「短期間のバイトで、ボディーガード兼召使を募集してるところがあったんですよ」
 …………嫌な予感がするのは俺だけだろうか…………?

「さあ、行きましょう!」
 何でセルス、そんなに元気なんだろう。
 とりあえず、俺達は石のアーチをくぐり、町へと入って行った。








「ウフ、いらっしゃい?」
 あー……やぼったい金髪ロールの女といえばわかりやすいだろうか。
 真紅のドレスが眩しい。
 とてつもなく広い部屋に、いらねえよなってぐらい豪華な装飾が施されたソファに、女は偉そうに腰掛けていた。
 が、その溢れ出るオーラがただ者でない事を伺わせている。
「じゃあ、まずは着替えてもらいましょうか」
「え?」
「その格好じゃ動きにくいでしょう? すぐだから大丈夫よ」
 女が、ぱちんと指を鳴らした。
 煙が出る音がした。
 そして、


『……』


 全員沈黙。
 コケコと俺は、女性の姿になっていた。
 衣装は全員……
 【メイド服】
 に。


 ……。
 これ、ボディーガードはいらねえよな。こんな凄い魔法使えるのなら。


『……ってそういう問題じゃねええええええ!』


 そしてほとんどが大絶叫。
「なっ、なっ!?」
「実は一回着てみたかったんだけどね」
 バッチリ似合うセルスとグレン。グレン、カミングアウトするな。
「……」
 超放心状態のヴィルド。あ、意外に似合うんだな。
「カカカ! 中々ではないか!」
「うわ、恥ず」
「キャハハ、私可愛い?」
「こここ、流石は私ね!」
 女性陣は、わりとまんざらでもない様子。
「……」
 黒い髪は、やはり黒をメインとした色調のエプロンドレス、メイド服によく映えた。
 完璧に着こなしている。言わずもがな、沈黙するエリカだ。
 その口元からは普段の笑みが消え、表情に影が落ちた。
 瞳に鋭い殺意が宿る。



―――プッツン♪



 糸のようなものが切れる音がした。その場の全員に聞こえただろう。
「……殺す」
 エリカがボソリと呟いた。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
 怖っ!?
「……KILL♪」
 エリカがにっこりと笑った。
 ……っ!?



「死ねやああああああああああ!」
 ジャコン!
 盛大に怖い音を立てて、エリカの手にガトリングガン二丁が装備された。
「うおらああああああああああ!」
 そして、連射。
 勿論無事ではすまない。
「わわわえっとっ」
 セルスはナイフ。
「たっ、怖」
 グレンは剣。
「ど、わっ」
 ヴィルドはボウガン。
「ほっ、あちゃっ」
 トーカは蹴り。
「えー」
 フィーネは分度器。
「キャハッ」
 アーチェは木刀。
「こっこ♪」
 コケコは大剣。
 俺は超小型爆弾。
 でそれぞれ防いだため、無事ではすまない事もなく。
 しかしそれだけで終わり、というわけにはいかなかった。

「バーニングフロア」
 部屋全体を、猛烈な熱気が包む。
 部屋のところどころから火柱が上がった。
 エリカの髪がなびく。
「フレイムランス」
 床から、炎の槍が出現した。
 切っ先は俺達。
 予想通りというべきか、飛んできた。
「フレアブレス」
 そして、空中から火炎放射。



 エリカって魔法使えたっけ?
 ていうか、ツッコミ所が多いんだが。分度器とか。



「キャー! 私氷使いだから意外にヤバイよ!?」
「私、音なんだけど……」
「同じ炎属性じゃが、相殺はできんな!」
「俺光だ。無理」
「闇だ。同じく無理」
「こここ、私丸焼きね!」
「草です」
「毒だ」


 ……。
 説明しよう。人には得意属性と苦手属性があるのだ。つまり、炎が苦手属性の奴ばっかり集まってるなこりゃ。そしてエリカの苦手属性が得意属性の奴も居ないな。
 炎を相殺出来る属性も無し、と。
 ……という事は、


『逃げるが勝ち!?』
「逃がさん」


 超広い屋敷の中で、恐怖の追いかけっこが幕を開けるのだった。














「ウフ、私水だから、炎は相殺出来るんだけどね?」


 さて、どうなるのでしょうか(決めてねえのかよ)











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