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鑑定サラリーマン シリーズ

鑑定を覚えたけど、小市民な俺は目立つような有効活用はしない~冴えないサラリーマンの一日~

作者:三月
8/27 読者の「しぐま様」よりイラストを頂きました。
小説を書いていて初めてイラストを頂いたのでびっくりしたのと同時に、凄く嬉しいです^^
飾って良いとの許可を頂きましたので、飾らせて頂きました。
本当にありがとうございました^^

4/7 レビューまで頂きました。本当にありがとうございます( ^ω^ )
ある日、残業から帰って寝て起きたら鑑定が使えるようになっていた。

何を言っているのか分からねーと思うが、俺にもさっぱり状況が理解出来ない。

具体的に使えるようになったっていう状態ってのは、目の前の物に対して「これは何だろうなー」と強く念じたりずっと注視していたりすると、その目の前の物の情報が頭に浮かんでくるのだ。

何でそんな事に気づいたのかというと、友達に借りてたゲームが俺の通勤バッグが置いてある下から出てきて「これ誰に借りたんだっけなー」と強く念じたら「ドラポンクエスト15:所有者:鈴木大吾」なんて情報が頭に浮かんだのがきっかけだ。

何だこれはと思って手当たり次第に念じたら、色々な情報が次から次に現れてきて、これってひょっとして鑑定の能力が身に付いたのでは?と推測するに至った訳だ。

もちろん、寝て起きたら使えるようになったといっているが、もしかしたら気付かなかっただけで前から使えてたのかもしれない。どうして使えるようになったのか分からないが、まぁ、気にしてもしょうもない。
ひと通り試して分かったことは、結構万能だということ。例えば計算を間違えている紙を鑑定すると、間違いが指摘され、更にペットのハムスターに鑑定を使ったところ、風邪気味であることが分かった。更に物の適正価格まで分かるときたもんだ。

要検証だが間違った書類を見破り、動物や人の病気も分かり、更にその物の現段階での適正価格が分かるのであれば俺は大金持ちにだってなれるだろう。ただし、もし何かの拍子で俺の能力が世間にバレた場合、誘拐・拉致監禁・洗脳とか物騒な出来事に出くわす確率が高いだろう。病気の有無が検査をしなくても分かる上に、物の適正価格なんてものが分かる奴が居るなんて知ったら、この現代社会において無限大の利用価値がある。どんな違法行為をしたとしても手に入れるために躊躇なく犯罪を犯すやつなんてワンサカ居るだろう。

まぁ、話は脱線するが物の適正価格って表現を俺は使ったが、自分で行っておいて何だがそこに疑問を持っている。物の価値ってのは「それを持つ者や見る者の意識によって左右される」訳で、ピカソの描いた「アルジェの女達」が215億なんていう価格で取引された訳だが、ピカソの絵に何の価値も見出せない人は、たとえ金を持っていたとしてもその絵に何百億円も出そうなんて思わないワケだ。

高い理由ってのは、そこに何百億円も払う大富豪やコレクターがいるからであって、絵そのものに価値を見出しているのは極一部の連中。

つまりAさんにとっては0円に等しいゴミ同然の物でも、Bさんにとっては1万円以上の価値がある物が、それこそ現代社会には無数に転がっているのだ。

何を持って俺の鑑定が適正価格をはじき出しているのか分からないが、この適正価格ってのはあくまで1次元で見た単なる目安にしかならんのではないか………っと、こんな話を続けてもしょうがないな。とりあえず出勤しないとな。

               
しがない商社の総務課の下っ端である俺は、事務仕事から肉体労働まで何でもこなす雑用係として色々な方から寵愛(パシリ役)を頂いている。その仕事の中で朝一番に寵愛パシリを頂いたのが、会議で使用する書類のコピーだった。

どうやら月一の営業方針を決める書類だったらしく結構な枚数をコピーしなければならないようだ。
経費削減のため、コピー機でははく輪転機を使ってコピーすることにした。

………輪転機っていちいち使うの面倒なんだけどなぁ。

書類を持って輪転機が置いてある部屋に来ると、丁度お茶を運んでいる女性スタッフとすれ違った。そういえば喉が乾いたなーなんて思いながら、無意識にお茶を見ていると「お茶:ぞうきん汁入り」なんていう目が覚めるような情報が飛び込んできた。



挿絵(By みてみん)



ぶほっ!と思わず吹き出すと、怪訝そうな顔をしながら課長の席にお茶を運んでいった。
斉藤課長ェ………アンタ嫌われすぎだろ………

輪転機でのコピーが終わり、書類をホッチキスで纏める。そしたら事務の女の子に渡して次なる仕事に取り掛かることにした。

次なるパシリは経理からのヘルプ要請に答えることだった。何でも残高試算表に不備があったらしく本社からツッコミが入ったそうな。そこで見直しが命じられたらしいが、書類の提出期限が今日の午前中までらしく何故か俺に無理難題のキラーパスが降ってきたのだ………って、どういうことだってばよ!!なんで総務のパシリ(下っ端)が経理課のカバーしなきゃならんのだ!!しかも期限が今日の昼までにとか、ふざけてんのかチクショウめ!!

イライラしながらくそったれの試算表とにらめっこしていると「残高試算表:記入ミス」と出てきた。

おぉっ!と思ったが、そのものずばりの答えが欲しいなーなんて考えていると「記入ミス」の文字の下に▽という記号があり、そこを注視したら「残高試算表:記入ミス→決算整理前の項目が反映されている箇所があり→営業費」と事細かに今まさに欲しい情報が記載されていた。うっひょー!俺ラッキー!

ありがたく鑑定のお世話になることになった。
ちなみに他にも間違いが多数あり、それを経理課に問い詰めた所、最近斉藤課長のコネで入った新人の男(課長の息子24歳)にやらせたのだがどうやら使えない野郎だったらしく、そいつの上司がフォローをしていたがとうとうカバーしきれなくなって今のような状態に陥ってしまったとの事。

………また課長か!!ふざけんな!!コネだけで会社に入れるとか、羨ましすぎるんじゃー!!
そんな奴は営業に回して社会勉強させて辞めさせろ!!
っと、そんな事をしているウチに昼か。という訳で早速、社食(社員食堂)へ飯食いに行くかー。

「なんか、このリオレ○ス硬くない?気のせい?」
「おまっ!のんきに笛なんて吹いてんじゃねー!!死ぬっ!マジで助けろ!」
「だが断る。この俺が一番好きな事の一つは鈴木の要請を却下することだ」
「ふざけてねーで助けろやオラ!」

社食で腹を満たした後は、昼休憩が終わるまで携帯に便利なポータブル機を使って同僚の鈴木と有名な狩りゲーで一緒に通信しながら遊んだ。

名残惜しい昼休憩が終わると、次に仰せつかったのは出入り業者の作業スケジュールのチェックだった。

うちの会社に出入りの業者が従業員通用口から入る場合、どういう会社が何て人を何時頃に派遣して、その人がどういう物を何個納品して何時頃にお帰りになるのか………といったような項目を事前に申請する書類を提出しなければならない。

その書類の名前を作業届出書と呼ぶのだが(俺は面倒なので作業スケジュールと言っている)、事細かに書かなければならない項目があるので記入漏れが起きやすいのだ。そういった物を事前にチェックして警備に突っ返す仕事が総務課にはあるのだが、これがまた面倒くさい。少なければ早く終わるが今日は多い日だった上に、あと1時間後に来ますなんていう早くチェックしないといけない作業スケジュールまで飛び込んできやがったのだ。

くそう、こんなもん紛れ込ませたのはきっと課長の奴だな。アイツの所で止まっていた書類が度々俺の所に回ってくるんだが、この緊急の紙もきっとそうに違いない。
なんで断言するかっていうと、今までの経験上他の連中は期限を守るのだが、斉藤課長に限っては守らないからだ。くそう、腹立たしいぜ。
俺は鑑定スキルをフル活用しながら1週間分のスケジュールの添削を行った。マジで鑑定様々であった。

何やかんやしているウチに就業となり、時間ぴったりで会社を出る。帰りにスーパーでも寄ろうかと思って歩いていると、目の前にラブが付くホテルの入り口から出てきたカップルのヤンキー共(死語)が通りかかった。

「マジ、カオちゃん良かったわー!
ってか俺たちスゲー相性良かったな!」
「キャハハ!もう騎士ナイト君たら、ハゲシスギー!アタシ身体が持たないってー!キャハハ!」
「ハハ!マジ良かったわー!っつーか、トオルと別れてくれてマジサンキューな!俺様超満足だわ」
「だってー、騎士ナイト君の方が素敵だからぁ~、マジ胸キュンしちゃった?みたいな感じ?っつーか、最近トオルのヤツ付き合い悪いしすぐ病気になってるからマジヤバイ気がしたんだよね~。だから別れたの~」
「マジで!そりゃっべーわ!べーっ!マジやっべーよ!何か薬でもヤッテんじゃねーの?まぁ、いいや。トオルなんて放っておいてカラオケ行こーぜ!」
「さんせー!騎士ナイト君の、ちょっといいとこ見てみたい~」
「よっしゃー!まかせろー!」
「……………」

最後の………は俺である。何だあの頭が湧いた集団は………
呆れながらドキュンカップルを見ていると今日一日大活躍した鑑定さんが現れた。

「斉藤 カオル:15歳:斉藤課長の娘:状態:病気▽:感染経路:佐藤透」
「田中 騎士ナイト(キラキラネーム):18歳;状態:病気(NEW)▽:感染経路:斉藤カオル)」

医療関係にも強い鑑定さんが遺憾なく効力を発揮して、俺にいらない情報をプレゼントしてきた。何か「病気」ってなってるけど、その後に▽があるから詳細が見れるようになってる上に、感染経路なんて単語もある。

「…………見なかったことにしよう」

その情報を持ってるだけで物凄く居た堪れない気持ちになってくる。
しかも▽で病気の詳細が分かるようになっているが、調べたら藪蛇になるような予感がしたので敢えて見なかったことにした。

というか、斉藤課長………アンタ、今日一日だけでどんだけヤラかしてんだ………

肉体的な疲れより精神的に疲れた俺は、自販機でソーダを買って一気飲みして精神力を回復した後、スーパーに立ち寄って買い物をした。

何気なくりんごを鑑定すると「りんごA:糖度13度」「りんごB:糖度15度」といったような情報が入ってきたので、一番糖度が高いりんごをカゴに入れてお会計へ。

家に帰って風呂や食事やら何やかんややってるウチに就寝の時間になった。
俺は寝る前にちょっと口寂しくなったので、今日買ってきたりんごを一齧りした。
あ、当たりだわこれ。甘い。鑑定様々、ラッキーな能力を手に入れたなぁ。
なんて小さい幸せとりんごを噛み締めながら、早々に食べてしまったりんごの芯を捨て、眠りに就くのであった。
8/27 病名の表記が生々しいとのご指摘をお受けいたしましたので、わざとボカすように修正致しました。
3/25 頂いた絵を場面に合わせた場所に飾らせていただきました。本当に有難うございます^^

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