crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。(14/39)PDFで表示縦書き表示RDF


 ドッシリアスと狂気じみた戦闘。
 ……どなたか、ヘルプミィ。
 タイトル候補、全部良いです! 決めれない! どうしよう! 投票!?(ォィ)
crazy more crazy 〜すいません、ここは異世界です〜。
作:摩璃藻



人殺しとその恐怖と(5)


 決勝戦。

 【魔女】とエリカが対峙していた。コケコは避難している。
「へー……君が、ねえ」
「ギャッハッハ! 何者だ、お前?」
「私は【魔女】。【魔王】に仕える者だよ」
 【魔女】は長い金髪に、青い瞳を持っている。
 ワンピースを着たその姿は、どこから見ても十一、二歳の少女だ。
 ただ、木刀だけが不釣合いである。
「ま、そんな事どうでもいいじゃん。ろう」
「ああ、いいだろう」

「キャハハハハハハハ!」
「ギャーッハッハッハ!」

 狂った様な笑い声を上げながら、【魔女】は木刀を、エリカは右手をチェーンソーにして、振りかぶった。
 激しい火花を散らし、木刀とチェーンソーはぶつかり合う。
 硬く太い筈の木刀はしなりヒビが入り、金属製のチェーンソーからはヤバイ音がする。
 そして、両方同時に折れた。
「キャハハハハ! って、折れちゃったじゃあん!」
「ギャハハハハ! おいおい、お互い様だっての!」
 木刀がまた、元のようにくっつく。
 チェーンソーはまた新品のように。
「キャーッハハハハ!」
「ギャーッハハハハ!」
 そして、また、ぶつかり合う。





 ごめん、何この、人外同士の戦闘。





 熱狂はどこへいったのか、観客は静まり返っている。
 その表情にあるのは、ただ恐怖だった。


「ギャハハハハ! なあ、【魔女】!」
「キャハハハハ! なあにぃい!?」
「凄い楽しい!」
「奇遇ね私も!」
「ギャッハハハハハ!」
「キャッハハハハハ!」

 俺も怖い。

 チェーンソーに弾かれた【魔女】は、空中で回転しながら、手から氷の刃を飛ばす。
 エリカは足で地面を抉りながら、その刃を拳で破壊する。
 合わせて合計四つの目は恐ろしく光り輝き、見開かれている。
 口元には、獰猛な笑み。
 それらはまさしく、戦闘狂だった。



 〜〜〜


「……」
「……」
「……」
「……」
 観戦中の四人を、沈黙が包んでいた。
「……なあ、何だ、アレ」
 ヴィルドが言った。
「……うむ、私には、分からん」
「……化け物ってやつじゃないかな」
 トーカ、グレンが顔を引きつらせながら、問いに答える。
「……」
「……」
「……」
「……」
 セルスは喋らないまま、また沈黙が続く。


 〜〜〜


 エリカがチェーンソーを飛ばした。右腕はない。
 【魔女】の足から血が噴き出す。足はなくなった。
 【魔女】はエリカの体に氷の花を咲かせる。
 上半身が、顔を除いて凍りつく。
「いったーい! 酷いよぉ?」
「それはこっちの台詞だ?」
 そしてまた、笑う。
 ちぎれた足は元通り。
 右腕は戻り氷は割れた。

「女の子には手加減しなよ!」
「人間には手加減しろよ!」
 言いながら、叫びながら、氷は飛び、木刀は振るわれ、チェーンソーは唸り、糸は切れた。
「クレイジー!」
「なあにソレ!」
 凶器、狂気、狂喜。
 本当、コイツら、狂ってる。
 双方血だらけで、でも無傷で、そして速く早く、時は進んでいく。



 永遠に続くかと思われたそれは、いきなり終わりを告げた。




「ッキャ!?」
「おおお?」

 【魔女】とエリカが、床から伸びてきた巨大なつるによって、縛り上げられた。
 ギリリと締め上げる。

「く、苦しいー……ってか、こえ、あにぃ? にゃんか、ちかあ、すいとらえうー……」
 【魔女】の力が抜けていく。
「うむ、魔力を吸い取ってるって感じだな」
 らしい。
 何故エリカが無事なのか、それは、例の神から貰ったオーブ。アレが無限に魔力を発しているから。魔力がなくなると力も抜けてしまうのが【魔女】だが、エリカは別に変わらない。
 しかし、蔓の所為で身動きがとれない。



「クッ……ぅうフッ……げぇんきぃっ……?」



 【魔女】が出てきた方の入り口から、聞き覚えのある声。
 名前は多分忘れてると思うが、ケルミー=テッドだった。
 ほら、あの気持ち悪い女だ。鈴鳴らしてキャルダ操った奴。

「えひっ……あぁらぁ? 他の、人はぁ……?」

「呼んだかよ」
「懲りないね……」
「誰じゃ、あのキモイの」
 ヴィルド、グレン、トーカが出てきた。
「……二人、いなあい……二人、知らなあい……」
 クレアとセルス、グレンとトーカの事だろう。
「まっ、いいわぁ……あの可愛い男の子はぁ……?」
『……』
 誰も返事を返さない。
「ふぅん……そぅ……」
 ちりーん。
 また同じ蔓が伸び、ヴィルド、グレン、トーカを捕まえた。
「っな!?」
「他のモンスターもぉ……操れるのぉ……」
 マジで?
「フゥンゥっ……一人づつ、殺すわぁ……だって、要らないもの……ネッ。組織にたてつこうなんて、甘かったわね……」
 ケルミーの手に、細いレイピアが現れた。
「じゃあ……」
 ケルミーが蔓を操り、エリカの体の位置を下げ、レイピアでその胸を狙う。
「ばぁい……」
「……」
 エリカは何も言わずに、目を閉じた。














「……っ……」
「あぁらぁ……?」
 エリカを庇う様にして、セルスは立っていた。
 レイピアは止められている。
 セルスの瞳は赤色だった。
「止めて……止めて……」
 セルスが怯え、首を振る。
「……じゃぁ……私の物になってくれるぅ……?」
 セルスの目に、昔の光景が現れる。


―――止めて下さいっ!
―――ああ? その女もお前も疫病神だ。捨ててくるだけだ
―――何でっ!? 埋葬する権利ぐらい、僕にある筈でしょう!?
―――うるせえな!
―――……うああっ!
―――よし、行くぞ。ったく、触りたくもねえが、村長の命令じゃな
―――止めてっ!


―――お母さん……っ!


「……っ!」


―――お前は疫病神だって、おれの父さんが言ってたぜ
―――うちもうちも!
―――皆言ってるじゃん!
―――だから、退治したら―――


 殺されそうになった記憶。


―――おい、抵抗すんな!
―――っな!? 何だよソレ、お前、何でそんなもん……!?
――――――っ!


 人をあやめた記憶。

「う、うぅっ……」


―――僕じゃない。僕じゃ……!


 エリカが口を開いた。

「セルス。今言うのは、凄く酷いが、オレは言うぞ」

「え?」

「……【人殺し】」


―――!


「嫌だっ……」
「お前は、」
「嫌だ!」

 セルスが悲痛な声で叫ぶ。
 エリカは聞いていない。



「―――お前は、【鬼神】じゃなくて、セルスだ。セルスは―――【人殺し】だ」



 人殺し。
 それは、この世界でもっとも重い罪。

「……あ」
 セルスはエリカの方を見たまま、座りこんだ。
「……あ、ははっ……」


―――そうだよ分かってた
―――【鬼神】という人殺しの血の所為にしてた
―――気付いていないフリしてた
―――教えられて、もう、戻れない


「……人殺し……そうだよ、僕は……人殺し」
 同じ種族を殺めた。
 自分と同じ、人を殺めた。
「……もうっ……戻れないっ……!」
 ボロボロと涙が溢れる。
 嗚咽を必死でかみ殺す。
















「戻れるぞ」




 え? と、セルスが問う間もなく、エリカが蔓を弾け飛ばして降り立った。
「罪は背負えばいい。死んでしまったら終わるけど、彼らに許されるまで背負って歩けば良い」
「許されなくてもいい。お前が悪くない事は知ってるさ」
「命が奪われるのは怖いから。だからそれに抵抗する」
「誰だってその時が来たら抵抗する。オレだって」
「さっきのは、お前が守ってくれると思ったから」
「自分が悪くなくてもお前は背負うんだ」
「それが―――」

―――オレ的には、一番楽だと思うね。

「……」
「オレのアイデアだから、他に何かあるならそれでもいい」
「……僕は」
「ただ、死ぬなよ。お前が必要な奴も居るから」


 エリカは笑った。
 いつものニヤリ笑いではなく。
 ……全てを許そうとする様な、まるで聖母の様な、優しい微笑みだった。


 ……後一話、続くみたいです。
 ついにこの小説を、【金エリ】って略してしまった……orz











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